
「広告代理店から営業の電話が来る。頼んだほうがいいのか、いくらかかるのか、何をしてくれるのかが分からない」
整体院や接骨院の院長さんと話すと、よくこの話になります。ホットペッパーの担当者とは別に、広告の会社からも提案が届く。見積もりを並べても、手数料の率くらいしか比べるところが見つからない。
僕は2026年2月から、NEXAS(ネクサス)が運営する4つの院、練馬関町整体院、東高円寺接骨院、中野坂上中央接骨院、新宿御苑前の院のMeta広告(InstagramとFacebookの広告)を運用しています。3月から10月までに予約の申込は832件、1件あたり約3,600円。頼まれる側として見てきた費用の内訳と、最初の3か月で実際に何をしたかを書きます。
整体院の広告運用を頼むと、毎月かかるお金は3つに分かれる
まず広告費。MetaやGoogleに直接払うお金で院の広告アカウントに登録したカードから引き落とされます。
次が手数料で、運用する人に払うお金です。最後に、広告の画像やLP(広告から来た人が最初に見る予約のページ)を作る制作費。手数料に制作が入っているか、別に請求されるかは、頼む相手によって違う。見積もりで最初に確かめるのはここです。
僕の料金は、サイトの料金表に載せているとおり、運用額の20%(税別)。運用額が30万円未満の月は一律で月6万円にしています。広告費ごとに計算すると、こうなる。
| 月の広告費 | 手数料 | 広告費に対する割合 |
|---|---|---|
| 10万円 | 6万円 | 60% |
| 20万円 | 6万円 | 30% |
| 30万円 | 6万円 | 20% |
| 50万円 | 10万円 | 20% |
広告費10万円なら、手数料は広告費の6割。
設定の確認や毎月の報告の手間は、広告費が少なくてもほとんど減らないので、下限を置いている運用者は珍しくありません。率だけを見ると「20%なら安い」と感じても、自分の院の広告費で計算し直すと印象が変わります。手数料の決まり方や相場の調べ方は、Meta広告の運用代行の費用と選び方で詳しく書きました。
広告費は「予約1件いくら」から逆算する
NEXASの4院では、予約の申込1件あたりが平均で約3,600円でした。仮にこの単価で1院あたり月20件ほしいなら、広告費は約7.2万円。30件なら約10.8万円です。
あくまで1つのグループの平均で院によって単価は約1,200円から約6,450円まで開いています。最初の月の予算は、この計算で目安を置き、実際の単価が出てから直していく。
頼む前に、院長が決めておくこと
頼む相手が決めてくれそうで、実は院の側でしか決められないことがあります。
| 決めること | 中身 |
|---|---|
| 予約1件の上限 | 初回の料金と、2回目以降も通う人の割合から、払っていい額を出す |
| 予約を数える場所 | 広告の中のフォームか、院のLPの予約完了ページか |
| アカウントの名義 | 広告アカウントとピクセル(計測のタグ)を院の名義で作るか |
| 初回の値段 | 広告、LP、ホットペッパーで同じ値段と中身にそろえる |
1つ目は院長さんの手元の数字でしか計算できない。僕の手元には来院数や売上の数字がないので、NEXASでも上限は院の側の判断です。
名義は解約したときに効いてきます。運用する側の名義で作った広告アカウントだと、それまでの配信の記録やピクセルのデータを引き取れないことがある。院の名義で作り、運用する人には使う権限だけを渡す形にしておけば、相手を替えても積み上げは残ります。
値段のずれは、NEXASで僕が後から気づいた失敗でした。広告とLPは初回500円なのに、同じ院のホットペッパーのクーポンは3,500〜4,980円。広告で院を知った人がホットペッパーで院名を見つけると、別の値段が並んでいる。予約サイトと広告の担当が別だと、ここはまず誰も気づきません。
最初の3か月でやること(NEXASの4院の実際)
正直に書くと、NEXASの最初の1か月は遠回りでした。2月はトラフィック目的、つまりリンクのクリックを増やす目的で広告を出していて、LPは1回約31円で見てもらえていたのに、予約が何件入ったかを数えていなかった。月ごとの数字はこうです(Meta広告マネージャの実績。採用の広告は除いています)。
| 月 | やったこと | 費用 | 予約の申込 |
|---|---|---|---|
| 2月 | トラフィック目的のみ | 約41.4万円 | 数えていない |
| 3月 | 目的をリード(予約の申込)に変更 | 約44.9万円 | 105件・1件約4,270円 |
| 4月 | GWの訴求を準備 | 約11.6万円 | 20件・1件約5,800円 |
| 5月 | GW 60分500円 | 約33.7万円 | 80件・1件約4,210円 |
目的を予約の申込に変えた3月から、ようやく1件いくらで話せるようになりました。クリック単価は上がっても、予約しそうな人に広告が届くようになったからです。目的の違いと数字の動きは整体院のMeta広告の実データに詳しく書いた。この遠回りを踏まえて、今の僕が新しい院で最初の3か月を組むなら、こう進めます。
1か月目は、数える仕組みと広告の目的
最初の月に時間を多く使うのは広告の文面より計測です。広告の中のフォームで受けるなら申込がそのまま数になる。院のLPで受けるなら、予約完了のページにMetaのピクセルとGoogle広告、GA4のタグを入れておきます。
院が複数あるならキャンペーンは院ごとに分ける。まとめて出すと、どの院の予約が安く取れているのかが後から見えません。
2か月目は、訴求を比べて止める線を決める
止める線は先に決めておく。
6月に「骨盤スペシャル整体 70分500円」という広告を2院分出したとき、それぞれ約8,000円を使って申込が0件でした。グループの平均の約3,600円の2倍を超えたところで止めています。同じ値段と時間の「初回70分500円」では申込が取れているので、外れたのは名前の付け方のほうだと見ています。
3か月目は、院ごとの予算を配り直す
3か月たつと院ごとの単価の差が見えてきます。7月は練馬関町整体院が約67.7万円で152件(1件約4,460円)、東高円寺接骨院が約58.5万円で175件(1件約3,350円)。お金を多く使った院のほうが件数は少なかった。
受け皿もこの時期に見直しました。3月から9月までは主に広告の中のフォーム(インスタントフォーム)で申込を受けていて、10月から院ごとのLPのWEB予約へ送る形に切り替えています。最初の約3万円で9件、1件約3,330円。LPの作りは整体院のLPの作り方にまとめました。
3か月目に見る数字は、院ごとの予約1件あたりの費用
約1,200円と約6,450円。同じグループの院が、同じ初回500円を軸にした広告で取った予約1件あたりの費用の、安い月と高い月です。
新宿御苑前の院は9月に加わった院で、その月だけで108件を1件約1,200円で取りました。グループの9月の平均が約2,630円まで下がったのは、この院の分が大きい。
理由を1つには決められていない。院のまわりに住む人の数、駅からの近さ、近くの院の数。分けて測れるほどの件数はまだない、というのが今の正直なところです。
余談ですが、院のLPの店舗一覧には今のところ3院が並んでいて、新宿御苑前の院はまだ載っていません。院が増えるたびに同じ作りのページを1つずつ足していく。
3院のLPを並べると、作りが同じなのが分かると思います。違うのは院名、駅、電話番号、写真のところだけ。院ごとの単価を比べるとき、LPの作りの差を気にしなくて済むようにしてあります。



スマホでは横にスワイプして1院ずつ見られます
毎月の報告で見てほしいのは、院ごとの費用、申込の件数、1件あたりの費用、止めた広告と次に試す広告。クリック数や表示回数のグラフが何枚あっても、「なぜこの院は高いのか」に答えていなければ判断には使えません。
整体の広告の規制を、頼む相手が分かっているか
「医療広告ガイドラインに沿って作ります」。広告の提案書にこう書いてあったら、一度立ち止まってください。
厚生労働省の医療広告ガイドラインは、医業や歯科医業、病院や診療所の広告についての指針です。接骨院や整体院の広告で読むのは、同じ厚生労働省のあはき・柔整広告ガイドライン(令和7年2月18日)のほう。広告の媒体の例として、リスティング広告やSNS広告もはっきり挙がっています。
| 院の種類 | 読む決まり | 主な中身 |
|---|---|---|
| 接骨院・整骨院 | 柔道整復師法第24条と、あはき・柔整広告ガイドライン | 広告できる事項が法律で決まっている |
| 整体院 | あはき・柔整広告ガイドラインの「無資格者の行為に関する広告」 | 費用の過度な強調、症状への施術の表現などを載せるべきでない事項に挙げている |
NEXASも、練馬関町整体院は整体院、東高円寺と中野坂上は接骨院です。同じグループの同じ初回500円の広告でも、院ごとに見る決まりが変わる。広告の文面を作る人がこの区別を分かっているかは、頼む前に聞いておいていいところです。決まりの中身と、Metaの広告ポリシーとの関係は整体院のMeta広告の実データの後半で、柔道整復師法で広告できる事項の一覧は整骨院・整体院のSEO対策で書いています。
頼むか、自分でやるかの決め方
| 院の状況 | 向いている形 | 理由 |
|---|---|---|
| 1院だけ、月の広告費が10万円前後 | まず自分で1院から | 下限のある手数料だと広告費の半分以上になる |
| 院が2つ以上ある | 頼む | 院ごとの予算と単価を毎週見る手間が増える |
| 写真や広告画像、LPを作る人がいない | 制作まで含めて頼む | 運用だけ頼むと、差し替えのたびに往復が入る |
| 週に1回、数字を見る時間が取れる | 自分でも回せる | 広告の目的と止める線さえ決めれば、続けられる |
自分でやるなら、最初の1か月は1院だけで始めて、その院の1件あたりの費用が見えてから2院目に広げる。手段の選び方から考えたい人は整体院・接骨院の集客方法を先に読むと、広告をどこに置くかが分かりやすくなります。
頼むなら、見積もりの前にこれだけ聞いておくと比べやすい。
- 広告の成果を、クリックではなく予約の申込に置くか
- 院ごとにキャンペーンと予算を分けるか
- 広告アカウントとピクセルは院の名義で作るか
- 広告画像やLPの制作は手数料に入るか、別料金か
- 手数料の下限と、最初の契約期間、やめ方
- 接骨院と整体院で、広告の決まりを分けて見ているか
- 毎月の報告に、院ごとの1件あたりの費用が載るか
僕は初回だけ3か月の継続をお願いしている。広告の目的を決めて、訴求を何度か入れ替えて比べるのに、そのくらいかかるからです。
Stellariumでは整体院・接骨院のMeta広告の運用と、院ごとの予約LPの制作をひとりで担当している。NEXASの4院と同じように、院ごとに予算と単価を分けて見る形から始められます。中身はMeta広告の運用代行のページにまとめています。
- 整体院の広告運用を頼むと、毎月いくらかかりますか?
- Metaやグーグルに払う広告費と、運用する人に払う手数料、画像やLPの制作費の3つに分かれます。僕の料金は運用額の20%で、運用額が30万円未満の月は一律6万円です。広告費10万円の月なら手数料は6万円で、広告費に対して60%になります。
- 頼んでから最初の3か月で、どこまで進みますか?
- 1か月目に予約を数える仕組みと広告の目的を決め、2か月目に訴求を何案か出して止めるものを決め、3か月目に院ごとの予約1件あたりの費用を見て予算を配り直します。NEXASの4院では、目的を予約の申込に変えた最初の月が105件で1件約4,270円でした。
- 整体院の広告に、医療広告ガイドラインは関係ありますか?
- 医療広告ガイドラインは病院や診療所の広告の指針で、整体院や接骨院の施術所は、厚生労働省のあはき・柔整広告ガイドラインのほうを読みます。接骨院は柔道整復師法第24条で広告できる事項が決まっていて、整体院は同じガイドラインの「無資格者の行為に関する広告」の項目が当てはまります。
- 広告運用は、頼むのと自分でやるのとどちらがいいですか?
- 1院だけで月の広告費が10万円前後なら、手数料の割合が重くなるので、まず自分で1院から始める手があります。院が2つ以上あって院ごとに予算を分けたい、写真やLPを作る人が院内にいない、という場合は頼んだほうが早く進みます。
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