
「Shopifyなら海外にも売れるって聞いたけど、何をすればいいの?」
Shopifyは、海外への販売(越境EC)がしやすいカートとして紹介されることが多いです。実際、国や地域ごとの通貨や言語の設定は、管理画面から用意されています。ところが、設定を一通り終えても、ストアの一部が日本語のまま、ボタンが出ない、金額の記号がおかしい、ということが起きる。
原因の多くは、テーマの作り。
私は、アクセサリーのお店mimiのために作ったテーマ「雪華」を、ほかの国のお店でも使えるように多言語対応させました。mimi自体は今のところ国内向けのお店ですが、テーマを英語でも動く形にする作業の中で、翻訳しただけでは壊れる場所がいくつも見つかっています。Shopifyの越境ECの仕組みと、その記録をまとめた。仕組みの説明は、2026年10月2日にShopifyのヘルプで確認した内容です。
Shopifyの越境ECは「マーケット」で設定する
Shopifyで海外に売るときの中心は、マーケットという設定です。売りたい国や地域を1つずつ、または「北米」「ヨーロッパ」のようにまとめて指定できます(出典はShopify ヘルプセンター「国際販売」)。
マーケットごとに決められるのは、主にこの4つ。
| 項目 | できること |
|---|---|
| 通貨 | お客さんの国の通貨で価格を表示し、支払いを受ける |
| 言語 | 国・地域ごとに表示する言語を決める |
| 価格 | 国・地域ごとに価格を調整する |
| ドメイン | 国・地域ごとのドメインやURLを使い分ける |
日本のお店が最初にやるなら、1つか2つの国から始めるのが現実的です。全世界に一度に開くと、送料、関税、問い合わせの言語まで、決めることが一気に増えます。
多言語対応は、公式アプリのTranslate & Adaptで
ストアの文言を別の言語にするには、Shopify公式の翻訳アプリ、Translate & Adaptを使うのが基本です。商品名や説明文、テーマの文言を、言語ごとに入れられる。
Shopifyのヘルプでは、このアプリで自動翻訳できるのは最大2言語と説明されています。一度自動翻訳した言語は、あとから別の言語に切り替えられません。言語をストアから外しても、この上限は元に戻らない(Shopify ヘルプセンター「Translate & Adapt」)。
自動翻訳を使う2言語は、最初に慎重に決める。3言語目からは、手動で翻訳を入れるか、ほかの翻訳アプリを使うことになります。
自動翻訳はそのまま出さず、商品の説明やサイズの表記だけでも、その言語が分かる人に一度読んでもらうのが安全です。アクセサリーなら、素材の名前やアレルギーに関わる表記の誤訳は、返品や問い合わせに直結します。
通貨と価格は、自動で換算される
マーケットで通貨を設定すると、ストアの価格はお客さんの通貨に自動で換算して表示されます。価格は市場の為替レートに合わせて変わる(Shopify ヘルプセンター「為替レート」)。
ヘルプには、通貨の換算に換算手数料がかかることも書かれています。率や細かい条件は、使う決済サービスや設定で変わるので、始める前にヘルプと決済の画面で確かめてください。日本向けの決済の考え方はShopifyの決済方法にまとめています。
送料も、国ごとに別の設定が要る。国内の送料の決め方はShopifyの送料設定に書きました。海外は、重さとサイズで送料が大きく変わるうえ、関税や輸入税の扱いも決める必要があります。
テーマが日本語に頼っていると、翻訳しても壊れる
ここからは、テーマを多言語に対応させたときの記録。
雪華は、無料テーマのDawnを土台に、mimiのために作り込んだテーマです(経緯はShopifyテーマの選び方)。2026年8月10日、このテーマをほかの国のお店でも使えるようにする作業をしました。
まず、テーマの中に直接書かれていた日本語を、言語ファイルに移しています。
| 対象 | 件数 |
|---|---|
| 画面に出る文言(ボタン、見出し、案内文) | 196か所 |
| 金額や数が入る文言(「あと◯円で送料無料」など) | 35か所 |
| JavaScriptが出す文言と金額の書式 | 43か所 |
| 管理画面の設定項目の名前や説明 | 217か所 |
ここまでは、翻訳の準備としてよくある作業。
本当に手間がかかったのは、日本語の言葉を目印にして動いていた機能でした。英語のストアでは、その目印がなくなって、機能そのものが止まります。
| もとの作り | 英語のストアで起きること |
|---|---|
| 商品のオプション名に「サイズ」が含まれていたら、サイズ案内のボタンを出す | オプション名が「Size」になり、ボタンが出ない |
| オプション名に「カラー」が含まれていたら、色を丸い見本で表示する | 色の丸が出ず、文字だけになる |
| タグが「素材:」で始まっていたら、素材として表示する | 素材の表示が消える |
| 商品名に「新作」が含まれていたら、NEWの印を付ける | NEWの印が付かない |
| 刻印の文字を「刻印」という名前で注文データに入れる | 注文データの項目名が日本語で固定される |
| 指輪のサイズ表を「7号、9号…」で持つ | アメリカやヨーロッパの刻みに変えられない |
| 金額を「¥」と日本式の区切りで組み立てる | ほかの通貨で金額の表示が壊れる |
| 日付を「年月日」の順で固定する | 国ごとの日付の並びにならない |
金額は、ストアに設定された通貨の書式を使って組み立て直しました。目印にしていた言葉は、言語ごとに言語ファイルで持たせた。英語のストアでは「Size」「Color」を目印にすれば、日本と同じように動きます。
作業のあと、mimiの公開中のストアと作業用のテーマで、全15ページの表示を1行ずつ突き合わせ、日本語のお店の表示が1文字も変わっていないことを確かめてから反映しました。
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Shopifyの越境EC、テーマの対応から相談できます
マーケットと翻訳の設定から、日本語に頼ったテーマの作りの洗い出し、多言語に対応したテーマの開発まで、今のストアを見て進め方を提案します。
ご相談は無料です。そのまま依頼しなくても大丈夫です。
越境ECを始める前に決めること
- 最初に売る国・地域を、1つか2つに絞ったか
- 自動翻訳を使う2言語を決めたか(あとから変えられない)
- 国ごとの送料と、関税・輸入税をどちらが払うかを決めたか
- 海外からの問い合わせに、何語で、誰が答えるかを決めたか
- 返品や交換の条件を、海外向けに書いたか
- 英語に切り替えたストアで、ボタン、色の表示、金額、日付を確かめたか
最後の項目は、テーマを作った会社に確認するのが早いです。「このテーマは、日本語の言葉や円の記号を目印にして動いている部分がありますか」と聞いてみてください。答えられない場合は、英語に切り替えたストアを自分で一通り触って確かめるしかありません。
- Shopifyで越境ECはできますか?
- できます。Shopifyの「マーケット」で、売りたい国や地域を指定し、国・地域ごとに通貨、言語、価格、ドメインを設定できます。商品の価格はお客さんの通貨に自動で換算して表示でき、言語は公式アプリのTranslate & Adaptなどで翻訳します。
- ShopifyのTranslate & Adaptで、何言語まで自動翻訳できますか?
- Shopifyのヘルプでは、Translate & Adaptで自動翻訳できるのは最大2言語と説明されています。一度自動翻訳した言語は、別の言語に切り替えることができません。3言語目以降は、手動で翻訳を入れるか、ほかの翻訳アプリを使います。
- Shopifyで外国の通貨で売ると、手数料はかかりますか?
- Shopifyのヘルプでは、通貨の換算に換算手数料がかかると説明されています。価格は市場の為替レートに合わせて自動で変わります。手数料の率や、為替レートを固定する方法の条件は、使う決済サービスや設定によって違うので、ヘルプで確認してから始めます。
- テーマを翻訳すれば、海外向けのストアになりますか?
- 文言を翻訳するだけでは足りないことがあります。テーマの中に「サイズ」「カラー」のような日本語の言葉や、円の記号を直接書いて判定している部分があると、英語のストアでは、サイズ案内のボタンが出ない、色の丸が出ない、金額の記号がずれる、といった不具合が起きます。翻訳の前に、テーマが日本語に頼っていないかを確かめます。
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