採用LPの作り方|応募が来るページの構成と運送会社の制作実例

「Indeedにもハローワークにも出しているのに、応募がほとんど来ない」 「採用LPを作りませんか、という営業が来たけれど、何がいいのかよくわからない」
この2つを同時に抱えた運送会社の社長さんから、9月の頭に相談を受けました。東京の西のほうで25年やっている会社で、募集しているのは2tと4tのドライバー。求人媒体には出している。そこへ、AIでLPを自動生成するサービスの営業が来て、話がややこしくなっていたところでした。
最終的にその会社のドライバー採用LPを作り、Meta広告(InstagramとFacebook)で配信するところまで僕が担当しています。ここに書くのは、そのとき打ち合わせで話したことの記録。一般論はほとんどありません。
採用LPとは|求人媒体の掲載ページと何が違うのか
採用LPは、1つの会社の採用情報だけを1ページにまとめた専用ページのこと。LPはランディングページの略で、広告などをクリックした人が最初に着地するページを指します。
求人媒体との違いは、見せ方を自分で決められるかどうか。
| 求人媒体(Indeed・ハローワークなど) | 採用LP | |
|---|---|---|
| 載せられる情報 | 決められた項目と文字数の範囲 | 制限なし。写真も動画も給与例も自由 |
| 隣に並ぶもの | 同じ条件で探している他社の求人 | 自社の情報だけ |
| 人の集め方 | 媒体の検索に来た人 | 広告やSNS、QRコードで自分から連れてくる |
| 向いている人 | すでに転職先を探している人 | まだ本格的に探していないが、条件次第で動く人 |
媒体に載せた求人は、同じ職種の他社と横一列で比べられます。時給や月給の数字が少しでも低いと、中身を読まれる前に候補から外れる。採用LPはこの横並びから抜け出して、条件以外の魅力まで読んでもらうための場所です。
ただし置いておくだけでは、誰にも見られません。人を連れてくる手段とセットで考える必要があって、今回はInstagramを眺めている人に広告で届け、興味を持った人をLPへ案内する形にしました。
採用LPを作る前に決めておくこと
デザインの話は、打ち合わせの後半までほとんど出ませんでした。先に決めたのは、誰に、どこから、どの入口で来てもらうか。ここが曖昧なまま作り始めると、きれいなだけで応募につながらないページになります。
誰に来てほしいか|絞りすぎないほうがいい場合もある
ここは僕の読みが外れました。ドライバー募集なので「30代以降の男性」を中心に考えていたのですが、社長さんに聞くとまったく違う答えが返ってきたんです。
うちの場合、何時に働きたいか、いくら欲しいかを、逆にまず聞きたいんですよ。主婦の方もいっぱいいるし、女性もいる。年配の方もいるんです。
長く働けば稼げるのが運送業の給与の特徴で、その一方で、今は時間を優先したい人も多い。この会社はどちらも受け入れられる。それならターゲットを狭めるほうがもったいない、という結論になりました。
デザインも変わります。男性が見ても女性が見ても抵抗のないものにする必要がある。ターゲットは業界の常識からではなく、その会社で実際に誰が働いているかから決めるのが確実でした。
どこから人を連れてくるか|エリアと広告費
採用は通える範囲の人にしか意味がありません。
「立川あたりまで。埼玉の入間あたりもギリギリ」。社長さんの言葉をそのまま配信地域にしました。広告費は月10万円前後で、まず3ヶ月様子を見る計画です。
なぜ10万円か。広告の単価は、同じ地域の同じ層に広告を出している競合の数で決まるからです。都心から離れた地域の運送会社の採用なら、競合はそこまで多くない。月5万円以下だと配信の学習が安定しにくいので、10万円前後から始めるのをおすすめしました。
広告の仕組みそのものに不安がある場合は、Meta広告が難しい3つの理由と解決策に初心者向けの整理があります。
応募の窓口|フォーム・電話・LINE
応募の入口も会社ごとに答えが変わります。電話が一番早い会社もあれば、若い人や女性に向けてLINEを入口にしたい会社もある。
この会社ではLPの応募フォームと電話にしました。スマホでは画面の下に「電話する」「応募する」のボタンを常に出し、フォームは入力1分で終わる項目数に抑えています。
LINEはやり取りの手間が増える代わりに、電話より気軽。LINE公式アカウントは月200通までなら無料プランで使えるので、応募が増えてきた段階で足す、という順番にしました。
求職者が採用LPで比べている情報は、実は3つしかない
打ち合わせで社長さんに伝えたのは、求人を見る人が判断に使う材料はほとんど決まっている、ということでした。
- 給与(いくらもらえるか)
- 働く時間と日数(自分の生活に合うか)
- 職場の様子(どんな事務所で、どんな人が働いているか)
学生の頃、アルバイトを探していたときのことを思い出すとわかりやすいと思います。まず時給と時間で候補を絞る。次に「ここなら大丈夫そうか」を雰囲気で判断する。順番はだいたいこれでした。
足りていないのは3つめです。事務所の中や外の写真、男女の比率、働いている人の年代。求職者が一番知りたいのに、どこにも書かれていない。載せるだけで、ほかの求人との差になります。
採用LPの構成|ドライバー採用LPで実際に使った並び
実際に公開したLPは、上から次の順番で並べています。
| 順番 | セクション | 役割 |
|---|---|---|
| 1 | ファーストビュー | 会社の雰囲気と、未経験OK・女性活躍中などの条件を一瞬で伝える |
| 2 | 社長のメッセージ | どんな会社か、誰が経営しているかを見せる |
| 3 | 働き方の決め方 | この会社ならではの採用の考え方を伝える |
| 4 | 仕事内容 | 2t・4tそれぞれの具体的な配送内容 |
| 5 | 働く人と給与例 | 在籍者の年代と、実際の給与を見せる |
| 6 | 働く環境 | 福利厚生、制服、免許取得のサポート、先に伝えておきたいこと |
| 7 | 車両 | 実際に乗るトラック |
| 8 | 募集要項 | コースごとの時間・賃金・休日 |
| 9 | 応募の流れと応募フォーム | 応募してから入社までの見通し |
このうち、応募の決め手になりやすい部分を掘り下げます。
「この時間でこの給与」ではなく、希望から聞く
よくある求人は「4tドライバー、6:00〜15:00、月給◯◯万円」と枠を決めて、その枠に入れる人を募集します。
この会社は逆でした。先に何時に働きたいか、いくら欲しいかを聞いて、合うコースを一緒に探す。それがこの会社の一番の強みなので、LPでも独立したセクションにして、よくある募集との対比で見せています。
数字も並べました。出発時刻が10通りあること。1日の賃金が8,000円から27,000円まで幅があること。週3日から働けること。「柔軟な働き方」と書くだけでは、読む人は自分に当てはまるかを判断できません。
給与は「モデル例」ではなく実績で出す
給与例には、在籍しているドライバー4人分の実績を載せています。月の出勤日数、拘束時間、残業時間、月平均の支給額と最高の支給額まで。数字は過去8か月の実績です。
2tでコンビニ配送をしている40代男性のアルバイトは、月15日の出勤で月平均128,000円。4tで朝から夜まで走る30代男性の正社員は月平均372,000円。同じ会社でも働き方でここまで変わる、というのが一目でわかります。
デメリットを先に書いておく
「働く環境」の最後に、「先にお伝えしておきたいこと」という枠を作りました。手積み・手卸しが基本で体を動かす仕事であること、洗車は基本的に手洗いであること。
良いことだけを並べたページより、応募する前にわかっていてほしいことまで書いてあるページのほうが信用されます。入社してから「聞いていない」とすぐ辞められるのを防ぐ意味もある。
応募の流れで「応募へのハードル」を下げる
応募フォームの手前に、応募から入社までの流れを4ステップで載せています。入力は1分、担当者から当日中に連絡、面接では実際に乗るトラックも見られる、会社見学だけでも歓迎。
応募をためらう理由の多くは「応募したらどうなるのかわからない」です。その先が見えていれば、ボタンを押すまでの距離が縮まる。
採用LPのデザインで気をつけること
写真はAIの画像ではなく、実際の会社で撮る
制作の途中まで、構成を確認するためにAIで作った仮の画像を10枚ほど入れていました。それを最終的にすべて、会社で撮影した写真と動画に差し替えています。夕方の車庫に並ぶトラック、事務所のデスク、打ち合わせテーブル、実際に貸し出す制服。
求職者が見たいのは、きれいな写真ではありません。自分が働く場所です。スマホで撮った写真でもかまわないので、実物を載せてください。
「おしゃれ」より「その会社らしさ」
最初に作ったデザインは、白と青を基調にしたすっきりした見た目でした。社長さんの反応はこうです。
「法人としてスタイリッシュすぎて、家業っぽいうちの会社と合わない」
そこで、レイアウトと写真はそのままに、黒地に金の差し色へ色だけを変えました。トラックに手をかけて、乗る人が誇れる一台に仕上げている会社なので、そのほうが実物の雰囲気に合っていたんです。
採用LPは、入社してから「思っていた会社と違った」とならないためのページでもあります。整ったデザインより、その会社の空気が伝わるデザイン。ここは迷わなくていい。
文字は16pxを基本にする
公開前にスマホとPCで文字の大きさを測ると、12〜15pxの小さな文字が約50種類ありました。見た目を整えようとすると、注記や表の文字をつい小さくしがちです。
年配の方にも読んでほしいページなので、本文も注記も表もフォームのラベルも16pxに揃え、どうしても小さくする札のような文字も14pxを下限にしました。
採用LPは1本にまとめる|職種ごとに分けないほうがいい理由
「2tと4tで、それぞれ別のLPを作ったほうがいいのでは」
打ち合わせでこの質問が出ました。答えは1本。
理由は広告の仕組みにあります。同じ会社がLPを2本作って別々に広告を出すと、同じ地域・同じ層の広告枠を自社同士で取り合うことになり、お互いの広告単価を押し上げてしまうんです。
分けたのは広告の画像と動画のほう。2t向けと4t向けを別に作り、LPは1本のまま、どちらの反応が良いかを見て配信の比重を調整していく。求職者側もLPの中で2tと4tのコースを切り替えて見られるので、不便はありません。
LP自体の作り方の全体の流れは、LP制作の流れを解説した記事にまとめています。
採用LP制作でよくある失敗と費用の考え方
AIで自動生成するだけのLPに高い月額を払う
月6万5千円の5年リース。合計すると約400万円です。
相談のきっかけになった営業の提案は、この金額でAIがLPや画像を作るシステムを使う、というものでした。社長さんは提案の段階でサンプルを見せてもらったそうですが、「自分が想像しているものと離れすぎていた」と。自動で作ったページを自分たちで編集できない仕組みだと、会社の実態に合わせた修正ができません。
採用LPで効くのは、ここまで書いてきたような「その会社にしかない情報」です。そこを聞き出して形にする工程を省くと、どれだけ作るのが速くても応募にはつながりにくい。
広告アカウントを制作会社の名義にしてしまう
広告の管理画面(広告アカウント)は、会社の名義で作ってもらい、運用する僕を担当者として招待してもらう形にしました。
業者によっては、アカウントを自社側で作って広告費もまとめて請求する形をとります。すると実際にいくら広告に使われているのかが見えにくく、依頼先を変えたときに配信データを引き継げない。お金を払っている会社が、いつでも数字を見られる状態にしておくのが基本です。
費用は「制作費+広告費」で考える
採用LPにかかるお金は、大きく2つに分かれます。
| 費用 | 払う先 | 目安の考え方 |
|---|---|---|
| LPの制作・広告の運用 | 制作会社・運用代行 | 作って終わりか、配信後の改善まで含むかで大きく変わる |
| 広告費 | Meta・Googleなどの広告媒体 | 地域と競合の数で変わる。今回は月10万円前後 |
僕の場合は、LP制作と3ヶ月間の広告運用・改善をまとめて50万円(広告費は別)でお受けしています。フリーランスに頼む場合の相場はLP制作費用の相場と選び方で、運用代行の手数料の仕組みは広告運用代行の費用相場で詳しく整理しました。
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採用LPと求人広告の相談をしませんか?
採用LPの制作から、Meta広告での配信・改善まで一人で担当します。今の求人の出し方をうかがったうえで、何から始めるべきかを整理します。
ご相談は無料です。そのまま依頼しなくても大丈夫です。
採用LPを作る前のチェックリスト
制作会社に相談する前に、社内で整理しておくと話が早く進む項目です。
- 実際に今働いている人の年代・性別・働き方を把握しているか
- 会社として「ここは他社と違う」と言えることが1つあるか(今回なら、希望から働き方を決めること)
- 給与の実例を出せるか。出すなら誰の分をどこまで出すか、社内で合意できているか
- 事務所・車両・職場の写真を撮れるか
- 仕事のきつい部分を、先に書いておく覚悟があるか
- 通える範囲はどこまでか
- 広告費を月いくら、何ヶ月出せるか
- 応募の入口は電話・フォーム・LINEのどれにするか
全部に答えが出ていなくても大丈夫です。僕が打ち合わせで聞くのも、ほぼこの項目でした。
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