
「反響はポータル頼み。掲載料は毎年上がるのに、来るのは部屋探しの問い合わせばかりで、肝心の売却の相談が増えない」
地域の不動産会社の集客で、つまずきやすいところです。ポータルサイトをやめたいわけではない。ただ、反響の入口がそこ1本しかない状態が落ち着かない。
先にお断りしておくと、Stellariumは不動産会社の集客を直接担当したことはありません。担当してきたのは、千葉のリフォーム会社の検索広告と専用ページ、注文住宅の相談窓口のLP(広告から来た人を受けるページ)。同じ「家」のお客さんを相手にした仕事で見た数字と、2026年10月にキーワードプランナーで取り直した不動産の検索数をもとに、何から始めて、どこを外に頼むかを並べてみる。
まず手を付ける3つを表にしました。
| 手段 | 何のため | 最初の一歩 |
|---|---|---|
| Googleビジネスプロフィール | 「地名 不動産屋」で探した人に見つけてもらう | オーナー確認をして、店舗と担当者の写真を載せる |
| エリアページ | 売却を考える人に、地域の相場と流れを見せる | 主な駅か町名ごとに1ページ作る |
| 問い合わせの入口 | 電話をためらう人も取りこぼさない | 電話・フォーム・LINEを分けて数える |
ポータルの掲載はそのまま続けてかまわない。広告は、この3つが整ってから足します。
不動産の集客は、ポータルだけで足りるのか
賃貸の部屋探しはポータルで足りることが多く、売却の相談はポータルの外で取り合いになっている。検索の数字に、それがはっきり出ていました。
2026年10月14日に、Googleのキーワードプランナー(広告アカウントがあれば無料で使える調べ道具)で数字を取りました。
| 検索語 | 月の検索数 | 上限クリック単価の目安 |
|---|---|---|
| 千葉 賃貸 | 8,100 | 5〜48円 |
| 船橋 賃貸 | 4,400 | 4〜41円 |
| 千葉 中古 戸建て | 2,400 | 15〜256円 |
| 不動産 査定 | 2,900 | 1,914〜13,685円 |
| マンション 査定 | 1,900 | 3,317〜17,504円 |
| 家 を 売る なら | 1,900 | 543〜4,707円 |
月の検索数は平均で、クリック単価は検索結果の上のほうに広告を出すために入札される額の目安です。
部屋を探す人の検索は多いのに、広告の単価は数円から数十円。検索結果の上をポータルサイトが占めていて、広告で取り合う会社が少ないのだと読めます。部屋探しの人はまずポータルを開く。ここは無理に戦わなくていい場所です。
売却は桁違い。「マンション 査定」の上限の目安は1万7千円を超える。1件の売却の仲介が会社にとって大きな仕事なので、一括査定のサイトや大手の会社が強く入札している、と読むのが自然でしょう。売り物件を預かれるかどうかで会社の売上が決まる。その入口を、ポータルと一括査定サイトに預けたままでいいのか、という話になります。
賃貸と売却では、反響を取る場所が違う
賃貸の反響はポータルと地図の枠で受け、売却の反響は自分のホームページで受ける。分けて考えると、何にお金と手間をかけるかが決まります。
賃貸の仲介が主力の会社なら、ポータルの物件写真と説明文を磨くことがそのまま反響につながります。売買や売却の仲介を伸ばしたい会社は、ポータルの外に自分の入口を持たないと、一括査定サイトの順番待ちから抜けられない。
まずはそこから。どちらが主力かで、この先の章の重みが変わります。
売却査定の反響は、どこから来るのか
売却の相談は、地名で会社を探す人と、一括査定のサイトを使う人の2つの道から来ます。自分で持てるのは前者の道です。
同じ日の数字では、一括査定サイトのサービス名に「査定」を付けた検索が月1,900回あった。一方で「船橋 不動産 売却」は月40回、「千葉 市 不動産 売却」は月70回しかありません。地名を付けて売却先を探す人は少ない。でも上限の目安は548〜7,529円、398〜3,761円と高く、数が少ないぶん1人の重みが大きい言葉です。
ここで効いてくるのが、エリアページ。「船橋駅の周りで中古マンションを売るとき」のように、駅や町名ごとに1ページ作り、次のことを書きます。
| 載せること | 書き方の例 |
|---|---|
| 地域の相場 | 公的なデータや自分たちの成約から、幅で書く |
| 売却の流れ | 査定から引き渡しまで、何週間くらいか |
| 売れた例 | 築年数と広さ、売り出しから成約までの期間 |
| 担当者 | 顔写真と、その地域に何年いるか |
一括査定サイトを経由した人は、何社かから同時に連絡を受けます。最後に比べるとき、社名で検索してこのページを見に来る。地域のことを分かっている会社に見えるかどうかは、ここで決まります。
査定の入口は軽くしておく。住所と物件の種類と連絡先だけで、まずは机上の査定(訪問せずにデータから出す査定)を申し込めるようにします。いきなり訪問の日程を聞くフォームは、まだ売るか決めていない人には重すぎる。
これは住宅の相談窓口で実際に見たことです。2025年の秋、注文住宅を建てたい人の相談に乗る窓口のLPを担当し、Microsoft Clarity(ページのどこまで読まれたかを記録できる無料の道具)でスクロールの記録を日ごとに保存しました。スマホで2画面目に入るあたりまでに、毎日4〜6割の人がいなくなっていた。毎日です。
別の地域向けに作り直したページでは、入口を相談の予約から、家づくりの資料がもらえるLINEの友だち追加に変えました。相談の予約は気持ちが固まった人しか押せない。資料をもらうだけなら、比べ始めたばかりの人でも押せます。売却の査定も同じで、訪問査定の予約より手前に、机上の査定や「地域の売却事例をまとめた資料」のような入口を置くと、まだ迷っている人とつながれる。ページの直し方はLPOとはに手順を書きました。
「地名 不動産屋」で探す人には、Googleビジネスプロフィールで見つけてもらう
「船橋 不動産屋」で検索すると、上のほうに地図の枠が出ます。そこに出す情報を管理するのがGoogleビジネスプロフィールで、登録に費用はかかりません。
「船橋 不動産屋」は月480回、「船橋 不動産屋 おすすめ」は月260回検索されていました。「おすすめ」を付ける人は、どこに行けばいいかを比べている人です。もう候補を絞る段階。
Googleのヘルプ「Google のローカル検索結果のランキングを改善するヒント」では、地図の枠の順位は関連性、距離、知名度の3つで決まると説明されています。同じヘルプで、オーナー確認、住所や営業時間の正確な入力、写真の追加、クチコミへの返信がすすめられている。
不動産会社なら、写真は店の外観と入口、カウンター、担当者。初めての人は店に入る前に雰囲気を確かめたい。営業時間と定休日は、ホームページやポータルの店舗情報と同じにそろえます。ここが食い違っていると、定休日に無駄足を踏ませてしまう。
余談ですが、学生の頃に部屋を探したときは、駅前の不動産屋のガラスに貼られた間取りの紙を順番に見て歩きました。今はその役目をスマホの地図とクチコミがしている。入口に貼る紙が、写真とクチコミへの返信に変わっただけです。
物件ページとエリアページは、何を書けば検索に出るのか
物件ページはポータルと同じ情報になりやすく、検索ではポータルに勝ちにくい。検索の入口として育てるのは、エリアページと売れた例のほうです。
同じ物件が、ポータル数社と自分のホームページに同じ写真と同じ説明文で並ぶ。検索エンジンから見ると、どれを出しても中身は同じです。差が付かない。物件ページは、ポータルで見つけた人が社名で検索して確かめに来たときの受け皿と割り切る。そのかわり、ポータルにない情報を足しておきます。担当者が現地で見て気づいたこと、周りのスーパーまでの道、日当たりが良い時間帯。
エリアページは、ポータルが書きにくいところです。駅ごとの家賃の幅、小学校の学区、坂の多さ、夜の人通り。地域に店を構えている会社しか書けない情報は、検索でもAIの答えでも引かれやすくなる。
ガイドラインでは、おとり広告が起きる原因として、管理しきれない数の物件を載せていたこと、管理をアルバイト任せにしていたことも挙げられていました。自分のホームページに物件を増やすなら、誰が何曜日に成約を確かめて消すのかを先に決めておく。人が足りないうちは、物件の数を絞ってエリアページを厚くするほうが安全です。
規約の全文は、同じ連合会の「公正競争規約の紹介」から読めます。
リスティング広告とMeta広告は、どの反響に使うか
広告は売却と売買の反響に使います。賃貸はポータルに任せ、広告費を回しすぎない。
リスティング広告(Googleの検索広告)で狙うのは、「地名+売却」「地名+不動産屋」のような、もう会社を探している人の言葉です。全国向けの「不動産 査定」で一括査定サイトと競うと、予算がすぐ尽きる。勝ち目は薄い。地名を付けた言葉は数が少ないかわりに、地域の会社が勝負できる場所です。
千葉のリフォーム会社で検索広告を組んだときは、同じ県の中でも上限クリック単価の目安が「千葉市 リフォーム」386〜1,085円、「リフォーム 船橋」633〜2,743円と、高いほうで比べて2.5倍違いました。不動産でも、今回の数字で「船橋 市 不動産 会社」は512〜2,650円、「船橋 不動産 屋 おすすめ」は97〜648円と、言葉ひとつで単価が変わります。地域と言葉ごとに数字を分けて見られるように組んでおかないと、どこで広告費が高くついているのか分からない。組み方はリフォーム会社のリスティング広告に千葉県の実データ付きでまとめています。
Meta広告(インスタとFacebookに出す広告)は、まだ探していない人に知ってもらうために使います。住んでいる地域で絞れるので、店の近くの持ち家の人に「この町の売却事例」を見せる、分譲や中古の内見会を知らせる、といった使い方ができる。押してもらう先は、エリアページか内見会の告知ページです。トップページに飛ばすと、来た人は何を見ればいいか分からないまま帰ります。
問い合わせの受け皿は、電話・フォーム・LINEを分けて数える
どこから何件の反響が来たかを分けて数えないと、どの手段が効いているかを見誤ります。
不動産の反響は電話が多い。だからといって電話しか入口がないと、仕事中に電話できない人や、まだ相談するほどではない人を取りこぼす。入口は4つにする。
- スマホでタップすればかかる電話番号。タップされた数を数える
- 名前と連絡先と用件くらいまで項目を減らしたフォーム
- 物件の写真や住所を送って気軽に聞けるLINE
- ポータル経由の反響は、ポータルの管理画面の数字と別に記録する
千葉のリフォーム会社でも、フォームの送信だけでなく、スマホで電話番号をタップした数を計測する形にしました。住宅の相談窓口では、LINEの友だち追加のボタンが押された数を広告の側へ送って数えている。数え方の設定はGoogle広告のコンバージョン設定に手順があります。
反響が来たあとの返事の速さも、受け皿の一部です。一括査定サイト経由の人は何社かから連絡を受けている。最初に返事をした会社と話を進めたくなるのは、自然な気持ちでしょう。
不動産会社は、何から始めて、どこを外に頼むか
順番は、広告費のかからない受け皿が先で、人を呼ぶ手段があとです。
社内で持つものと、外に頼みやすいものを分けるとこうなります。
| 仕事 | 社内で持つ | 外に頼みやすい |
|---|---|---|
| 物件と地域の情報 | 写真、現地で気づいたこと、成約の確認 | 文章を読みやすく整えること |
| エリアページ | 相場の材料、売れた例、担当者の言葉 | ページの制作と、検索の数字を見た手直し |
| 査定や相談のページ | 返事の速さと対応 | LPの制作と、スクロールの記録を見た改善 |
| 広告 | 予算の上限と、反響の質の判断 | キーワード選び、配信、数字の報告 |
地域の情報とお客さんとのやり取りは、社内にしかない材料です。ここは手放さない。外に頼むのは、それをページと広告に載せて数字を見ながら直す作業のほう。頼む場合も、広告のアカウントとSearch Consoleは自分たちの会社の名義にしておきます。担当が替わっても、数字と履歴が残るように。
今週のうちに確かめられることです。
- 会社の名前で検索して、地図の枠に出てくるか
- Googleビジネスプロフィールの営業時間と定休日が、ポータルやホームページと同じか
- 主な駅か町名のエリアページが1つでもあるか
- 訪問査定の予約より軽い、机上査定や資料の入口があるか
- 電話のタップ、フォームの送信、LINEの友だち追加を別々に数えているか
- ホームページの物件に、成約済みのものが残っていないか
- 物件一覧に、情報登録日と次回の更新予定日が書いてあるか
全部にチェックが付いてから広告を出しても、遅くはない。
Stellariumでは、千葉のリフォーム会社で工事ごとの専用ページの制作と検索広告の運用を、住宅の相談窓口でLPの制作と改善を担当してきました。新築の会社の段階ごとの手段は工務店の集客方法にまとめています。不動産会社でも、キーワードプランナーで地域ごとの検索数と単価を調べ、エリアページと査定の入口を作り、広告の数字を見ながら直すところまで、同じ担当者が通して見られます。
- 不動産会社の集客は、ポータルサイトだけで足りますか?
- 賃貸の部屋探しの反響はポータルサイトで集まりやすい一方、売却の相談と、会社の名前で探して比べる人はポータルの外にいます。キーワードプランナー(2026年10月14日取得)では「千葉 賃貸」の上限クリック単価の目安が5〜48円なのに対し、「マンション 査定」は3,317〜17,504円でした。売却の反響を増やしたいなら、自社のエリアページと査定の入口を持つ必要があります。
- 不動産会社が最初に手を付ける集客は何ですか?
- 広告費のかからない3つからです。Googleビジネスプロフィールのオーナー確認と写真、地域の相場や売却の流れを書いたエリアページ、電話・フォーム・LINEを分けて数えられる問い合わせの入口。ここが整ってから、リスティング広告やMeta広告で人を呼ぶ量を増やします。
- 不動産のホームページに物件を載せるとき、気をつけることは?
- 成約した物件を残さないことです。不動産公正取引協議会連合会のおとり広告ガイドラインでは、インターネット広告の更新は最長でも2週間ごととし、その間に契約済みと分かった物件はすぐに削除することを求めています。情報登録日か直前の更新日と、次回の更新予定日を見やすい位置に書くことも必要です。
- 不動産会社の集客で、外に頼んだほうがいいのはどこですか?
- 物件の写真、地域の情報、お客さんとのやり取りは社内にしかない材料なので、社内で持ちます。広告の運用、査定や相談を受けるページ(LP)の制作、検索の数字を見てページを直す作業は、専門の人に頼むと早く回ります。頼む場合も、広告のアカウントとSearch Consoleは自社の名義にしておきます。
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