
「入札戦略って、結局どれを選べばいいの?」
Google広告を自分で始めると、キャンペーンを作る途中でこの画面に止まります。クリック数の最大化、コンバージョン数の最大化、目標コンバージョン単価。名前は並んでいるのに、どれが自分向けなのかは書いていない。
迷って当然です。
僕の答えは、選ぶ前に「コンバージョンが正しく数えられているか」を確かめる、です。自社の広告もまさにその段階にいて、90日間で問い合わせフォームの送信完了が0件だったので、自動入札への切り替えを止めている。
入札戦略の種類と使いどころ、学習中の意味、変更するときの注意を、自社アカウントの数字と一緒に整理しました。
Google広告の入札戦略とは、1クリックにいくら払うかの決め方
検索されるたびに、Google広告は小さなオークションを開いている。同じキーワードに広告を出したい会社が何社もいて、その中で誰の広告を何番目に出すかを、その場で決めている。
入札戦略は、このオークションでの値段の付け方です。
「入札」と聞くと公共工事の入札を思い浮かべる人もいますが、あちらは安い値段を出したほうが有利になる仕組みで、向きが逆です。広告のオークションでは、高く払ってもいいと言ったほうが有利になる。
ここで出てくる言葉を先に並べておきます。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| コンバージョン | 広告のゴールになる行動。問い合わせフォームの送信、購入、電話など |
| CPA | コンバージョン1件にかかった広告費。「獲得単価」とも言う |
| ROAS | 広告費に対して何倍の売上があったか。広告費10万円で売上30万円なら300% |
| 上限クリック単価 | 1回のクリックに払ってよい金額の上限 |
Googleのヘルプでは、入札戦略を目的ごとにコンバージョン重視、クリック重視、露出度重視などに分けて紹介しています(出典はGoogle 広告 ヘルプ「目標に合わせた入札戦略を選択する」)。つまり最初に決めるのは戦略の名前ではなく、広告で何を増やしたいか、です。
手動入札と自動入札の違い
手動入札はキーワードごとに「1クリック何円まで」を自分で決める方法です。Google広告では「個別クリック単価制」と呼ばれています。
自動入札は目標だけを決めて金額をGoogleに任せる方法。検索した人の端末や地域、時間帯などを見ながら、オークションのたびに入札額を変えてくれます。
手動は、金額が自分の決めた通りになる安心感がある。そのかわり、キーワードが増えるほど見直しの手間が増え、検索した人ごとの違いまでは反映できません。自動は手間が減る一方で、何を目標にするかを間違えると、間違った方向に正確に進んでしまう。
自動入札で失敗する人の多くは、戦略の選び方より、この「目標の渡し方」でつまずいています。
主な自動入札を「いつ使うか」で整理する
検索広告を自分で運用する人が、自動入札の欄でまず目にするのは次の6つ。
| 入札戦略 | 増やそうとするもの | 使うタイミング | 必要な計測 |
|---|---|---|---|
| クリック数の最大化 | クリック数 | 計測がまだない、まず集客を始めたい | なくても使える |
| コンバージョン数の最大化 | コンバージョンの件数 | 計測が動いていて、件数を増やしたい | コンバージョン |
| 目標コンバージョン単価(目標CPA) | 決めた獲得単価での件数 | 件数がたまり、1件いくらまでと決められる | コンバージョン |
| コンバージョン値の最大化 | コンバージョンの金額の合計 | 売上金額を計測している | コンバージョンと金額 |
| 目標広告費用対効果(目標ROAS) | 決めたROASでの金額 | 金額の計測に加え、件数もたまっている | コンバージョンと金額 |
| 目標インプレッション シェア | 検索結果に出る割合 | 自社名の検索などで必ず上に出したい | なくても使える |
表の右端が大事なところ。上から2つめより下の4つは、どれもコンバージョンの数字を材料にして入札額を決めます。
クリック数の最大化
予算の範囲でクリック数ができるだけ多くなるように、Googleが入札額を決めます。上限クリック単価を設定しておくと、1回のクリックに払う金額に上限がかかり、単価が思ったより高くなったときの費用を抑えられる、とヘルプに書かれています(出典はGoogle 広告 ヘルプ「クリック数の最大化」入札戦略について)。
クリックが問い合わせにつながるかどうかは見ていません。だから計測がまだない最初の段階で使う戦略です。
コンバージョン数の最大化
予算を使いながら、コンバージョンの件数ができるだけ多くなるように入札します。ヘルプには、この戦略を使うにはコンバージョントラッキングの設定が必要とはっきり書かれている。
もう1つ知っておきたいのが予算の使い方です。ヘルプによると、この戦略は1日の平均予算を使い切ることを目指すので、今の費用が予算を大きく下回っている場合は、費用が大幅に増えることがある、と書かれています(出典はGoogle 広告 ヘルプ「コンバージョン数の最大化」による入札について)。
切り替えた翌日に費用が跳ねて驚く人がいるのは、これが理由です。
目標コンバージョン単価(目標CPA)
「1件あたり何円で取りたい」を決めて、その平均に近づくように入札します。ヘルプでは「目標アクション単価」という名前で説明されていて、1件ずつの単価は目標を上下しても、全体として目標と同じくらいになるよう調整される仕組みです。
結果を見るときは、過去30日間で少なくとも30件のコンバージョンを含めることがすすめられています(出典はGoogle 広告 ヘルプ「目標アクション単価」入札戦略について)。
月に数件しか問い合わせがない事業だと、ここに届くまでに時間がかかります。
コンバージョン値の最大化と目標広告費用対効果(目標ROAS)
この2つは件数ではなく金額を増やす戦略です。ネットショップのように、注文ごとに売上金額が違う事業で使います。
どちらも、注文や購入ごとに金額を記録するコンバージョン計測が前もって必要です(出典はGoogle 広告 ヘルプ「コンバージョン値の最大化」入札戦略について)。
目標ROASについては、検索キャンペーンの場合、過去30日間に15件以上のコンバージョンがあることが条件としてヘルプに書かれています(出典はGoogle 広告 ヘルプ「目標広告費用対効果に基づく入札について」)。
目標インプレッション シェア
検索結果に広告が出る割合を目標にする戦略です。出す位置は「最上部」「上部」「検索結果の任意の場所」から選べます。
ヘルプでは、自社名などのブランドのキーワードで、検索されたときに広告を必ず出したい場合に向いているとされています。上限クリック単価を低くしすぎると目標の割合に届かなくなる、という注意もあります(出典はGoogle 広告 ヘルプ「目標インプレッション シェアに基づく入札について」)。
自社のアカウントは、今も「クリック数の最大化」のまま
248回。2026年6月26日から9月23日までの90日間に、自社の検索広告がクリックされた回数です。
キャンペーンは1本で、6月2日に始めました。入札戦略はクリック数の最大化、上限クリック単価は500円、予算は1日5,000円。検索パートナーとディスプレイネットワークへの配信はどちらもオフにしています(2026年9月25日に管理画面のデータを取得)。
同じ90日間の数字はこうなっています。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 表示回数 | 5,391回 |
| クリック数 | 248回 |
| 費用 | 124,034円 |
| 平均クリック単価 | 約500円 |
| コンバージョン(主要) | 1件(LINEの友だち追加) |
| フォーム送信完了 | 0件 |
| 検索広告のインプレッション シェア | 23.2% |
| 広告ランク不足で失った割合 | 76.8% |
| 予算不足で失った割合 | 0% |
直近の30日(8月25日から9月23日)に絞っても、クリック119回、費用57,824円で、コンバージョンは0件でした。
平均クリック単価は約500円。上限と同じ金額です。入札の上限いっぱいでクリックを買っている状態で、それでも出せたはずの検索の7割以上を、広告ランク不足で逃している。予算はまったく足りなくなっていません。
表示が伸びないのが入札額より広告の評価の問題だという話は、広告のLPが遅いと広告費が上がるで品質スコアの内訳と一緒に書きました。
フォーム送信完了が0件のまま、コンバージョン数の最大化には切り替えない
コンバージョンが増えないなら、コンバージョン数の最大化に変えればいい。
最初はそう考えました。でも、この戦略が材料にするのはコンバージョンの記録です。90日で主要なコンバージョンが1件、問い合わせフォームの送信完了は0件。Googleからすれば、どんな人が問い合わせるのかを学ぶための手がかりがほとんどない。
しかも、今の0件には2つの読み方があります。
1つは、本当に問い合わせが来ていない。もう1つは、問い合わせは来ているのに、計測が記録していない。後者なら切り替えた瞬間からGoogleは間違った数字を正解だと思って入札を始めます。
予算の問題もある。1日5,000円の予算に対して、今の費用は予算を使い切っていません。予算不足で失った表示も0%。コンバージョン数の最大化は予算を使い切ろうとするので、計測が壊れたまま切り替えると、手がかりのないまま費用だけが増えるおそれがある。
だから順番を決めました。先にテスト送信をして、フォームの送信完了が記録されるかを確かめる。記録されるなら、0件は本当に0件なので、直すのは広告文やLPのほう。記録されないなら、直すのは計測です。
入札戦略を触るのは、そのあと。
コンバージョン計測が動いていないと、自動入札は使えない
7つ。自社のアカウントに入っていたコンバージョンの設定の数です。有効なもののうち「主要」、つまり入札の材料になる設定は、リードフォームの送信、LINEの友だち追加、LPのフォーム送信完了の3つです。
ここで気づいたことがあります。
LINEの友だち追加も主要に入っている。このままコンバージョン数の最大化に切り替えると、Googleは「LINEの友だち追加」と「問い合わせ」を同じ1件として数え、どちらも増やそうとします。友だち追加は問い合わせより気軽にできる行動なので、取りやすいほうに寄っていくかもしれない。
入札戦略を変える前に、何を1件として数えるかを決める必要がある、ということです。
計測を確かめる手順は次の通りです。
- 管理画面の「目標」から「コンバージョン」を開き、設定の一覧を出す
- 入札に使う設定が「主要」になっているか、使わない設定が「主要」に入っていないかを見る
- 自分で広告と同じLPからフォームを送信してみる
- 日をおいて、その送信がコンバージョンとして記録されたかを確かめる
- 記録されない場合は、送信完了ページに計測タグが入っているかを確認する
いちど動いていることが分かれば、あとは件数がたまるのを待つだけです。
入札戦略の「学習中」とは何か、どのくらい続くのか
学習中と出ているあいだ、Googleは新しい条件に合わせて入札額の決め方を調整している。ヘルプによると、この間は掲載結果が少し変動することがある。
学習中になるきっかけは3つ挙げられています(出典はGoogle 広告 ヘルプ「入札戦略のステータスについて」)。
- 入札戦略を新しく作った、またはもう一度有効にした
- 入札戦略の設定を変えた
- キャンペーン、広告グループ、キーワードを追加したり削除したりした
3つめは見落としやすい。入札戦略そのものを触っていなくても、キーワードを足しただけで学習中に戻ることがある。
期間については、Googleは日数を示していません。ヘルプに書かれているのは、新しい目標に合わせて入札戦略が調整されるまでに、コンバージョンが50回程度発生するか、コンバージョンサイクルが3回程度経過することがある、という目安です。データの量によっては短くなる場合もあるとされています(出典はGoogle 広告 ヘルプ「キャンペーンの学習期間の長さと、それに影響を与える要因」)。
コンバージョンサイクルは、クリックされてからコンバージョンが起きるまでにかかる時間のこと。ネットショップで思いついてすぐ買う商品なら短く、何度か比べてから問い合わせる相談ごとなら長くなります。
自社は90日で主要なコンバージョンが1件なので、50回程度という目安には遠く届きません。
入札戦略を変更するときの注意
差が出るのは、変えたあとの待ち方。
Googleのヘルプでは、自動入札の結果を見るときの期間として、コンバージョンサイクルを2回分以上含む期間、より明確に見るなら1か月程度か50回以上のコンバージョンを対象にすることをすすめています。入札単価や予算を大きく変えたあとは、落ち着くまでコンバージョンサイクル1〜2回分の時間を置いてから、次の調整をするように、とも書かれている(出典はGoogle 広告 ヘルプ「スマート自動入札のパフォーマンスを測定する際のヒント」)。
学習中に数字が悪く見えて戦略を戻し、また学習中になり、また戻す。これを繰り返すと、いつまでも結果を判断できる期間がやってきません。
目標値の変え幅については、意外な書き方がされています。目標CPAや目標ROASの値は、頻繁に変えても大きく変えても支障はなく、変えればすぐに入札額に反映される、とヘルプにあります(出典はGoogle 広告 ヘルプ「Google の入札アルゴリズムによる学習の仕組み」)。反映はすぐでも、新しい目標値に届くまでには時間がかかる場合がある、というのが前出のヘルプの説明です。
つまり、目標値を何%までなら動かしていいという数字をGoogleは出していません。僕は次のように分けて考えている。
- 入札戦略の種類を変えるときは、変えたあとサイクル2回分は結果を判断しない
- 予算や目標値を大きく動かしたときも、次に動かすのはサイクル1〜2回分待ってから
- キーワードや広告グループを足す日と、入札戦略を変える日を分けて、どちらが効いたのか分かるようにする
- クリック数の最大化からコンバージョン数の最大化に変える日は、費用を毎日見る
最後の1つは、先ほどの予算の話と同じ理由です。上限クリック単価で抑えていた費用が、予算いっぱいまで伸びることがある。
CONTACT
入札戦略を切り替える前に、計測から見直しませんか?
Google広告の運用を、コンバージョン計測の確認から入札戦略の選び方、検索語句の整理、LPの改善まで一人で担当します。今のアカウントを拝見して、自動入札に進める状態かどうかをお伝えします。
ご相談は無料です。そのまま依頼しなくても大丈夫です。
入札戦略のおすすめは、今いる段階で決まる
答えは、アカウントがどこまで進んでいるかで変わる。
| 今の段階 | 僕が選ぶ入札戦略 |
|---|---|
| コンバージョン計測がない、または動いているか分からない | クリック数の最大化(上限クリック単価を付ける) |
| 計測が動いていて、件数はまだ少ない | コンバージョン数の最大化 |
| 件数がたまり、1件いくらまでなら払えるかが決まっている | 目標コンバージョン単価(目標CPA) |
| 売上の金額まで計測していて、件数もたまっている | コンバージョン値の最大化、目標広告費用対効果 |
| 自社名で検索した人に必ず広告を出したい | 目標インプレッション シェア |
今の自社は1段目にいます。上の段を飛ばして下に進むと、材料のない自動入札に予算を預けることになる。
はじめて入札戦略を見直すなら、この順番で確かめてください。
- 管理画面で、今の入札戦略と上限クリック単価を確認する
- 直近90日のコンバージョン数を、設定ごとに分けて見る
- 入札の材料にしたくない設定が「主要」に入っていないか確かめる
- 自分でテスト送信をして、コンバージョンが記録されるか確かめる
- インプレッション シェアと、広告ランク不足・予算不足で失った割合を見る
- 切り替えるなら日付を記録し、キーワードの追加とは別の日にする
- 切り替えたあとは、コンバージョンサイクル2回分は結果を判断しない
広告ランク不足で表示を失っている割合が大きいなら、入札戦略より先に、クリック後のページと相手違いの検索を見直すほうが早い、というのが今の実感です。相手違いのクリックを止める方法はGoogle広告の除外キーワードにまとめてある。
運用を任せている会社があるなら、コンバージョンの設定と入札戦略の理由を説明してもらえるかは、Google広告の代理店の選び方で書いた確認ポイントの1つです。社内で運用を引き取るなら、入札戦略を変える判断を誰がするかも広告運用の内製化の進め方で決めておくと、学習中に慌てて戻す事故が減ります。
よくある質問
- Q. Google広告の入札戦略とは何ですか?
- 広告が表示されるたびに行われるオークションで、1回のクリックや表示にいくらまで払うかを決める方法です。自分で金額を決める手動入札と、Googleが目的に合わせて金額を自動で調整する自動入札があり、自動入札は「クリック数の最大化」「コンバージョン数の最大化」「目標広告費用対効果」など目的ごとに分かれています。
- Q. コンバージョン計測がなくても自動入札は使えますか?
- 「クリック数の最大化」や「目標インプレッション シェア」はクリックや表示の数を目標にするので使えます。「コンバージョン数の最大化」は、Googleのヘルプで使用するにはコンバージョントラッキングの設定が必要とされています。目標広告費用対効果やコンバージョン値の最大化は、さらにコンバージョンごとの金額(コンバージョン値)の計測が必要です。
- Q. 入札戦略の「学習中」はどのくらい続きますか?
- Googleは決まった日数を示していません。ヘルプでは、新しい目標に合わせて入札戦略が調整されるまでに、コンバージョンが50回程度発生するか、コンバージョンサイクル(クリックからコンバージョンまでにかかる期間)が3回程度経過することがあり、データの量によっては短くなる場合がある、と説明されています。
- Q. 入札戦略はどのタイミングで変更すればいいですか?
- 今の戦略の結果を判断できるだけの期間が過ぎてからにします。Googleのヘルプでは、評価はコンバージョンサイクル2回分以上を含む期間、より明確に見るなら1か月程度か50回以上のコンバージョンを対象にすること、入札単価や予算を大きく変えたあとはコンバージョンサイクル1〜2回分の時間を置いてから次の調整をすることが勧められています。
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