
「Shopifyが得意な制作会社を探しているんですが、どこも『実績100件以上』と書いてあって、違いが分からなくて」
制作会社のサイトを5つ開けば、5つとも実績の数字と、きれいなストアの画像が並んでいます。そこから1社を選ぶのは、たしかに難しい。
私はこれまで、STORESからShopifyへの移転を、独自テーマの制作から公開後の広告運用まで一人で担当してきました。その案件で、公開したあとに何が見つかったか。そこから逆算すると、制作会社を選ぶときに見るべき場所は、実績の件数とは別のところにあります。
実績の件数より、公開中のストアを1つ触ってみる
実績ページに並んでいるのは、たいていパソコンで撮ったトップページの画像です。
けれど、買う人がスマホで商品ページを開き、カートからチェックアウトへ進んだときにどう見えるかは、その画像からは分かりません。お客さまが離れていくのは、たいていトップページより先の場所です。
実績の中から、自社と近い業種のストアを1つ選んで、スマホで開いてください。そのまま商品をカートに入れて、購入手続きの住所入力の手前まで進みます。買う必要はありません。5分で済みます。
私が担当した整体茶のストアでは、公開前にスマホで文字の大きさを全部測りました。18px未満の文字が147箇所。本文は14px、注記は11.5pxでした。打ち合わせでは「40〜60代が相手なので文字は大きく」と決めていたのに、作り込んでいくうちに若い人向けの詰まった組み方に戻っていたんです。
作った本人でも、測らなければ気づけない。
公開後には、購入手続きに入った人のおよそ半分が、住所を入れる前にいなくなっていることも分かりました。住所入力までの通過率が53%。チェックアウトに入ると、カートに出ていた「あと◯円で送料無料」の表示が消え、住所を入れて初めて送料300円が足される作りになっていたからです。
他社の実績を触るときも、見る場所は同じ。
- スマホで本文の文字が小さすぎないか(虫眼鏡が要る注記がないか)
- 商品ページで、送料と届く日数が買う前に分かるか
- カートからチェックアウトに進んだとき、金額の表示が急に変わらないか
- 口コミやレビューが、商品ページの中で読めるか
- ページを開いてから表示されるまで、待たされないか
5つのうち2つ以上引っかかるストアばかりなら、見た目は整えられても、売れるところまでは見ていない、と考えていい。
聞くべきは「作れるか」より「公開したあと誰が数字を見るか」
公開した直後は、問題がまだ数字に表れていません。
整体茶は2026年8月1日に新しいストアで販売を再開しました。その後に見つかった問題を並べると、ほとんどが「数字を見て初めて気づいた」ものでした。
| 見つかった問題 | 気づいたきっかけ |
|---|---|
| カゴ落ちメールが30日で1通しか送られていない | メールの送信件数 |
| 購入手続きに入った人の半分が住所入力の前で離脱 | GA4のファネル(購入までの段階ごとの通過率) |
| 口コミの星5つが★1として登録されていた | 公開後の口コミの確認 |
| カート追加が二重に数えられていた | 計測の数字の点検 |
カゴ落ちメールは、管理画面では「有効」になっていました。それなのに送られていない。
原因は同意の欄でした。チェックアウトでメールの受け取りに同意するチェックボックスが「表示しない」になっていて、同意できる人が0人だったのが原因です。離脱した15件は、全員メールアドレスまで入力していました。
設定画面を眺めているだけでは、これは見つかりません。送信件数という数字を見て、少なすぎると気づいて、初めて原因を探しにいける。詳しい経緯はShopifyのメルマガの記事に書いています。
だから制作会社には、見積もりの前にこう聞いてください。
公開したあと、売上やアクセスの数字は誰が、どのくらいの頻度で見てくれますか。
「納品後1か月は不具合対応します」という答えなら、それは壊れたところを直す保守です。数字を見て売れない理由を探す人ではありません。どちらが良い悪いではなく、自社に数字を見られる人がいるかどうかで、選ぶべき会社が変わります。
運用代行に頼むなら、任せる範囲を先に書き出す
公開後も任せたいなら、制作とは別に運用代行を頼むことになります。
困るのは、「運用代行」という言葉の中身が会社によって違うこと。商品登録と画像の差し替えだけを指す会社もあれば、広告の運用まで含む会社もあります。
| 範囲 | 中身の例 | 自社でやる場合に必要なもの |
|---|---|---|
| 更新 | 商品登録、画像や文章の差し替え、バナーの入れ替え | 管理画面の操作に慣れた人 |
| 保守 | 不具合の修正、アプリやテーマの更新対応 | テーマのコードが読める人 |
| 分析 | アクセス、購入率、カゴ落ちの数字を見て直す場所を決める | GA4とShopifyの分析画面を読める人 |
| 集客 | 広告の運用、メールの配信、SNS | 広告の管理画面と予算の判断 |
依頼する前に、この4つのうち自社でできるもの、任せたいものに印をつけてください。見積もりの項目と突き合わせると、抜けているところがすぐ分かります。
余談ですが、整体茶の最初の問い合わせは「商品のLPを作ってほしい」という1通でした。LPを作る段階で広告の数字を見せてもらい、広告の運用ごと任されることになった。広告が回り始めると今度はSTORESの売り場で直せない部分が見えてきて、移転の話になりました。制作だけ、運用だけ、と最初に線を引いても、売上を追いかけると範囲は自然に広がっていきます。
ストアと広告の名義は、必ず自社にする
会社選びより前の話。
Shopifyのストアは、持ち主を自社にしたまま、制作者を「コラボレーター」として招待できます。コラボレーターはスタッフアカウントの枠を使わず、必要な権限だけを渡せる。契約が終わったら招待を外すだけで、ストアは自社の手元に残ります。
広告のアカウントも同じ。会社の名義で作って、運用する人を担当者として招待してもらう形にしてください。制作会社の名義でまとめて作られると、実際にいくら広告に使われたのかが見えにくく、依頼先を変えたときに配信のデータを引き継げません。
Shopifyに詳しいかどうかは、テーマの話で分かる
「テーマはどうしますか」。
打ち合わせで、こう聞いてみてください。
Shopifyの見た目と機能は、テーマで決まります。公式のストアで売られている既存のテーマを使うのか、一部を作り替えるのか、一から作るのか。ここで費用も、公開後の直しやすさも変わります。
Shopifyに慣れている制作会社なら、自社の商品数やページの数を聞いたうえで、候補のテーマ名を具体的に挙げてくるはずです。テーマを更新したときに作り替えた部分がどうなるか、という話まで出てくれば、なお安心できる。「デザインを見てから決めましょう」だけで終わるなら、Shopify以外の仕組みでの制作が中心の会社かもしれません。
テーマの作り方でなぜ費用が4倍も変わるのかは、Shopify構築の費用の内訳で詳しく書いています。見積書をもらったあとに確かめることも、そちらにまとめました。
移転なら、移すデータを具体的に聞く
391件。整体茶でSTORESから移した口コミの数です。
商品とポリシーに加えて、これを移しました。BASEやSTORESから移ってくる場合、商品の情報は移せても、それ以外は会社によって扱いが違います。口コミは売上に直結するので、移すかどうかは最初に決める必要があります。
聞いておきたいのは、この4つ。
- 商品と画像、バリエーションはすべて移るか
- 顧客の情報は移るか、パスワードはどうなるか
- 口コミやレビューの星は移るか
- 旧ストアの商品ページのURLから、新しいページへ転送されるか
4つめは見落とされがちです。検索や広告から旧ストアのURLに来た人が、行き止まりのページに着いてしまう。口コミ674件を移したときに何が起きたかは、Shopify構築の費用の内訳に書いています。
フリーランスか制作会社か
違いは窓口の数。
制作会社は担当が分かれていて、大きな案件でも止まりません。フリーランスは一人なので、同時に動かせる本数に限りがある代わりに、広告の数字を見てページを直す、という往復が速い。費用、決定の速さ、止まったときの代わりの有無まで含めた比べ方は、Shopify構築の費用の記事に表で並べました。
どちらを選ぶにしても、公開中のストアを触る、公開後に誰が数字を見るかを聞く、名義を自社にする。この3つは変わりません。
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独自テーマの制作、BASEやSTORESからの移転、公開後の数字の確認と広告運用まで一人で担当します。今のストアを触ってみて気になったところから、一緒に整理します。
ご相談は無料です。そのまま依頼しなくても大丈夫です。
問い合わせる前のチェックリスト
制作会社に連絡する前に、手元でこれだけ埋めておくと、打ち合わせの1回目から具体的な話ができます。
- 候補の会社の実績から、自社に近いストアを1つスマホで購入の手前まで触った
- 公開後に数字を見るのは自社か、依頼先か決めた
- 更新・保守・分析・集客のうち、任せたい範囲に印をつけた
- ストアと広告アカウントの名義を自社にすると決めた
- 社内で管理画面に入る人数を数えた(プランの選び方に関わります)
- 移転なら、移したいデータ(顧客、口コミ、旧URL)を書き出した
管理画面に入る人数は、Shopifyのプランと月々の支払いに直結します。プランごとの月額と手数料はShopifyの料金と手数料で計算しているので、見積もりと合わせて確認してみてください。
よくある質問
- Q. Shopifyの制作会社は何を見て選べばいいですか?
- 実績の件数より、その会社が作った公開中のストアをスマホで開き、購入手続きの手前まで自分で進めてみるのが確実です。文字の大きさ、送料が表示されるタイミング、チェックアウトまでの流れを見ると、作りの丁寧さが分かります。あわせて、公開後に誰が売上やアクセスの数字を見るのかを確かめてください。
- Q. Shopifyの運用代行では何をしてもらえますか?
- 会社によって範囲が違います。商品登録や更新だけの場合もあれば、メールの設定、アプリの管理、アクセスの分析、広告の運用まで含む場合もあります。依頼する前に、自社でやること、任せたいことを書き出して、見積もりの範囲と突き合わせてください。
- Q. 制作会社にShopifyの管理画面を渡しても大丈夫ですか?
- ストアの持ち主は自社のままにして、制作者は「コラボレーター」として招待するのが安全です。コラボレーターはスタッフアカウントの枠を使わず、必要な権限だけを渡せます。契約が終わったら招待を外せば、ストアはそのまま自社に残ります。
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