
「Next.jsで作ると、何がいいんですか?」
制作の相談で、こう聞かれることがあります。検索すると「速い」「SEOに強い」と書いた記事がたくさん出てくる。でも、実際に作ったサイトで測った数字まで出している記事は、あまり見かけませんでした。
このサイト(stellarium.jp)は、Next.js 16で作っています。
なので一般論ではなく、このサイトを材料に確かめたことを書きます。サーバーで完成したHTMLを返すこととSEOの関係、ブログ記事の表示速度の実測、ページが増えても作り直さない仕組みと、そこで踏んだ失敗。向いていないケースも最後に置きました。
Next.jsとは、Reactでサイトを作るための道具一式
Next.jsは、画面を部品(コンポーネント)の組み合わせで作るReactというライブラリに、ページの振り分け、HTMLの組み立て方、画像の扱いなどをまとめて足したフレームワークです。開発しているのはVercelという会社で、同じ会社のホスティングにそのまま載せられます。
このサイトの構成は次のとおり。
| 項目 | このサイトの設定 |
|---|---|
| Next.js | 16.2.6(App Router) |
| ホスティング | Vercel |
| ブログ記事 | 1記事1つのMDXファイル(Markdownに部品を埋め込める形式) |
| 記事ページの作り方 | ISR(後で書く) |
ブログの記事は、Gitで管理しているフォルダにファイルを1つ置くと公開される仕組みです。管理画面はありません。これが強みにも弱みにもなるので、あとで触れます。
強みは、サーバーで完成したHTMLを返せること
Next.jsの大きな特徴は、ページのHTMLをサーバー側で組み立てられることです。
反対の作り方が、CSR(クライアントサイドレンダリング)。最初に届くHTMLにはほとんど中身がなく、ブラウザでJavaScriptが動いてから本文が組み上がります。
GoogleはJavaScriptを実行してページを読めます。Googleの「JavaScript SEO の基本」によると、Googlebotはクロール、レンダリング(ヘッドレスのChromiumでJavaScriptを実行)、インデックス登録の3段階でページを処理します。そのうえで、ユーザーやクローラーにとってサイトが速くなること、ボットによってはJavaScriptを実行できないものもあることから、サーバー側でのレンダリングも検討するよう書かれている。
Google以外の検索エンジンや、AIの検索が使うクローラーもあります。最初のHTMLに本文が入っていれば、どれに対しても中身が伝わる。
このサイトのHTMLで確かめた
2026年9月28日に、このブログの記事「Google広告のコンバージョン設定」を、JavaScriptを動かさないcurlで取得しました。
- 最初に届いたHTMLの中に、記事の見出し(h2)6つがすべて、本文と一緒に入っていた
- レスポンスヘッダーは
X-Vercel-Cache: PRERENDER。前もって作っておいたHTMLがそのまま返っている
ブラウザでJavaScriptが動く前から、本文が読める状態。
表示速度は「Next.jsだから速い」わけではなかった
モバイル74点。これが、このブログの記事をPageSpeed Insightsで測った結果です(2026年9月28日、記事「Google広告のコンバージョン設定」)。
| 項目 | モバイル | パソコン |
|---|---|---|
| パフォーマンスの点数 | 74 | 96 |
| FCP(最初に何かが表示されるまで) | 3.8秒 | 0.9秒 |
| LCP(いちばん大きな要素が表示されるまで) | 4.8秒 | 1.2秒 |
| CLS(表示中のレイアウトのずれ) | 0 | 0 |
| TBT(操作できない時間の合計) | 20ミリ秒 | 80ミリ秒 |
パソコンは十分速い。モバイルはLCPが4.8秒で、Googleの「Core Web Vitals」で良好とされる2.5秒を超えています。
改善の候補として挙がったのは、使われていないCSSの削減(モバイルで約920ミリ秒の短縮見込み)、CSSの圧縮、使われていないJavaScriptの削減でした。どれもNext.jsの機能の話ではなく、サイトの作り方の話です。サイト全体で共通のCSSを読み込んでいて、記事ページで使わない分まで届いている。ここはまだ直せていません。
Next.jsには画像を自動で縮めて配る仕組みや、ページごとにJavaScriptを分ける仕組みが入っています。速くするための道具はそろっている。使い方しだいで点数は上にも下にも振れる、というのが測ってみての実感です。
広告のLPで表示速度がどれだけ費用に響くかは、広告のLPが遅いと広告費が上がるで、LCP 12.6秒のページを4秒まで縮めた記録と一緒に書いています。
ページが増えても作り直さない。ISRの使い方と、踏んだ失敗
記事が増えても、サイト全体を作り直さずに済む。ここは実際に助かっている部分。
使っているのは、ISR(Incremental Static Regeneration)。Next.jsの公式ドキュメント「How to implement Incremental Static Regeneration (ISR)」によると、静的なページを、サイト全体を作り直さずに更新できる仕組みです。指定した時間が過ぎたあとの最初のアクセスでは古いページを返しつつ、裏で新しいページを作り、次のアクセスから差し替えます。
このサイトのブログ記事は、こう設定しています。
- ビルド(公開の作業)のときに作るのは、新しい記事10本だけ
- それ以外の記事は、最初にアクセスされたときに作ってキャッシュする
- 作ったページは1日ごとに作り直す
最初からこうしていたわけではない。
以前は、全記事をビルドのときに作る設定(SSG)にしていました。2026年9月16日に確かめたところ、Next.js 16では1記事ごとに複数の出力ができ、51記事で1回のデプロイが875MBになっていた。Vercelのデプロイ容量の半分以上を、ブログだけで使っていたんです。ISRに切り替えて、事前に作るのを新しい10本に絞りました。
記事が数百本に増えるサイトなら、ここは最初に決めておきたいところです。
Next.jsが向いていないケース
弱みもはっきりあります。
一番は、更新。このブログは記事をファイルで管理しているので、書き換えるにはGitとエディタを使うか、制作者に頼むことになる。WordPressのように、社内の人がログインして文章や写真を直す管理画面は、Next.jsには最初から付いていません。必要なら、CMS(記事を管理する別のサービス)をつなぐ開発が別に要ります。
| こんなサイトなら | 向いている作り方 |
|---|---|
| 社内の人が毎週、文章や写真を更新する | WordPress、またはNext.jsにCMSをつなぐ |
| 5ページほどで、更新は年に数回 | ノーコードツールで足りることが多い |
| 記事やページが増え続け、表示速度や構造化データも自分で決めたい | Next.js |
| 予約や会員機能など、独自の仕組みを後から足したい | Next.js |
作り方は手段なので、誰がどのくらいの頻度で更新するかから決めてください。制作を誰に頼むかで迷っているなら、ホームページ制作をフリーランスに依頼するメリットに、頼む前に確かめることをまとめています。
Next.jsで作るか決める前のチェックリスト
- 公開後、誰がどのくらいの頻度で更新するか決まっている
- 更新する人がGitを使えないなら、CMSをつなぐ費用を見積もりに入れた
- ページがどのくらい増えるか見込み、ISRなどの作り方を決めた
- 公開前にPageSpeed Insightsでモバイルの点数とLCPを測る約束をした
- ホスティングの費用と容量の上限を確かめた
リニューアルで作り方を変えるか迷っているなら、古いホームページのリニューアルもあわせてどうぞ。
CONTACT
Next.jsでの制作、作り方の相談からできます
このサイトもNext.jsで作っています。更新する人と頻度、ページの増え方を聞いたうえで、Next.jsが合うか、別の作り方がいいかからご提案します。
ご相談は無料です。そのまま依頼しなくても大丈夫です。
- Next.jsで作るとSEOに強いのはなぜですか?
- ページのHTMLをサーバー側で組み立てて返せるからです。GoogleはJavaScriptを実行してページを読めますが、Googleの「JavaScript SEO の基本」では、ボットによってはJavaScriptを実行できないものもあるとして、サーバー側でのレンダリングを検討するよう勧めています。最初に届くHTMLに本文が入っていれば、どのボットにも中身が伝わります。
- Next.jsで作れば表示速度は速くなりますか?
- 自動的には速くなりません。Next.jsで作っているこのサイトのブログ記事を2026年9月28日にPageSpeed Insightsで測ったところ、パソコンは96点でしたが、モバイルは74点、LCPは4.8秒でした。速さは、画像やCSS、フォントの扱いなど作り方で決まります。
- Next.jsのISRとは何ですか?
- 静的に作ったページを、サイト全体を作り直さずに一定時間ごとや必要なときに作り直す仕組みです。このサイトのブログは、新しい記事10本だけをビルド時に作り、残りは最初のアクセスで作ってキャッシュし、1日ごとに更新する設定にしています。
- Next.jsが向いていないのはどんなサイトですか?
- 制作者の手を借りずに、社内の人が文章や写真を頻繁に書き換えたいサイトです。Next.jsには管理画面がないので、更新する画面が必要ならCMSをつなぐ作業が別に要ります。ページ数が少なく、更新も年に数回ならWordPressやノーコードツールで足りることもあります。
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