
「1人採用するのに、結局いくらかかっているんだろう」
求人広告の請求書は毎月届くのに、それで何人採れたのかと聞かれると、すぐには答えられない。採用の相談を受けていると、そういう会社によく出会う。
その「1人あたりいくら」が、採用単価です。
計算はシンプル。ただ、何を費用に入れるかで数字が大きく変わる。採用単価の計算方法と、中途採用の平均、それに広告の現場でよく混ざる「応募単価」との違いを、ドライバー募集の実例と一緒に整理しました。
採用単価とは、1人を採用するのにかかった費用
計算式はこれだけ。
採用単価 = 採用にかかった費用の合計 ÷ 採用人数
1年で求人広告に120万円使い、4人採用したなら、採用単価は30万円になります。
難しいのは、分子の「採用にかかった費用」に何を入れるかです。費用は大きく2つ。
| 種類 | 中身の例 |
|---|---|
| 外部コスト | 求人広告、人材紹介の手数料、求人サイトの掲載料、Web広告、採用サイトの制作費、説明会の会場費 |
| 内部コスト | 面接をする社員や担当者の人件費、応募者の交通費、入社までの手続きにかかる時間 |
外部コストは請求書があるので集めやすい。内部コストは見えにくく、入れるかどうかで数字が変わります。
社長さんが1人で面接している小さな会社なら、その時間も本当は費用です。とはいえ、最初から全部を正確に出そうとすると手が止まります。まずは外部コストだけで計算して、比べるときは毎回同じものを入れる。それで十分役に立ちます。
中途採用の採用単価の平均
株式会社マイナビの「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」では、2025年の中途採用費用の実績は1社あたり平均609.9万円、採用人数は平均12.3人でした(出典はマイナビ キャリアリサーチLab「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」)。
この調査は、従業員3名以上の企業で中途採用の業務と採用費用の管理に関わっている1,500人に、インターネットで聞いたものです。調査期間は2025年12月17日から22日。
609.9万円を12.3人で割ると、約49.6万円になります。
ただ、これは「費用の平均」を「人数の平均」で割った値です。会社ごとの採用単価を平均したものではないので、目安として見てください。採用人数が多い大きな会社と、年に1〜2人の小さな会社では、1人あたりの費用の感じ方がまるで違います。
サービスごとの年間の費用
同じ調査で、サービスごとの年間の実績(それぞれのサービスを使った会社の平均)は次のとおりでした。
| サービス | 年間の実績(平均) |
|---|---|
| 人材紹介 | 375.5万円 |
| ダイレクトリクルーティング | 173.9万円 |
| その他経費(採用サイトの制作・改修、交通費、会場費など) | 128.8万円 |
| 求人広告 | 125.1万円 |
| 求人検索エンジン | 122.7万円 |
人材紹介は、紹介された人を採用した段階で、年収の約30%程度の費用がかかる形のサービスと、調査の中で説明されています。採用が決まらなければ費用はかからない代わりに、1人あたりの金額は大きい。
求人広告や求人検索エンジン(Indeedなど)は、採用できてもできなくても費用がかかる代わりに、うまく当たれば1人あたりの費用を下げられる。どちらが安いかは、応募がどれだけ採用につながるかで決まります。
応募単価と採用単価は、何倍も違う
広告を出す会社が一番つまずくのが、ここ。
2026年9月、東京都西部の運送会社でトラックドライバーの募集をMeta広告(InstagramとFacebook)で始めました。最初の6日間で使った広告費は19,735円、成果として数えたのは2件でした。内訳はフォームからの応募が1件、LINEの友だち追加が1件です(記録はMeta広告でトラックドライバーを募集した最初の1週間)。
広告の管理画面には「成果1件あたり約9,900円」と出ます。
でも、これは採用単価ではない。LINEの友だち追加は応募ですらないし、フォームの応募も、面接に来て、採用が決まって、初めて「1人」になります。
仮の数字で計算してみる。広告で応募が10件来て、そのうち面接に来るのが5人、採用が決まるのが1人だとすると、応募単価が1万円でも、採用単価は10万円です。面接に来る人が半分、採用が5人に1人なら、採用単価は応募単価の10倍になる。
広告の成果を応募単価だけで判断すると、応募は多いのに採用につながらない広告を「成績がいい」と評価してしまいます。実際、このドライバー募集では、クリック率が一番高かった動画広告から、6日間で成果が1件も出ていません。
採用単価を下げる順番
費用を削るより先に、応募から採用までで落ちている場所を直すほうが、採用単価は下がります。
- 応募のあとの対応を見直す(連絡の速さ、面接日の決め方)
- 求人原稿と採用ページで、条件や仕事の様子を正直に見せる
- 無料で載せられる場所を増やす
- 広告は、採用につながった媒体と広告にお金を寄せる
1つ目が一番効く。応募から連絡までが遅いと、その間にほかの会社に決まってしまう。応募が来ても採用につながらない原因の切り分けは、求人を出しても応募が来ない原因にまとめました。
2つ目は、ミスマッチを減らす話です。給与の幅、休み、1日の流れ、職場の写真。ここをはっきり見せるほど、面接に来てから辞退される数が減ります。採用ページの作り方は採用LPの作り方に書いています。
3つ目は、求人検索エンジンへの無料掲載や、Googleしごと検索です。自社の採用ページに求人情報の構造化データを入れると、Googleの検索結果の求人枠に無料で載る対象になります(Googleしごと検索とは)。
4つ目の広告は、記録があって初めてできることです。応募単価ではなく採用単価で比べて、採用につながった媒体と広告に予算を寄せていきます。代理店に任せる場合も、応募後の数字まで一緒に見てくれるかが選ぶときの分かれ目です(求人広告の代理店の選び方)。
計算するときの注意
採用単価を出したら、比べ方にも気をつけてください。
- 期間をそろえる。広告を出した月と採用が決まった月がずれるので、3か月や半年など長めの期間で計算する
- 入れる費用をそろえる。前回は内部コストを入れて、今回は入れない、では比べられない
- 職種を分ける。ドライバーと事務職では、採用の難しさがまったく違う
- 早期の退職も見る。すぐ辞めてしまえば、また同じ費用がかかる
マイナビの調査でも、職種や地域、会社の規模で費用は大きく違っていました。平均と比べて高い安いを気にするより、自社の採用単価が前回より下がったかを見るほうが、次の手を決めやすくなります。
最初にやること
- 直近半年の、採用にかかった外部コストを全部書き出したか
- 同じ期間に採用した人数を数えたか
- 応募者ごとに、面接・採用・応募経路を記録する表を作ったか
- 媒体ごとに、応募単価と採用単価を並べて比べたか
この4つが埋まれば、どこにお金をかけるべきかが数字で見えてきます。
- 採用単価とは何ですか?
- 1人を採用するのにかかった費用のことです。一定の期間にかかった採用の費用の合計を、その期間に採用した人数で割って出します。費用には、求人広告や人材紹介の手数料などの外部コストと、面接をする社員の人件費などの内部コストがあります。
- 中途採用の採用単価の平均はいくらですか?
- マイナビの「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」では、2025年の中途採用費用の平均は1社あたり年間609.9万円、採用人数の平均は12.3人でした。この2つの平均を割ると約50万円になります。ただし平均どうしの割り算なので、目安として扱ってください。
- 応募単価と採用単価はどう違いますか?
- 応募単価は応募1件にかかった費用、採用単価は1人を採用するのにかかった費用です。応募のすべてが面接や採用につながるわけではないので、採用単価は応募単価の何倍にもなります。広告の成果を見るときは、応募単価だけでなく、面接や採用まで進んだ割合も合わせて見ます。
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