
この記事は遺品整理や実家の片付けの依頼を増やしたい業者の方に向けて、広告の地域設定、探す言葉、見積もりの受け方、専用ページの中身を順に書いたものです。
私は仙台の不用品回収業者で、Google広告の運用と広告用のLP(ランディングページ。広告から来た人が最初に見るページ)の制作を担当しています。2026年11月4日にその広告アカウントの直近30日を見直したところ、遺品整理という言葉のグループはほとんど回っていませんでした。その一方で、仙台の地名が入った言葉を全国に出していたグループでは、クリックの約4割が宮城県の外から来ていました。この数字をもとに、遺品整理の集客で何を先に整えるかをまとめます。
先に、手を付ける順番を表にしておきます。
| 順番 | やること | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 広告の地域設定を見直す | 頼む人は作業エリアの外に住んでいることが多い |
| 2 | 現地に行かない見積もりを入口にする | 遠くの家族は、すぐには現地に来られない |
| 3 | 遺品整理の専用ページを作る | 許可・料金・流れを、比べる人に1ページで見せる |
不用品回収全体の集客(地図、チラシ、ポータル、広告グループの分け方)は、親の記事の不用品回収の集客方法にまとめています。ここでは遺品整理と実家の片付けに絞ります。
遺品整理の集客で、依頼するのは誰か
仙台のアカウントには、仙台の地名が入った言葉だけを、地域を日本全国にして出しているキャンペーンがあります。中の広告グループの名前は実家・片付け系(県外)です。県外に住む家族が親の家の片付けを調べることを見込んで作られました。
このグループの直近30日(2026年11月4日時点)のクリックを、検索した人がいた都道府県で分けるとこうなりました。
合計391クリックのうち、宮城県の外からが162クリックで約4割です。申込(電話やLINEのタップ、フォーム送信を合わせた数)は34.3件のうち16.5件が県外からで、約半分になります。東京都だけで50クリック、申込5件ありました。
県外から仙台の業者に申し込む人がどういう事情なのか、広告の数字だけでは分かりません。ただ、仙台の粗大ゴミや冷蔵庫の処分を東京や北海道から調べて業者に連絡する人は、仙台に家族の家がある人だと考えるのが自然だと私は見ています。親が施設に入った、亡くなった、実家を売ることになったなど、片付けの期限があるのに自分は遠くにいる人です。
キーワードプランナーで見ても、子どもの側の言葉は少なくありません。2026年11月4日に全国の月間平均検索数を調べた結果です。
| 検索する言葉 | 月間検索数 | 競合性 |
|---|---|---|
| 実家じまい | 6,600 | 中 |
| 生前整理 | 3,600 | 低 |
| 遺品整理 業者 | 2,400 | 中 |
| 実家の片付け | 1,900 | 中 |
| 実家 片付け 業者 | 720 | 高 |
| 実家 ゴミ屋敷 | 480 | 低 |
| 実家 片付け 費用 | 390 | 中 |
| 親が施設に入る 実家の片付け | 170 | 中 |
親が施設に入る 実家の片付け、という言葉が月170回検索されています。親の側でなく、子どもの側から片付けを調べている言葉です。こうした検索をする人は親の家の近くに住んでいるとは限りません。
遺品整理の広告グループは、30日で11クリックだった
同じアカウントの広告グループを、直近30日のクリックで並べるとこうなります(地域を作業エリアに絞ったキャンペーンと、全国に出したキャンペーンの主なグループ)。
遺品整理系のグループには、遺品整理 仙台、遺品整理 業者、遺品整理 相場、生前整理など30語あまりのキーワードが入っています。それでも30日の表示は174回で、ほとんどの言葉は1回も表示されていませんでした。
実際に表示された検索語を見ると、仙台 遺品 整理、仙台 生前 整理、遺品 整理 費用、大きな 仏壇 処分のような言葉が1〜2クリックずつです。
一方で、キーワードプランナーで2026年10月に調べたとき、遺品整理 仙台は月260回検索されていました。探している人はいるのに、このグループの広告はほとんど表示されていません。
地域を作業エリアだけに絞ると、遠くの家族が外れる
理由の1つは地域設定にあると私は見ています。
遺品整理系のグループが入っているキャンペーンは、地域を仙台市と周りの市町など20か所に絞り、所在地の設定で出しています。Googleのヘルプでは、所在地は「対象地域にいる可能性が高いユーザー、およびその地域をよく訪れるユーザー」に広告を出す設定だと説明されています(地域ターゲティングの詳細設定 - Google 広告 ヘルプ)。
東京に住む子どもが遺品整理 仙台と検索しても、本人が仙台にいなければ、この設定では広告が出ません。上の章で見たとおり、地名入りの言葉を全国に出したグループでは申込の約半分が県外からでした。遺品整理でも同じ人たちが探していると考えると、作業エリアの中だけに出す設定では、いちばん依頼につながる人を最初から外していることになります。
もう1つは言葉の選び方です。県外からのクリックの検索語を見ると、仙台 市 粗大 ゴミ、冷蔵庫 処分 仙台、仙台 市 ベッド 処分のような、親の住む市の名前と品目の言葉がほとんどでした。遺品整理という言葉で探しているわけではありません。
遠くに住む家族は、親の住む市の名前で探す
全国に出したグループの検索語で、クリックが多かったものを並べます。
| 検索語 | クリック | 申込 |
|---|---|---|
| 仙台 市 粗大 ゴミ | 30 | 2.5 |
| 冷蔵庫 処分 仙台 | 13 | 2 |
| 仙台 市 粗大 ゴミ 申し込み | 12 | 0 |
| 仙台 市 粗大 ごみ 回収 | 11 | 0 |
| 仙台 粗大 ゴミ 回収 | 7 | 2.5 |
遠くの家族が最初から業者を探すとは限りません。まず親の住む市の粗大ゴミの出し方を調べ、申し込みや運び出しが自分では無理だと分かってから業者を探します。検索語の並びからは、そういう順番が見えます。
地名の入った言葉だけを、全国に出す
ここから決めた形は2つに分かれます。
全国に出すグループに地名の入らない遺品整理 業者を入れると、大阪の遺品整理を探している人にまで仙台の業者の広告が出ます。全国に出すのは、言葉の中に作業エリアの地名が入っているものだけです。
この形に足りないのは、遺品整理の言葉が全国側に入っていないことです。遺品整理 仙台、実家 片付け 仙台、生前整理 仙台のように地名の入った遺品整理の言葉を全国側のグループに移し、地名の入らない言葉は作業エリア側に残します。仙台のアカウントで次に見直すなら、ここだと考えています。組み替えた結果はまだ出ていないので、この記事には書けません。
地方の会社が検索広告で地域をどう決めるかは、仙台と山形の検索数を並べた地方での広告運用にも書きました。
現地に行かない見積もりを、いちばん目立つ場所に置く
仙台の全国向けのグループの広告文には、「LINEで写真を送るだけで見積可能」「回収は完全お任せでOK、立会不要」が入っています。遠くに住む人が最初に迷うのは、見積もりのために現地へ行けるかどうかです。そこを広告の段階で外しておきます。
親の記事にも書いたとおり、このアカウントで2026年4月から6月に記録された問い合わせは電話とLINEのタップがほとんどで、フォームの送信は1割にも届いていません。遺品整理でも、LINEのボタンをいちばん押しやすい場所に置くのがよいと考えています。問い合わせを電話・LINE・フォームで別々に数える設定はGoogle広告のコンバージョン設定にまとめました。
遠くの家族から依頼を受けるときの流れは、次のように見せます。
この流れがどの会社でもそのまま使えるとは限りません。鍵の預かり、貴重品の扱い、ビデオ通話での確認ができるかは、会社によって違います。広島の不用品回収の会社でゴミ屋敷と遺品整理のページを作ったときも、立ち会いなしで頼めるか、鍵を預けられるかは1つずつ確かめ、対応できると返事をもらってから載せました。できないことは書きません。
遺品整理の専用ページに載せる、許可と料金と流れ
遺品整理は家の中のものを片付け、売れるものは買い取り、残りを処分する仕事です。そのため、ページを見た人が気にするのは料金だけではありません。この会社に任せて法律上問題がないか、というところも見られます。
許可は、何をするための許可かを書く
環境省は、家庭の廃棄物を回収できるのは一般廃棄物処理業の許可を持つ業者だと説明しています。同じページで、産業廃棄物処理業の許可は工場や企業の廃棄物を処理するための許可、古物商の許可は中古品などの売買をするための許可だとも書いています(廃棄物の処分に「無許可」の回収業者を利用しないでください! - 環境省)。
古物商の許可は主たる営業所の所在地を管轄する警察署に申請します(古物商許可申請 - 警視庁)。
遺品整理のページで許可を書くときは、許可の名前を並べるだけで終わらせず、何をその許可でやっているかまで書きます。
- 家庭から出るものの処分を、どの許可で、または市区町村のどの許可業者と組んで行っているか
- 買い取りをする場合は、古物商の許可番号と、許可を出した公安委員会
- 自社でできない作業(特殊清掃、仏壇の供養など)をどこに頼むか
遠くの家族は地元の業者の評判を人づてに聞けません。ページに書かれた許可と分担が、比べるときの数少ない材料になります。
料金は、間取りと作業の範囲で見せる
広島のページでは1Kから4LDKまで、間取りごとに料金、作業時間、人数を上のほうに置きました。遺品整理を探す人は、部屋の広さは分かっていても、ものの量は自分では見積もれないからです。
料金と一緒に、何が料金に含まれるかも書きます。仕分け、運び出し、買い取りの値引き、清掃。どこまでが基本の料金で、どこからが追加になるのかが分からないと、遠くから頼む人は不安なままです。
載せる前に確かめること
ページを作っても、広告の飛び先が会社のトップのままだと見てもらえません。遺品整理系のグループの広告は、いまは不用品回収のLPのトップに着地しています。遺品整理の言葉を全国側に移すなら、飛び先も遺品整理の章か専用ページに変えるのが先です。
地図と検索記事は、広告のあとで足す
同じ仙台の業者のサイトでは、遺品整理の記事群の検索順位が平均32位で止まっていました。上位に並んでいたのは、料金表と作業の流れがそろった専門のページです。検索の記事をどう組み立てるかは不用品回収のSEO対策に分けて書いています。
Googleマップも、遠くの家族にとっては使い方が変わります。近所の業者を地図で探す場所というより、親の住む市の名前で調べた業者の口コミを確かめる場所になります。口コミの中に、遠方から頼んだ人の声があれば、それがいちばんの材料です。口コミに返信するときに、遠くからの依頼にも対応していることを書き添えておくと、次に読む人に伝わります。
チラシや紹介(不動産会社、介護施設、司法書士など)も遺品整理ではよく使われます。ただ、私はこの2つを案件で担当していないので、どれくらい依頼が来るかは書けません。
遺品整理の集客を始める順番
ここまでの話を、手を付ける順に並べます。
- 広告の地域設定を見る。遺品整理の言葉が作業エリアにいる人にしか出ていないなら、地名入りの言葉を全国に出すグループに移す
- 全国に出すグループでは市の申し込み窓口を探す言葉を除外し、広告文に写真の見積もりと立ち会いなしを入れる
- 遺品整理の専用ページを作る。許可と分担、間取りごとの料金、立ち会いなしの流れを載せ、広告の飛び先をそこに変える
- 電話・LINE・フォームの申込を別々に数え、県外から来た申込の数を毎月見る
- Googleマップの口コミと検索記事は、1から4が動いてから足す
いまの状態を点検するなら、次の項目から確かめてください。
- 遺品整理の広告グループの表示回数を、直近30日で見た
- 遺品整理の言葉が作業エリアの外にいる人に出る設定になっているか確かめた
- 全国に出すグループに、地名の入らない言葉が混ざっていない
- 広告文とページに、写真で見積もれることと立ち会いなしでよいことが書いてある
- 専用ページに、許可の名前と、何をその許可でしているかが書いてある
- 広告、ページ、Googleマップの料金がそろっている
Stellariumでは仙台の不用品回収業者のGoogle広告の運用と広告用のLPの制作を担当し、広島ではゴミ屋敷と遺品整理のページを作りました。広告の地域設定、検索語、所在地ごとの申込を実際のデータで見て、遠くに住む家族に届いているかどうかを確かめ、運用の方針を決めることができます。
- 遺品整理の集客は、何から始めればいいですか?
- 依頼する人がどこに住んでいるかを先に確かめます。遺品整理や実家の片付けを頼むのは、親と離れて暮らす子どもの世代が多く、広告の地域を作業エリアだけに絞ると、その人たちに広告が出ません。地域設定を見直し、現地に行かずに見積もれる入口と、遺品整理の専用ページを用意します。
- 遺品整理の広告は、どの地域に出せばいいですか?
- 作業エリアの地名が入った検索語に限って、全国に出す方法があります。仙台の不用品回収業者の広告では、地名入りの言葉を全国に出したグループで、直近30日のクリックの約4割が宮城県の外から来ていて、申込もそのうち約半分を占めていました。地名の入らない言葉は、作業エリアの中だけに出します。
- 遺品整理という言葉で広告を出せば、依頼は来ますか?
- それだけでは足りないことがあります。同じ仙台の広告では、遺品整理の言葉を30語あまり登録したグループが、30日で11クリックしか集めませんでした。遠くに住む家族は、親の住む市の名前と粗大ゴミや冷蔵庫の処分のような言葉で探していることが多く、その言葉にも遺品整理の受け皿を用意しておく必要があります。
- 遺品整理のホームページには、何を載せればいいですか?
- 許可と分担、間取りごとの料金、立ち会いなしで進める流れの3つです。家庭のごみを回収できるのは市区町村の一般廃棄物処理業の許可を持つ業者で、買い取りには古物商の許可がいります。自社がどの許可を持ち、どこまでを提携先に頼むのかを書いておくと、遠方の家族が比べるときの判断材料になります。
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