
求人広告の書き方を調べると、キャッチコピーは短く、仕事内容は具体的に、給与は明確に、といったコツがたくさん出てきます。
どれも正しい。ただ、それを全部、1つの広告に詰め込もうとすると失敗します。
今の求人広告は、2段階で読まれることが多いからです。InstagramやGoogleで広告の短い文を見て、気になった人だけがクリックし、採用LP(応募ページ)で条件を読んで決める。広告文と採用LPでは、読む人の状態も、使える文字数も違う。だから書くことも分けます。
運送会社のドライバー募集でInstagram・Facebookに出した広告5本の数字を使って、広告文に書くことと、採用LPに書くことの分け方を説明します。
求人広告は、広告文と採用LPの2段階で読まれる
| 広告文 | 採用LP | |
|---|---|---|
| 読む人の状態 | 仕事を探していない人も多い。スクロールの途中 | 少し気になってクリックした人 |
| 読む時間 | 1〜2秒 | 数十秒〜数分 |
| 書ける量 | 媒体ごとの文字数の決まりがある | 制限なし。写真も動画も載せられる |
| 役割 | 止まってもらう、クリックしてもらう | 比べて、応募するかを決めてもらう |
求人サイトに載せる原稿は、決められた項目を順番に埋める形が多く、広告文とLPが1つになっています。InstagramやGoogleの広告から採用LPに人を連れてくる場合は、ここが2つに分かれる。
広告文に条件を全部並べると、文字が多すぎて誰も止まらない。逆に、採用LPが広告文と同じくらい短いと、クリックした人が比べる材料がなくて帰ってしまう。
広告文に書くこと
誰に向けた求人かを、最初の数文字で伝える
スクロールしている人が止まるのは、自分のことだと思ったとき。2tドライバー、未経験から、週3日から。職種と、応募できる人の条件を最初に置きます。
一番伝えたい条件を、1つだけ書く
給与、休み、勤務時間、未経験OK。言いたいことはたくさんあっても、広告文で伝わるのは1つか2つです。その会社がほかと違うところを1つ選ぶ。
今回のドライバー募集では、会社の特徴が「働く時間や休みを、本人の希望から決める」ことでした。そこで、打ち出しを変えた広告を5本作っています。
| 広告 | 形式 | 打ち出したこと |
|---|---|---|
| A | 静止画 | 2t急募 |
| E | 静止画 | 働き方はあなた次第 |
| F | 静止画 | 休みも時間も自分で決める |
| G | 動画 | 車の周りを一周 |
| H | 動画 | 車庫から出発 |
媒体の文字数の決まりを守る
Googleの検索広告(レスポンシブ検索広告)は、見出しが半角30文字(全角15文字)、説明文が半角90文字(全角45文字)までです(Google 広告ヘルプ「レスポンシブ検索広告について」)。InstagramやFacebookの広告は長い文も入れられますが、画面では最初の数行しか見えず、続きは「もっと見る」の中に隠れる。どちらの場合も、伝えたいことは冒頭に置きます。
Google広告とMeta広告それぞれの出し方は、別の記事のGoogle広告で求人を出す方法とMeta広告で求人を出す方法にまとめています。
採用LPに書くこと
広告をクリックしたのは、もう少し知りたいと思っている人。ここでは、隠さずに、比べられる材料を出します。
| 載せるもの | 書き方 |
|---|---|
| 最初の画面 | 会社の雰囲気が分かる写真と、未経験OKなどの条件 |
| 仕事内容 | 1日の流れを時間つきで。何を運ぶか、どこを走るか |
| 給与 | 実際に働いている人の実績(モデル例は使わない) |
| 働き方 | 休みや勤務時間をどう決めるか |
| 職場 | 事務所、車庫、車両の写真 |
| 応募の方法 | フォーム、LINE、電話。気軽に聞ける入口も置く |
ドライバー募集のLPでは、在籍しているドライバー4人分の給与の実績を載せました。月の出勤日数、拘束時間、残業時間、月平均の支給額と最高の支給額まで。名前やイニシャルは出さず、年代と性別だけを載せています。
働き方は、決まった時間と給与の枠に当てはめるより、応募した人の希望を先に聞いて決める形にしました。このLPを作ったときの打ち合わせの記録は、採用LPの作り方に残してある。
写真と実績の数字まで載っていると、応募の前に本人が「自分に合うか」を判断できます。応募の数は減るかもしれない。そのかわり、条件を知らずに応募して面接で合わずに終わる、ということが減ります。
【実例】クリック率が高い広告から、応募は来なかった
9月22日から27日の夕方までの6日間、5本の広告の成績はこうでした。
| 広告 | 費用(円) | クリック | LP到達 | 成果 |
|---|---|---|---|---|
| G(動画・車の周りを一周) | 10,098 | 446 | 292 | 0 |
| H(動画・車庫から出発) | 6,894 | 238 | 160 | 1 |
| E(静止画・働き方はあなた次第) | 1,872 | 33 | 26 | 1 |
| A(静止画・2t急募) | 731 | 24 | 17 | 0 |
| F(静止画・休みも時間も自分で決める) | 140 | 2 | 1 | 0 |
LP到達は、広告をクリックしたあと、LPが実際に開いた回数。成果は、フォームからの応募とLINEの友だち追加を数えています。
27日のクリック率は、Gが13.0%、Hが4.7%、Eが3.3%。Gは群を抜いてクリックされ、LP到達1回あたりの費用も35円と一番安い。Eは72円で、Gの約2倍かかっています。
それでも、応募はHから、LINEの友だち追加はEから出ました。Gからは6日間で0件。
トラックの周りをぐるっと回る映像は、見ていて気持ちがいい。車が好きな人が眺めてクリックし、LPの条件を読まずに戻っている、という見方もできます。Eの「働き方はあなた次第」は、条件を自分で決めたい人に向けた言葉でした。クリックは少なくても、その言葉で止まった人がLPを読んで動いた、とも読める。
ただし、成果はまだ1件と0件の差です。あと1件でGに応募が来れば、印象は変わります。この数字で言えるのは、クリック率だけで広告を選ぶと、応募につながる広告を止めてしまうかもしれない、ということまで。配信の細かい経緯はMeta広告でトラックドライバーを募集した最初の1週間に書いています。
書いてはいけないこと
職業安定法の改正(2022年10月1日施行)で、求人の情報について、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示が禁止されました。情報を正確で最新の状態に保つことも求められています(厚生労働省「令和4年職業安定法の改正の概要について」)。
厚生労働省の資料で、虚偽の表示の例として挙がっているのは次のようなものです。
- 実際に雇う会社と違う会社名で募集する
- 正社員と書いて、実際はアルバイト・パートを募集する
- 実際に払う予定より高い給与を書く
- 実際には募集していない求人を出す
広告文は短いぶん、「月収50万円可」のように一番よい数字だけを書きたくなります。書くなら、どういう条件でその金額になるのかを、LPに必ず書いておく。採用LPの給与を実績で出しているのは、この理由もあります。
広告文と採用LPのテンプレート
広告文
【職種】を募集しています(【勤務地】)
【一番伝えたい条件を1つ】
【応募できる人の条件】
例(この記事のために書いた例で、実際に出した広告の文面とは違います):
2t・4tドライバーを募集しています(東京都西部)
働く時間と休みは、あなたの希望から決めます
未経験の方も、まずはLINEで質問だけでも
採用LP
- 最初の画面: 写真、職種、勤務地、一番伝えたい条件
- 仕事内容: 1日の流れを時間つきで
- 働いている人と給与の実績
- 働き方の決め方(休み、勤務時間)
- 職場と車両の写真
- よくある質問
- 応募の方法(フォーム、LINE、電話)
書き終えたら確かめること
- 広告文の最初の数文字で、誰に向けた求人か分かるか
- 広告文で伝える条件を、1つに絞ったか
- 広告文で約束したことに、LPの最初の画面で答えているか
- 給与は、実際の数字か、条件つきで書いているか
- 1日の流れ、休みの決め方、職場の写真を載せたか
- 募集が終わった求人や、古い条件の広告が残っていないか
- 広告の良し悪しを、クリック率だけでなく応募まで見て決めるか
求人を出しても応募が来ないときに、どこから直すかは求人を出しても応募が来ない原因にまとめています。
- 求人広告には何を書けばいいですか?
- 広告文(InstagramやGoogleに出る短い文)と、クリックした先の採用LP(応募ページ)で分けて考えます。広告文には、誰に向けた求人かと、一番伝えたい条件を1つだけ書きます。給与の実例、1日の流れ、休みの決め方、職場の写真など、比べて決めるための材料は採用LPに書きます。
- 求人広告で書いてはいけないことはありますか?
- 職業安定法で、求人の情報について虚偽の表示や誤解を生じさせる表示が禁止されています(2022年10月1日施行の改正)。実際より高い給与を書く、正社員と書いてアルバイトを募集する、すでに埋まった求人を出し続ける、といった表示は避けます。情報は正確で最新の状態に保つことも求められています。
- 求人広告の広告文は何文字くらいがいいですか?
- 媒体によって決まりがあります。Googleのレスポンシブ検索広告は、見出しが半角30文字(全角15文字)まで、説明文が半角90文字(全角45文字)までです。InstagramやFacebookの広告は、長い文も入れられますが、最初の1〜2行しか表示されないことが多いので、伝えたいことは冒頭に置きます。
- クリック率が高い求人広告は良い広告ですか?
- クリック率だけでは判断できません。私が担当したドライバー募集では、クリック率13.0%の動画広告に費用の約半分が使われましたが、6日間で応募は0件でした。応募が出たのは、クリック率4.7%の動画と3.3%の静止画です。広告はクリック率と、LPに来たあとの応募の両方で見ます。
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