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TikTok採用のやり方|求人に活用する投稿・広告と、職業安定法で気をつける表示

あおい
TikTok採用のやり方|求人に活用する投稿・広告と、職業安定法で気をつける表示

「若い人がIndeedを見てくれないなら、TikTokをやればいいんじゃないか」

採用の打ち合わせで、社長さんからこう言われることがあります。気持ちはよくわかる。求人媒体に出しても応募が来ない。若い人はみんなスマホで動画を見ている。それならそっちに出ればいい、という発想です。

半分は正しい、と私は思っています。

TikTokは若い人に仕事の様子を見せる場所としては向いている。ただ、動画を出しただけで応募が来るわけではありません。応募までの道を別に作る必要があり、求人ならではの法律の決まりもある。その両方を順に書いていきます。数字と決まりは、2026年9月28日に総務省と厚生労働省の資料、TikTok広告のヘルプを読んで確かめたものです。

TikTok採用が向いている会社、向いていない会社

10代は70.0%、60代は13.0%。TikTokの利用率は年代でこれだけ違います。総務省の調査報告書のPDFから、年代別の表を書き写しました。

年代TikTokの利用率
10代70.0%
20代52.1%
30代32.0%
40代26.8%
50代25.4%
60代13.0%
10代
TikTokの利用率70.0%
20代
TikTokの利用率52.1%
30代
TikTokの利用率32.0%
40代
TikTokの利用率26.8%
50代
TikTokの利用率25.4%
60代
TikTokの利用率13.0%

出典は総務省情報通信政策研究所「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」です。

高校生の新卒採用や、20代の若手を採りたい会社なら、TikTokに届けたい相手がいる可能性が高い。逆に、40代以上の経験者を1人だけ急いで採りたいなら、TikTokより先に打つ手があります。

職種でも向き不向きがあります。

飲食店の調理、美容師、建設や運送の現場、工場のライン。こうした仕事は、文字で説明するより動画で見せたほうが中身が伝わる。「何をする仕事なのか」がイメージしにくい職種ほど、動画の出番です。

もう1つ、時間の問題。TikTokのアカウントは育つまでに時間がかかるので、来月までに1人採りたい、という急ぎの採用には間に合いません。私が相談を受けたときは、急ぎの募集は広告や求人媒体で、TikTokは半年先、1年先の採用に向けて続けるもの、と分けて考えてもらっています。

採用のTikTokで見せるもの

見せるのは仕事の中身と一緒に働く人。

求人票に書いてある「未経験歓迎」「アットホームな職場」は、どの会社も書いているので読み飛ばされます。動画なら、新人が先輩に教わっている場面をそのまま映せる。朝礼の空気、休憩室の雑談、1日の仕事の流れ。応募する前に知りたいのはそういうことです。

  • 入社1年目の社員の1日を、出社から退社まで追う
  • 「この仕事で大変なこと」を現場の社員に答えてもらう
  • 仕事で使う道具や車両、作業場を見せる
  • 応募者からよく聞かれる質問に、動画で1つずつ答える

出るのは人事担当より、応募者と年の近い現場の社員のほうが、見る側は自分に置き換えやすい。

ただし無理に出演をお願いしないこと。

顔を出したくない社員もいる。手元だけ、後ろ姿だけでも仕事の様子は伝わります。退職した社員が映った動画をどうするかも、始める前に社内で決めておくと後で揉めません。

Stellariumでは飲食店のSNS運用代行で、撮影に店舗へ伺っています。現場で撮っていると、最初は緊張していた店員さんが、3回目くらいから普段の顔で話してくれるようになる。採用の動画も同じで、1本目から完璧を狙わないほうがうまくいきます。

大変なところも隠さないでください。

夏の現場は暑い、朝が早い、覚えることが多い。そこを見せておくと、それでもやりたい人が応募してくるので、入社後に「聞いていた話と違う」となりにくくなります。これは後で書く法律の話にもつながります。

TikTokの動画から応募までの道筋を作る

動画を見た人が、そのままTikTokの中で応募することは多くありません。

興味を持った人は、プロフィールを見て、会社のことをもう少し知ろうとします。そこで採用ページに移れて、給与、勤務地、勤務時間、休日が読めて、応募フォームまで進める。この道がないと、せっかく興味を持ってくれた人がそこで離れていきます。

段を進むごとに人数がどれだけ減るかは、私たちが公開している実例の数字が参考になります。運送会社のドライバー募集でMeta広告を6日間出したときの記録です。TikTokの数字ではありませんが、「動画を見た人が応募するまで」の減り方は同じ形をしています。

496回ページが開いて、成果は2件。数が少ないので割合はまだ当てにできませんが、ページまで来た人のほとんどは応募せずに帰っている、という事実は動きません。しかもこの実例では、最もクリックされた動画広告が費用の約半分を使って成果0件でした。動画の出来と、採用ページで応募まで進むかどうかは、別々に見て直す必要があります。

採用ページに何を載せるかは、採用LPの作り方で運送会社のドライバー採用の打ち合わせを例に詳しく書きました。給与の実例、職場の写真、1日の流れ。TikTokの動画で見せた人が採用ページにも出てくると、見た人の中で話がつながります。

求人を出しているのに応募が来ない場合は、TikTokを始める前に、求人の中身のほうを見直したほうが早いこともあります。その切り分けは求人を出しても応募が来ない原因にまとめています。

TikTok広告で求人を出すときの決まり

投稿を続けるだけでなく広告で届けることもできます。

やり方は、商品の広告と同じです。反応の良かった採用の動画をSpark Ads(投稿済みの動画をそのまま広告にする形式)で配信して、勤務地の周辺に住む人に見せる。広告の種類や動画の仕様、最低予算はTikTokマーケティングの記事に書いたので、ここでは求人ならではの点だけ挙げます。

TikTokの広告ポリシーには、住宅・雇用・信用(HEC)の広告についての決まりがあります(TikTok広告ヘルプ「HEC Ad Policy」)。雇用の広告は、正社員やアルバイト、フリーランスの案件、インターン、就職イベントなど、仕事の機会を宣伝する広告すべてと定義されています。米国とカナダ向けの広告では「特別広告カテゴリ」を申告して、年齢などでの絞り込みが自動で外れる仕組み。日本向けの広告は申告の対象に入っていませんが、ポリシーには差別的な配信を禁じる決まりもあるので、入稿前に一度目を通しておいてください。

日本の法律の側にも、年齢の決まりがあります。

募集と採用では、原則として年齢を不問にしなければならず、例外に当たる場合だけ年齢制限ができます(厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について」)。広告の配信先を年代で絞ることと、求人の中身で年齢を限ることは別の話です。動画や採用ページで「〇歳まで」と書くときは、例外に当たるかを先に確かめてください。

職業安定法の的確表示、TikTokで気をつけること

2022年10月1日から、職業安定法で、求人の情報を的確に表示することが義務になりました(厚生労働省「令和4年職業安定法の改正について」)。

厚生労働省のリーフレットでは、求人企業の義務として、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしないこと、求人の情報を正確で最新の内容に保つことが挙げられています(職業安定法 改正のポイント(PDF))。

法律が対象にしているのは、広告などで求人の情報を出すときです。TikTokの1本1本の投稿がどこまで当たるか、私は法律の専門家として判断できる立場にない。だから、会社の名前で求人に触れる動画は、求人票と同じ基準で作ると決めています。迷ったら労働局に確認するのが確実です。

厚生労働省のQ&Aに出てくる例

改正職業安定法のQ&Aには、どんな表示がまずいのかが具体的に載っています(令和4年改正職業安定法Q&A(PDF))。TikTokの動画で起きそうなものを抜き出しました。

Q&Aの例TikTokで起きやすい場面
「正社員」と言いながら、実際はアルバイト・パートの募集雇用形態を言わずに「一緒に働こう」とだけ呼びかける
給与の高い社員の基本給を、全員の基本給のように見せるベテラン社員の「月収〇万円」を新人の給与のように見せる
固定残業代の時間数を示さず、基本給に含めて表示する「月給〇万円」だけ字幕に出して内訳を出さない
モデル収入例なのに、必ず払われる基本給のように見せる「稼げる」を強調して、条件つきの例だと言わない
「正社員」と言いながら、実際はアルバイト・パートの募集
TikTokで起きやすい場面雇用形態を言わずに「一緒に働こう」とだけ呼びかける
給与の高い社員の基本給を、全員の基本給のように見せる
TikTokで起きやすい場面ベテラン社員の「月収〇万円」を新人の給与のように見せる
固定残業代の時間数を示さず、基本給に含めて表示する
TikTokで起きやすい場面「月給〇万円」だけ字幕に出して内訳を出さない
モデル収入例なのに、必ず払われる基本給のように見せる
TikTokで起きやすい場面「稼げる」を強調して、条件つきの例だと言わない

モデル収入例を出すこと自体や、「〇万円〜〇万円」と幅を持たせることは、Q&Aでも許されています。まずいのは、例であることを隠して、誰でもその額になるように見せることです。

表の例に、直し方を1列足して図にしました。撮影前に出演者や編集の担当と見ておくと、撮り直しが減ります。

募集が終わった動画を放置しない

TikTokならではの落とし穴が、これです。

リーフレットでは、募集を終えたり内容を変えたりしたら、速やかに求人情報の提供をやめるか内容を変えること、いつの時点の求人情報かを明らかにすることが、求人企業の義務として書かれています。求人媒体なら掲載期間が終われば消えます。TikTokの動画は、消さない限り残り続ける。1年前の「ドライバー募集中、月給〇万円」の動画が、今もおすすめに流れているかもしれません。

  • 給与や人数に触れた動画には、字幕で「2026年9月時点」のように時点を入れる
  • 募集が終わったら、該当の動画を非公開にするか、募集終了と分かるようにする
  • 条件が変わったら、古い条件の動画を見直す

CONTACT

採用の動画と採用ページをまとめて相談したい方へ

Stellariumでは、採用LPの制作と、SNS・Meta広告・Google広告を使った求人の運用をしています。どこに求人を出すかから一緒に決めます。

ご相談は無料です。そのまま依頼しなくても大丈夫です。

Meta広告・Google広告とTikTokの使い分け

TikTokだけで採用を回そうとしないほうがいい。私はそう考えています。

届く相手が違うからです。Google広告は「地域名 ドライバー 求人」のように、今まさに仕事を探して検索した人に出る。Meta広告はInstagramやFacebookを見ている、まだ本格的には探していない人に出る。TikTokはさらに手前で、仕事を探すつもりがなかった人に「こんな仕事があるのか」と知ってもらう場所です。

手段届く相手向いている場面
Google広告仕事を探して検索した人急ぎの募集、職種名で探される仕事
Meta広告InstagramやFacebookを見ている人地域で知ってもらい、応募につなげたい
TikTok仕事を探すつもりがなかった若い人半年先、1年先の採用に向けて知ってもらう
Google広告
届く相手仕事を探して検索した人
向いている場面急ぎの募集、職種名で探される仕事
Meta広告
届く相手InstagramやFacebookを見ている人
向いている場面地域で知ってもらい、応募につなげたい
TikTok
届く相手仕事を探すつもりがなかった若い人
向いている場面半年先、1年先の採用に向けて知ってもらう

それぞれの出し方は、Meta広告で求人を出す方法とGoogle広告で求人を出す方法に書きました。運送会社のドライバー募集で、Meta広告を出した最初の1週間の数字はMeta広告でトラックドライバーを募集した実例で公開しています。

始める前に決めておくこと

  • 採りたい人の年代が、TikTokの利用者が多い年代と重なっている
  • いつまでに何人採りたいかを決め、急ぎの募集は別の手段で出す
  • 動画から移れる採用ページがあり、給与や勤務地が読める
  • 出演する社員の了承を取り、退職したときの動画の扱いを決めた
  • 給与に触れる動画には時点を入れ、例であることを隠さないと決めた
  • 募集が終わった動画を誰がいつ見直すかを決めた
  • 応募フォームに「何を見て応募したか」を聞く欄を作った

最後の項目は地味ですが、あとで役に立ちます。TikTok経由の応募が何件あったかがわからないと、続けるかやめるかを決められません。

FAQ

TikTokは採用活動に使えますか?
使えます。特に若い人を採りたい会社に向いています。総務省の令和5年度調査では、TikTokの利用率は10代で70.0%、20代で52.1%でした。求人票では伝わりにくい仕事の中身や職場の様子を、動画で見せられるのが強みです。
TikTokの動画だけで応募は来ますか?
動画だけで応募まで進む人は多くありません。動画で興味を持った人が、プロフィールから採用ページに移り、そこで給与や勤務地などの条件を読んで応募する流れを用意しておく必要があります。
採用の動画で気をつける法律はありますか?
職業安定法で、募集を行う会社には求人の情報を的確に表示する義務があります。厚生労働省の資料では、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしないこと、募集を終えたら速やかに情報の提供をやめること、いつの時点の情報かを明らかにすることが挙げられています。給与の高い社員の例を全員の給与のように見せる表示も、誤解を生じさせる表示の例として示されています。

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