
「チラシの反響が年々落ちてきた。ホームページもあるし、インスタも一応やっている。でも、問い合わせにつながっている感じがしない」
工務店の集客で、よく出てくる迷いです。やっていることが少ないわけじゃない。手段がばらばらに置かれていて、お客さんが次にどこへ行けばいいのかが途切れているんです。
ここでは工務店の集客手段を、お客さんが家を建てるまでの段階に並べ直す。どれから手を付けるか、それぞれで何を見せるか。住宅の相談窓口のLP(広告から来た人を受けるページ)を、スクロールの記録を見ながら直した実例も入れました。
先に、手を付ける3つを表にしました。
| 手段 | 何のため | 最初の一歩 |
|---|---|---|
| Googleビジネスプロフィール | 地名で探した人に、地図の上で見つけてもらう | オーナー確認をして、施工写真を載せる |
| 施工事例のページ | 比べている人に、頼んだあとの姿を想像してもらう | 事例3件に、価格帯と工期と家族構成を添える |
| 申し込みの入口 | 相談はまだ早いと思っている人も取りこぼさない | フォームの項目を減らし、資料請求やLINEの入口を足す |
見学会と広告は、この3つが整ってから。理由は順に書いていきます。
工務店の集客は「家を建てるまでの4段階」で手段を並べる
20万1,285戸。2025年に新しく着工された持家(自分で住むために建てる家)の数です。国土交通省の建築着工統計調査報告(令和7年計)によると、前年より7.7%減り、4年続けて減っています。
建てる人の数が減っている中で、1人のお客さんは何社も比べます。だから、手段を1つずつ足していく発想だと苦しい。お客さんが家を建てるまでに通る段階ごとに、どこで何を見せるかを決めておくほうが、少ない予算でも取りこぼしが減ります。
図の下の点線の枠に、自社でいまやっている手段を書き込んでみてください。よくあるのは、知る段階のインスタとチラシに力を入れているのに、比べる段階と相談する段階が空いているケース。インスタで家の写真を見て気になった人が、社名で検索してもGoogleマップに出てこない。ホームページに事例はあるけれど、金額の手がかりがない。問い合わせはフォームだけで、入力する項目がずらりと並んでいる。こうなると、せっかく知ってもらった人が途中で消えます。
チラシの反響が落ちたからネット集客に切り替える、という話ではありません。チラシで知った人も、最後は検索して比べに来ます。
工務店を探す人は、どんな言葉で検索しているか
880回。「完成見学会」が全国で1か月に検索される回数です。お客さんがいまどの段階にいるかは、検索する言葉に出る。Googleのキーワードプランナー(広告アカウントがあれば無料で使える調べ道具)で、2026年10月12日に全国の数字を取りました。
| 検索語 | 月の検索数 | 上限クリック単価の目安 |
|---|---|---|
| 完成見学会 | 880 | 246〜1,093円 |
| 注文住宅の相談窓口 | 390 | 230〜9,993円 |
| 住宅 見学会 | 320 | 474〜2,103円 |
| 家づくり 相談 | 320 | 460〜9,997円 |
| 注文住宅 相談 | 170 | 465〜9,951円 |
| 平屋 見学会 | 170 | 317〜1,190円 |
| ハウスメーカー 工務店 選び方 | 90 | 237〜2,423円 |
| 家を建てる 相談 | 90 | 894〜10,057円 |
月の検索数は平均で、クリック単価は検索結果の上のほうに広告を出すために入札される額の目安です。
余談をひとつ。キーワードプランナーは「完成見学会」を「完成 見 学会」のように、ところどころ空白で区切って返してきます。表では読みやすいように詰めました。
目立つのは2つ。1つは、見学会を探す検索が多いこと。「完成見学会」が月880回あり、大手ハウスメーカーの名前に「完成見学会」を付けた検索も、月70〜260回の幅でいくつも並んでいました。家を決める直前の人は、実物を見に行く場所を探しています。
もう1つは、相談を探す言葉のクリック単価の高さ。「家づくり 相談」は上限の目安が9,997円、「家を建てる 相談」は10,057円まで出ています。見学会を探す語の上限が1,000〜2,000円台なのと比べると、桁が違う。家づくりの相談を受ける会社や仲介サービスが、この言葉に強く入札していると読めます。小さな工務店が真正面から入札しても、予算がすぐに尽きます。
裏を返すと、相談の言葉で広告を出す前に、地名で探されたときに見つかる状態を作っておくほうが先。次の章から、その順番で見ていく。
知る段階は、インスタとチラシで「覚えてもらう」
家を建てたいと思い始めたばかりの人は、まだ工務店を探していない。間取りや外観の写真を眺めている。インスタやチラシ、知り合いからの紹介がこの段階を受け持ちます。
ここで大事なのは、すぐ問い合わせにつなげようとしないことです。投稿の目的は、社名と家の雰囲気を覚えてもらうこと。半年後に比べる段階に入ったとき、候補の1社として思い出してもらえればいい。
インスタで見せるのは、完成写真だけでは足りません。その家のどこを工夫したのか、住んでいる家族が何に喜んだのか。プロフィールには、対応している地域と、施工事例のページへのリンクを置いておきます。比べる段階に入った人が、そこから次へ進めるように。
Meta広告(インスタとFacebookに出す広告)も、この段階で使えます。住んでいる地域と年齢で絞れるので、商圏の外に広告費が漏れにくい。設定の考え方はMeta広告のターゲティングにまとめています。インスタの運用そのものは、別の記事で詳しく書く予定です。
比べる段階は、Googleビジネスプロフィールと施工事例で「見つけてもらう」
「◯◯市 工務店」「◯◯市 注文住宅」。会社を比べ始めた人は、地名を付けて検索します。このとき検索結果の上のほうに出る地図の枠が、Googleビジネスプロフィールです。
Googleビジネスプロフィールは、オーナー確認と写真から
Googleのヘルプ「Google のローカル検索結果のランキングを改善するヒント」では、地図の枠の順位は3つの要素で決まると説明されています。検索した言葉とプロフィールが合っているか(関連性)、検索した人からの距離、どれだけ知られているか(知名度)。距離は変えられないので、工務店が手を入れられるのは残りの2つです。
同じヘルプで、オーナー確認をすること、住所や営業時間や業種を正確に入れること、写真を載せること、クチコミに返信することがすすめられています。工務店なら、写真は施工事例の外観と室内を。クチコミには、施主さんの名前が分かる返信をしないよう気をつけながら、1件ずつお礼を返していきます。
地図の枠への出し方は、地方でのローカルSEO対策で地方の会社向けに手順を書いています。工務店向けの細かい設定は、別の記事でまとめる予定です。
施工事例は、金額と工期の手がかりまで載せる
地図の枠でもホームページでも、比べている人が最後に見るのは施工事例です。
ここでもったいないのが、文字の少ない事例です。写真はきれいなのに、文字は「◯◯市 S様邸」と一言だけ。比べている人が知りたいのは、自分の予算でどれくらいの家が建つのか、どれくらいの期間がかかるのか、自分たちと似た家族が住んでいるのか、のほうです。
| 載せること | 書き方の例 |
|---|---|
| 価格帯 | 本体価格で◯千万円台など、幅で書く |
| 工期 | 着工から引き渡しまでの月数 |
| 家族構成 | 夫婦と子ども2人、など |
| こだわった所 | 施主さんが最初に出した要望と、それにどう応えたか |
金額を載せたくない、という工務店は少なくありません。家ごとに条件が違うので、載せた数字が独り歩きするのが怖い。その気持ちは分かります。ただ、手がかりが1つもないと、比べる候補から先に外されてしまう。幅で書けば十分です。
相談する段階は、申し込みの入口を軽くする(住宅の相談窓口の実例)
ここからは、実際に見た数字の話です。
2025年の秋、注文住宅を建てたい人の相談に乗る窓口のLPを担当しました。広告から来た人をこのページで受けて、相談の申し込みにつなげる役目です。
9月の時点のページは、最初の画面に「プロが寄り添う」という趣旨のキャッチコピーと、暮らしのイメージ写真。その下に、業界での経歴、これまでの相談の件数、相談が無料であること、提携している住宅会社の多さが続いていました。申し込みは、相談の予約です。
中身は悪くないし、強みもはっきりある。なのに、申し込みが思ったほど伸びませんでした。
スクロールの記録で、半分前後が2画面目の前で帰っていた
そこで、Microsoft Clarity(ページのどこまで読まれたかを記録できる無料の道具)のスクロールの記録を、9月中旬から10月下旬まで日ごとに保存していきました。
並べてみると、毎日ほとんど同じ形をしていたんです。ページの上から15%のあたり、つまりスマホで最初の画面を過ぎて2画面目に入るところまでに、4〜6割の人がいなくなっていました。一方で、そこを越えた人のうち、ページの一番下まで読んだ人は日によって4〜8割いた。
最初の画面を越えた人は、ちゃんと読んでくれている。
問題は2画面目の手前にありました。経歴も、相談件数も、相談が無料であることも、全部2画面目から下に置かれている。半分前後の人は、その強みを1つも見ないまま帰っていたことになります。
11月の版で変えたのは、入口の重さと数え方
11月に、別の地域向けに作ったページでは、主に3か所を変えました。
- 申し込みの入口を、相談の予約から、LINEの友だち追加に変えた。追加すると家づくりの資料がもらえる、という形です
- 申し込みのボタンを、最初の画面とそのすぐ下を含めて、上から順に4か所に置いた
- ボタンが押された数を、Metaの広告側に送って数えるようにした
1つ目の理由は、相談の予約は、家を建てる気持ちが固まった人でないと押せないからです。広告から来る人の中には、まだ比べ始めたばかりの人もいる。いきなり予約を求めると、その人たちは帰るしかありません。資料をもらうだけなら、気持ちが固まる前でも押せる。LINEでつながっておけば、相談の案内はそのあとで送れます。
3つ目は地味ですが、外せないところ。ボタンが押された数を広告に返しておかないと、広告の側はどんな人を連れてくればいいかを学べません。押された数が分かれば、ページのどこを直したら数字が動いたかも追える。
スクロールの記録の見方やページの直し方は、LPOとはで手順にしています。
決める段階は、見学会と資金計画で「選んでもらう」
最後の段階の人は、候補を数社まで絞り込んでいる。ここで決め手になるのが、実物を見られる見学会と、お金の見通しです。
先ほどの表で、「完成見学会」は月880回、「平屋 見学会」は月170回検索されていました。見学会を探している人は、行く日を決めたがっている。告知が「◯月◯日 見学会開催」というチラシ画像1枚だけだと、日時も場所も予約の方法も読み取りにくく、スマホでは文字がつぶれます。
見学会ごとに告知ページを1枚作り、日時と場所と予約の方法を文字で書く。予約制にして、1組あたりの時間の枠を決めておくと、担当者がじっくり話せます。完成した家だけでなく、壁の中や断熱材が見える工事中の見学会もあります。「構造見学会」も月260回検索されていて、性能を確かめたい人はこちらを探している。
資金計画も、この段階の大きな迷いです。相談窓口のページで、お金の不安を持つ人に資金計画の相談を案内する流れが入ったのも、同じ理由。月々いくらなら払えるのかが見えないと、どれだけ気に入った家でも決めきれません。
見学会や資金計画の見せ方は、それぞれ別の記事で詳しく書く予定です。
広告は、受け皿が整ってから足す
受け皿が弱いまま広告で人を増やすと、帰ってしまう人の分まで広告費を払うことになる。広告は人を呼ぶ量を増やす手段なので、順番は最後です。
工務店が最初に出すなら、地名と工事を組み合わせた検索広告(リスティング広告)を、1つの地域で小さく始めるのがおすすめです。「◯◯市 注文住宅」「◯◯市 平屋」のように、地名を付けて探している人は、もう比べる段階に入っている。数は少なくても、申し込みに一番近い人たち。
千葉のリフォーム会社で検索広告を組んだときは、同じ県の中でも、上限クリック単価の目安が地域によって2.5倍違いました(高いほうの値で比べた場合)。工事の種類ごとにキャンペーンを分け、工事ごとの専用ページで受ける形にした。地域ごとの予算の分け方や、ショールーム名の検索の扱いは、リフォーム会社のリスティング広告に実データ付きで書きました。新築の工務店でも、考え方は同じ。
広告から来た人の申し込みは、フォームの送信、電話のタップ、LINEの友だち追加を、別々に数えられるようにしておきます。どれか1つしか数えていないと、広告が効いているのかを見誤る。数え方の設定はGoogle広告のコンバージョン設定に手順があります。
小さな工務店が手を付ける順番
最後に、順番を1枚にまとめます。
1〜3は広告費がかからない。時間はかかっても、社内でできることばかりです。社長さんと事務の方で分担すれば、少しずつ進められる。
今週のうちに確かめられることです。
- 自社の社名で検索して、Googleマップの枠に出てくるか
- Googleビジネスプロフィールのオーナー確認が済んでいるか
- 施工事例に、価格帯と工期と家族構成が書いてあるか
- スマホでホームページを開いて、最初の画面に数字の強みが1つあるか
- 問い合わせのフォームの項目が、名前と連絡先と一言くらいまで減らせないか
- 資料請求やLINEなど、相談の予約より軽い入口があるか
- 見学会の告知が、画像だけでなく文字のページになっているか
- フォームの送信と電話のタップを、別々に数えているか
全部にチェックが付くまで、広告は急がなくていい。
Stellariumでは、住宅の相談窓口のLPの制作と改善、千葉のリフォーム会社の工事ごとのページ制作と検索広告の運用を担当してきました。スクロールの記録や広告の数字を見て、どこで人が帰っているかを確かめ、ページの並びと申し込みの入口を直すところまで、同じ担当者が通して見ています。
- 工務店の集客は、何から始めればいいですか?
- 広告より先に、お金のかからない受け皿を整えます。順番は、Googleビジネスプロフィールのオーナー確認と施工写真、施工事例のページに価格帯と工期を載せること、相談の手前に資料やLINEのような軽い申し込みの入口を置くこと。この3つができてから、見学会や広告で人を呼ぶ量を増やします。
- 工務店のホームページに、金額は載せたほうがいいですか?
- 目安だけでも載せたほうが、比べている人の候補に残りやすくなります。家ごとに条件が違うので、確定の金額である必要はありません。施工事例ごとに価格帯と工期、家族構成を添える形なら、金額が独り歩きする心配も小さくなります。
- 見学会の集客に、ネットは使えますか?
- 使えます。Googleキーワードプランナー(2026年10月12日取得・全国)では、「完成見学会」が月880回、「住宅 見学会」が月320回検索されています。見学会ごとに告知ページを作り、日時・場所・予約の方法を1ページにまとめておくと、検索や広告から来た人がそのまま予約できます。
- 小さな工務店でも、Web広告は出したほうがいいですか?
- 受け皿が整ってからなら、出す価値はあります。最初は地名と工事を組み合わせた検索広告を、1つの地域で小さく始めます。施工事例や申し込みの入口が弱いまま広告を出すと、来た人が帰ってしまう分にも広告費を払うことになります。
関連記事
広告運用リフォーム会社のリスティング広告|千葉県の検索数とクリック単価から考える出し方
リフォーム会社・工務店がリスティング広告を出すときの考え方を、千葉県のキーワードプランナーの実データでまとめました。ショールーム名の検索の扱い、地域で倍以上違うクリック単価と予算配分、外壁塗装と水回りの分け方、比べられたときに選ばれる専用ページの作り方まで。
業種別の集客不用品回収の集客方法|広告とLPを中心に、地図・チラシ・ポータルとの組み合わせ方
不用品回収業者の集客を、Googleマップ・チラシ・ポータル・リスティング広告・LPの役割から整理しました。仙台と広島の不用品回収の案件で実際にやった広告グループの分け方、問い合わせの数え方、LPの並べ方を、判断の理由とあわせて書いています。
業種別の集客新規オープンの集客でやるべきこと|開店前から始める店舗集客の方法とチェックリスト
新規オープンの集客でやるべきことを、開店3か月前から開店後までの順に整理しました。Googleビジネスプロフィールの開業日設定、オープン前のSNSと店頭告知、地域広告の範囲、景品表示法に沿ったオープン特典、LINEでの再来店まで、公式ヘルプの出典つきで説明します。開店前後の時期別の図と、キーワードプランナーの検索数も載せています。



