
「制作会社からは『SEO対策込み』と聞いている。でも、何をしてもらったのかは正直わからない」
発注する側の多くはここで止まっています。見積書に「SEO対策」と1行あるだけで、その中身を確かめる手段がない。
SEOの対策は内部対策と外部対策の2つに分かれます。内部はサイトの中を直す仕事で、エンジニアに近い。外部はサイトの外で名前とリンクを集める仕事で、企画や広報に近い。同じ「SEO」と呼ばれていても、求められる腕がまったく違います。そして、両方を本当に分かっている人は、業界でもほとんどいない。
私はWeb制作から広告運用、SEOの実装までを自分の事業として一括でやっている。YMYLと呼ばれる分野で、SEOメディアを売却した経験もあり、内部も外部も自分で手を動かしてきました。その立場から、2つの違いと、発注先の「SEO対応しています」の中身を見分ける方法をまとめました。
SEOの内部対策と外部対策は、求められる腕がまったく違う
内部対策は、自分のサイトの中を、検索エンジンが正しく読める状態に直すことです。外部対策は、サイトの外で、ほかのサイトからリンクを張ってもらったり、名前を出してもらったりすること。言葉にすると簡単ですが、実際の作業を並べると、向いている人がまるで違うのがわかります。
| 項目 | 内部対策 | 外部対策 |
|---|---|---|
| 触る場所 | 自分のサイトの中 | 自分のサイトの外 |
| 主な作業 | HTML、表示速度、構造化データ、内部リンク | 被リンク、言及、著者の実績づくり |
| 近い職種 | フロントエンドのエンジニア | 企画、広報、編集 |
| 成果の見え方 | インデックス、表示速度、エラーの数 | 紹介された数、名前で検索される数 |
内部対策はエンジニア寄りの仕事
本気で内部対策をやると、見出しの順番やHTMLの書き方から始まり、Core Web Vitals(表示速度や操作への反応の指標)、構造化データ、ページの作り方、内部リンクの張り方まで入っていく。
たとえば、ページのURLの「正しい版」を指定するcanonicalが、サイトのあちこちで食い違っていたとします。これをマーケティングの目線だけで直すのは無理。どのテンプレートがどのタグを出しているかを、コードを読んで追う必要があるからです。
JavaScriptで画面を組み立てるサイトだと、Googleが中身を読めているかという話まで出てくる。ノーコードツールのStudioで実際にこれが起きていた話は、StudioのSEO対策に書きました。フロントエンドからサーバーまで触れる人でないと、ここは進まない。
外部対策は企画と広報寄りの仕事
外部対策で要るのはコードを書く力ではありません。ほかのサイトに紹介してもらえる材料を、どう作るか。どこで名前を出してもらうか。書いている人が誰で、どんな実績があるのかを、どう外に伝えるか。どれも企画と広報、それに編集の仕事。
リンクのない言及も外部対策に入ります。会社名やサービス名がほかのサイトで書かれること、いわゆるサイテーション。詳しい話はサイテーションとはに書きました。
つまり、同じSEOでも、向いている人はそもそも別の職種なんです。
今のSEOは、フロントの対策ならAIでもできる
titleの書き方、見出しの順番、説明文、画像のalt。こうしたフロント側の対策は、今はAIに頼めばそれなりの形になります。抜けを見つける道具も揃っていて、足りないところは機械が教えてくれる。ここで差をつけるのは、もう難しい。
反対に、内部、とくにシステムやコードの側に求められる水準は、目に見えて上がっています。
- ページをサーバーで組み立てるか、ブラウザで組み立てるか(レンダリングの方式)で、Googleが中身を読めるかが変わる
- Core Web Vitalsは、読み込みの速さだけでなく、操作への反応や表示のずれまで見ている
- 構造化データやcanonicalは、1ページずつ手で入れるものではなく、テンプレートとデータから正しく出し分ける設計の仕事
- ページが増えるほど、サイトマップや内部リンクを仕組みで管理しないと、新しいページが見つけてもらえない
プラグインを入れて終わる話は、ひとつもない。サイトの作り方そのものに手を入れる仕事で、フロントだけを触る人には届かない範囲です。このサイトでも、サービスや料金のページが手で足す作りだったせいで、サイトマップから漏れていました(後の章で書きます)。
私がメディアを売却したのも、YMYLと呼ばれる分野でした。Googleは、健康やお金など人の生活に大きく関わるトピックをYMYLと呼び、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の中でも信頼性が最も重要だとしています(Google 検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」)。フロントの対策がAIで済むようになった今、差がつくのは、AIに任せきれないシステムの側です。
相談されたサイトを開発者ツールで開くと、h1が3つあった
ある特定の分野で検索上位に出ているサイトについて、相談を受けたことがある。制作会社が納品したコーポレートサイトで、提案書には「SEO最適化済み」と書かれていました。
ブラウザの開発者ツールで中身を開いてみると、h1、つまりページの一番大きな見出しのタグが3つ。構造化データはゼロ。サイトマップは送信されていましたが、URLの階層は崩れていました。
驚いたのはこれが珍しくないこと。相談を受けてサイトを開くと、同じような状態にふつうに出会います。被リンクの話をしようとしたら、サイテーションという言葉自体が通じなかったこともある。
制作会社の見積書にある「SEO対策込み」は、だいたい次の範囲で終わっています。
- ページごとのtitleとmeta description(検索結果に出る説明文)
- XMLサイトマップを作って、Search Consoleに送る
- 画像のalt属性
- パンくずリスト
WordPressなら、テーマやプラグインである程度そろってしまうものばかり。どれも大事で、やっていないと困る最低限です。でも、これだけで「SEO対応済み」と書くのは苦しい、というのが正直な感想です。
担当者を責めても仕方がない面はあります。制作会社の主戦場はデザインとフロントの実装で、SEOはおまけの枠。構造化データや表示速度を考える人が、そもそもチームにいないことが多いからです。
問題は、それでも「SEOもやっています」と言ってしまうこと。発注者が期待しているものと、実際に納品されるものが、ここでずれます。
ちなみに、このサイトの主要3ページ(トップ、SEOのサービス、料金)を10月4日に同じ方法で見たところ、どれもh1が1つ、構造化データが4つ、canonicalは自分自身のURL。自分で書いたものを自分で確かめただけですが、誰でも同じ手順で他社のサイトも見られます。
なぜ内部と外部の両方を分かる人がほとんどいないのか
仕事の入口が、最初から分かれているから。理由はもう1つあって、会社の中の役割分担もそうなっています。
内部対策に詳しい人は、だいたいフロントエンドの開発や制作会社からキャリアを始めています。外部対策やコンテンツに強い人は、マーケティング、広告代理店、編集の出身が多い。普段の仕事でこの2つはほぼ交わりません。
本人がわざわざ越境しようとしない限り、片側しか身につかない。そしてわざわざ越境する人は少ないんです。
会社の中でも同じことが起きます。制作会社で内部を担当している人が、被リンクを得るための広報活動まで任されることは、まずない。SEO会社でコンテンツを担当している人は、サイトのテンプレートのHTMLを書き換える権限を持っていません。個人が越境したくても、組織の分け方がそれを許さない。会社の規模が大きくなるほどよくある話です。
私の場合は、自分の事業のサイトを自分で育てる必要があったので、両方を自分でやるしかありませんでした。好きで越境したというより、ほかに選択肢がなかった。
SEO会社も、内部には入れない
制作会社の話だけでは不公平なので、SEO会社の側も書いておきます。SEO会社はコンテンツと外部対策にはきちんと強いです。キーワードの選び方、競合の検索結果の分析、リライト、被リンクを得る施策。普段の主な仕事なので、よく動けます。
ところが内部の実装を直す段になると手が止まります。Search Consoleで構造化データのエラーを見つけても、「修正は制作会社さんでお願いします」で終わる。クロールやレンダリング(ページの組み立て)の問題を、自分から提案できないことも多いです。
これは担当者の怠慢というより、人がいないことの問題です。コードを触れるSEOの担当者はもともと少なく、いても単価が高い。一般的な代理店のチームに組み込むのは、商売として成り立ちにくいのです。
結局、誰もサイト全体を見ていない
制作会社は内部のごく一部だけを触る。SEO会社はコンテンツと外部だけを触る。発注者がその間に立って、橋渡しをすることになります。
でも発注する側は、内部と外部という線引きがあること自体を、たいてい知らされていません。
その結果こんなことがあちこちで起きます。リライトを頑張っているのに順位が上がらない。被リンクは取れているのに、ページがインデックスされない。表示速度の点数だけは緑なのに、問い合わせが来ない。
発注者が悪いわけではない。業界の側が「全体を見る人」を出してこなかった結果です。
SEOの外部対策とは何をすることか、今のGoogleのルールで確かめる
外部対策で誤解が多いのは外部リンクの扱いです。ここはGoogleの公式の説明で確かめておきましょう。
GoogleのSEOスターターガイドには、Googleは主に、すでにクロールしたページからリンクをたどって新しいページを見つけている、と書かれています(Google 検索セントラル「SEO スターター ガイド」)。同じページで、サイトを知ってもらう方法として挙がっているのは口コミです。サイトをよく知る人が友達に伝え、その友達が訪れる、という流れ。
リンクは、見つけてもらう道であり、ほかの人からの紹介でもある。外部リンクがSEOで意味を持つのは、この2つの理由からです。
一方で、リンクを集めれば何でもいいわけではありません。Googleのスパムポリシーには、リンクスパムの例が並んでいます(Google 検索セントラル「Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー」、2026年8月28日更新)。
| やってはいけないこと | 発注の場面で言うと |
|---|---|
| 順位のためのリンクの売買 | 「被リンク◯本で◯円」というメニュー |
| 過剰な相互リンク | 「リンクを張り合いましょう」という依頼 |
| 自動のプログラムでリンクを作る | 大量のブログやサイトからの自動投稿 |
| 契約の条件としてリンクを求める | 納品物や利用規約に、リンク掲載を義務づける |
| 質の低いディレクトリやブックマークのリンク | 中身のない登録サイトへの一括登録 |
広告として張るリンクや、お金が絡むリンクは、rel="sponsored" や rel="nofollow" を付けていれば、ポリシー違反にはなりません。逆に言うと、付けずにお金で買ったリンクは、違反のほうに入ります。
もう1つ、AI検索について。Googleの生成AI検索についてのガイドは、AIのために特別なファイルやマークアップは要らない、ありふれた知識だけの内容より、経験にもとづく独自の内容を作るように、と書いています(Google 検索セントラル「Optimizing your website for generative AI features on Google Search」)。AI向けの対策についてはAIO対策とはにまとめました。
外部対策でやることは紹介される理由をつくること。お金でリンクを買うことではありません。
自社サイトでも、内部を直しただけでは足りなかった
9件。今年の9月21日まで、このサイトのサイトマップに入っていた固定ページの数です。
記事は自動でサイトマップに入る作りでしたが、サービスや料金のページは手で足す作りでした。その結果、広告運用のサービスページ、料金ページ、制作実績の一部が、Search Consoleで「GoogleにURLが認識されていない」状態になっていました。内部対策の、しかも基本の抜け。自分のサイトで起きていました。
9月21日にサイトマップを直し、翌22日には、トップやフッター、記事から、広告運用のページへのリンクを足しました。その後どうなったか。10月4日にSearch ConsoleのURL検査で確かめた結果がこれです。
| ページ | 10月4日の状態 |
|---|---|
| 料金ページ | 登録済み(最終クロール9月28日) |
| ECのサービスページ | 登録済み |
| 広告運用のサービスページ | 検出済み、インデックス未登録 |
料金ページは、サイトマップを直したあとにクロールされ、登録されました。ECのサービスページは、もともとサイトマップに入っていなかったのに、8月の時点で登録されていました。URL検査で見ると、Googleはブログ記事からのリンクをたどって見つけていた。広告運用のページは、Googleに見つけてはもらえたものの、10日以上たってもインデックスされていません。
サービスページ全体の平均順位は、9月22日までの集計で28.3位から3.4位に上がり、ECのサービスページは82位から7位になりました。ただし、クリックが増えたのは社名で検索された分が中心で、表示回数もまだ少ない。どの作業が効いたのかも、切り分けられていません。
内部を直すと、見つけてもらえるようにはなる。でも、小さなサイトはそれだけで順番が回ってくるとは限らない、というのが実感です。
外部対策のほうは、比較サイトやディレクトリへの掲載が未着手のまま。AIに社名が出るかを測った結果も、9月23日の時点で情報系の7問中0問でした(測り方はLLMOとは)。人に勧めている内部と外部の両方を、自分のサイトでもまだやり切れていない。だからこそ、片方だけでは伸びきらないことが、数字ではっきり見えています。
「SEO対応しています」の中身を見分ける質問
「SEOもできます」。発注先の候補にこう言われたら、具体的に聞くのが早道です。私がおすすめしたいのは次の4つ。
- 直近で、表示速度(Core Web Vitals)を改善した事例を、何をどう直したかまで教えてください
- 構造化データは、どの種類を、どのページに入れますか
- 被リンクや言及は、どんな方法で得ますか
- 内部はどこまで、外部はどこまでやりますか
内部を分かっていない相手は1と2で詰まります。「プラグインで対応します」「Googleが自動で判断します」で止まったら、中身は薄いと見ていい。構造化データについては、どの種類が今も検索結果に出るのかを構造化データのSEO効果にまとめたので、答えを聞くときの材料にしてください。
外部を分かっていない相手は3で詰まります。「被リンクを◯本」と本数で答えてきたら、前の章の表を思い出してください。
ちゃんと分かっている人は、4に「内部はここまでで、ここから先は別の人と組みます」と線を引いて答えます。全部できますと言われるよりそのほうがずっと信用できる。
順番に聞いていけば、片側しか分かっていない相手は数十分で見えてきます。答えに詰まらず、具体例で返してくる相手なら、経験を積んだ人と見て大丈夫でしょう。
SEOを発注する前に、決めておくこと
検索順位は内部と外部のどちらか一方では決まりません。内部が壊れたサイトにリンクを集めても伸びきらないし、内部が完璧でも、誰にも紹介されないサイトは信頼できる情報源として扱われにくい。片側だけでSEOを語る発注先は、それだけで少し疑ってかかっていいと思っています。
発注の前に、社内で次のことを確かめておくと、話が早く進みます。
- 自分のサイトのh1、構造化データ、canonicalを、上の方法で一度見たか
- Search Consoleに自社のサイトを登録していて、誰がログインできるか分かっているか
- 内部(サイトの実装)を直せる人と、外部(紹介や広報)を進める人が、それぞれ誰か決まっているか
- 制作会社とSEO会社を分けて頼むなら、両者の間で情報を渡す人が決まっているか
- 見積書の「SEO対策」に、作業の中身が書かれているか
最後の2つが空欄のままなら、そこが「誰もサイト全体を見ていない」状態です。内部と外部を両方見られる人を1人置くか、発注者自身が線引きを知って間に立つか。どちらかを決めてから発注すると、あとで期待と納品物がずれにくくなります。
- SEOの内部対策とは何ですか?
- 自分のサイトの中を、検索エンジンが正しく読んで評価できる状態に直すことです。titleや見出しの付け方、内部リンク、サイトマップ、canonical(正しいURLの指定)、構造化データ、表示速度、JavaScriptで作ったページがきちんと読めるかなどが入ります。HTMLやサーバーまで触るので、エンジニア寄りの仕事です。
- SEOの外部対策とは何ですか?
- 自分のサイトの外で、ほかのサイトからのリンク(被リンク)や、名前の言及(サイテーション)を得ることです。紹介される材料を作り、取引先や媒体に知ってもらう仕事なので、企画や広報に近い仕事です。順位を操作する目的でリンクを買うことは、Googleのスパムポリシーでリンクスパムとされています。
- 内部対策と外部対策は、どちらを先にやるべきですか?
- 先に内部です。ページがGoogleに見つけられず、インデックスされていなければ、外からリンクを集めても評価される場所がありません。ただ、内部を整えるだけでは、小さなサイトはインデックスや順位がなかなか進まないこともあります。内部を確かめたら、外部も同じ時期に始めます。
- 制作会社の「SEO対策込み」は信用していいですか?
- 中身を確かめてから判断します。titleと説明文、サイトマップ、画像のalt、パンくずリストまでで終わっていることがよくあります。構造化データの範囲、表示速度の改善の実例、被リンクをどう得るかを具体的に聞くと、どこまで分かっている相手かが見えてきます。
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