
「内装も決まったし、あとは開けるだけ。でも、本当にお客さんは来てくれるんだろうか」
開店日が近づくほど、この不安は大きくなります。家賃も人件費も、開けた月から出ていく。最初の数週間に人が入らないと、気持ちまで削られます。
新規オープンの集客でやるべきことは、開店日の前に「この店ができるらしい」と知っている人をどれだけ作れるか、に集まります。Googleマップに開店前から載せる。工事中の店頭とSNSで告知する。来てほしい人のいる範囲にだけ広告を出す。開店後は、初めて来た人ともう一度つながる手段を用意する。
時期ごとにやることを並べ、そのあと7つの手段を1つずつ、最後に時期別のチェックリストを置きました。Googleや消費者庁、LINEの仕様は、私が公式のヘルプとQ&Aを読んで確かめた範囲だけを書いています(2026年9月28日時点)。
新規オープンの集客でやるべきことは、開店前・開店日・開店後で変わる
開店前と開店後では、狙いがまるで違う。
開店前にできるのは、知ってもらうことだけ。まだ商品を出せないので、場所と開店日と「どんな店か」を覚えてもらうのが仕事です。開店日から数週間は、来てもらって体験してもらう時期。そのあとは、一度来た人に戻ってきてもらう時期に移ります。
| 時期 | 狙い | 主にやること |
|---|---|---|
| 開店3か月前〜前日 | 開店を知ってもらう | Googleビジネスプロフィールの開業日、店頭の告知、SNSの開設と投稿、写真の撮影 |
| 開店日〜1か月 | 来てもらう | オープン特典、地域を絞った広告、Googleマップの投稿 |
| 開店1か月以降 | また来てもらう | LINEの友だち、ショップカード、口コミのお願い |
時期を混ぜて考えると、判断を誤ります。
たとえば開店月の来店数。ご祝儀の来店や特典目当ての人が混ざるので、2か月目に減るのは当たり前です。そこで慌てて値引きを重ねると、今度は「安い店」として覚えられてしまう。開店月と、特典が終わったあとの月は、別の数字として見てください。
新規店舗の集客を成功させる7つの戦略
手段は7つ。お金がかからないものから順に並べました。
戦略1:Googleビジネスプロフィールに開業日を入れ、開店90日前から表示させる
最初にやるのはこれです。
Googleビジネスプロフィールは、Google検索やGoogleマップに出るお店の情報のこと。開店してから登録するものだと思われがちですが、開業前から作れます。Googleのヘルプ「開業日を追加する」に書かれている仕様はこうです(出典はGoogle ビジネス プロフィール ヘルプ「開業日を追加する」)。
- 開業前のお店もプロフィールを作り、開業予定日と住所を知らせられる
- 開業日は年と月だけ入れればよく、1年先まで入力できる
- 開業日を入れてオーナー確認を済ませると、開業日の90日前からGoogleにプロフィールが表示される
- 開業前の90日間は、ほかのユーザーが情報の修正を提案したり、クチコミや写真を投稿したりできない
- 開業後は「最近開店したお店」のタグが90日間表示される
手順は、ビジネスプロフィールを開いて「プロフィールを編集」、開業日の横の編集アイコンから日付を入れて保存するだけ。
見落としやすいのは「オーナー確認を済ませると」の部分です。確認が終わらないと表示されないので、開店日の3か月前には登録を始めておきたい。
英語版の同じヘルプには、開業前から投稿で開店を知らせたり、開店日の割引やクーポンを案内したり、工事の進み具合の写真を載せたりできる、とも書かれています。「〇〇駅の近くに、〇月にラーメン店ができる」と検索やマップで知ってもらえる期間が3か月ある。使わない理由がありません。
地方でのプロフィールの整え方は、地方・田舎での広告運用の中でも触れています。
戦略2:工事中の店頭とSNSで、開店日と場所を先に知らせる
店の前を通る人は、開店前から毎日そこを見ています。
工事中の囲いやシャッターに、店名と業種、開店予定の月を書いて出す。InstagramのQRコードも載せておくと、気になった人が開店まで追いかけられます。何も書かれていない工事現場は、開店しても気づかれにくい。
SNSは開店の2〜3か月前に始めます。投稿するのは、内装が出来ていく様子や試作しているメニュー、店主がこの場所を選んだ理由など。開店当日に初投稿するより、「前から気になっていた店」になっておくほうが初日の入りは変わるはずです。
Instagramはビジネス用のプロアカウントにしておくと、投稿がどれだけ見られたかをあとで確かめられます。設定のしかたはMetaビジネスヘルプセンター「Instagramプロアカウントを設定する」にあります。飲食店の投稿の中身は飲食店のインスタグラム活用ガイドにまとめました。
戦略3:来てほしい人と商圏を決め、告知の範囲を絞る
「近所のみなさん」に向けた告知は、誰にも届きません。
平日の昼に来られる人か、仕事帰りに寄る人か。これが決まると、チラシを配る範囲も広告を出す時間帯も決まってきます。商圏は歩いて来る人と車で来る人で広さがまるで違うので、駐車場の有無も含めて考える。
新規開店は予算が限られます。反応がありそうな層に絞って始め、様子を見ながら広げる順番のほうが、お金が無駄になりにくい。
戦略4:オープン特典は景品表示法の範囲で、2回目につながる形にする
オープン特典は、景品表示法のルールを知ってから決めます。
来店者や購入者に「もれなく」配る景品は、ふだんは上限があります。取引価額が1,000円未満なら200円まで、1,000円以上なら取引価額の10分の2まで(出典は消費者庁「景品規制の概要」)。
ところが開店のときは扱いが変わる。消費者庁のQ&Aでは、「開店披露、創業記念等の行事に際して提供する物品又はサービスであって、正常な商慣習に照らして適当と認められるもの」は、総付景品の上限が適用されないとされています。購入者に配る場合も同じです(出典は消費者庁「総付景品について」Q127)。
気をつけたいのは、同じQ&Aにある次の2点です。
- 「一定金額以上を買った人だけ」のように極めて限定的な条件を付けると、通常の上限がかかる
- 休業期間が短いリニューアルオープンなど、開店披露と同じとみなせない場合も、通常の上限がかかる
抽選で当たる形にすると「懸賞」の扱いになり、最高額と総額に別の上限があります(上の「景品規制の概要」を参照)。
中身は、お店の強みを試してもらえるものにします。飲食店なら看板メニューの一品、美容室なら施術に付けるケア、というように。店と関係のないノベルティは、もらって終わりになりがちです。
戦略5:地域広告は、半径と地域のオプションから決める
広告は、開店の2週間前から開店後1か月くらいに集中させると使いやすい。
店舗の広告で最初に決めるのは、広告の文面より地域の設定です。Google広告は既定のままだと、対象地域の外にいてその地域を調べただけの人にも広告が出ます。来店が前提なら、地域のオプションを「所在地」にする(出典はGoogle 広告 ヘルプ「広告の対象地域を設定する」)。Meta広告(InstagramとFacebook)では、住所やピンを中心にすれば半径1kmから、市区町村を中心にすると17kmからになります(出典はMeta for Developers「Basic Targeting」)。
市区町村名を入れただけで広い円になってしまうのは、よくある見落とし。設定の細かい話は地方・田舎での広告運用に書きました。予算の決め方はGoogle広告の費用とインスタ広告の費用が参考になります。
戦略6:写真を開店前にそろえておく
Googleマップ、Instagram、広告、チラシ。どれも写真がないと始まりません。
外観、内観、メニューや商品、スタッフ。この4種類を開店前にそろえておくと、プロフィールも投稿も広告も同じ写真で作れます。内装が仕上がってから開店日までは短いので、撮影日は引き渡しの直後に先に押さえておく。
飲食店のSNS運用代行などでは、私たちStellariumがお店に伺って撮影しています。開店前の撮影を先に済ませておくと、開店日の投稿や広告に写真がそろった状態で入れます。
戦略7:初めて来た人とLINEでつながり、2回目の来店につなげる
開店直後に来た人と、次に会える約束がない。これが一番もったいない状態です。
LINE公式アカウントは、月額0円のコミュニケーションプランから始められます。無料で送れるメッセージは月200通まで。友だちが増えてきたら、月5,000円(税別)で5,000通のライトプランなどに移ります(2026年9月28日時点。出典はLINEヤフー for Business「LINE公式アカウントの料金プラン」)。200通は「送った回数×送った友だちの数」で数えるので、友だち100人に2回送れば終わりです。
再来店のきっかけには、LINE公式アカウントのショップカードが使えます。来店時にお店のQRコードを読み取ってもらうとポイントが付く、デジタルのポイントカードです(出典はLINEヤフー for Business「ショップカードマニュアル」)。紙のカードを刷る手間もかかりません。
会計のときに友だち追加のQRコードを見せ、次回使える特典を付ける。期限を短めにしておくと、思い出してもらえるうちに2回目が来ます。
オープン前後の集客でつまずきやすい落とし穴
3つとも、開店してから気づくと取り返しにくい。
落とし穴1:開店してからGoogleマップに登録する
開店日にプロフィールを作ると、オーナー確認が終わるまでGoogleに出てこない期間ができます。開業日の設定を使えば、開店の90日前から表示できたはずの期間です。
いま開店まで3か月を切っているなら、今日のうちに開業日だけでも入れてください。
落とし穴2:「通常価格」のない店で二重価格を出す
「通常1,000円のところ、オープン記念価格500円」。新しいお店がよく出す表示ですが、開店前の店には、まだ1,000円で売った実績がありません。
この1,000円は、これから売る予定の「将来の販売価格」です。消費者庁の執行方針では、将来の販売価格と比べる二重価格表示は、その価格で売ることが確かでない限り不当表示のおそれがあるとされています。目安として、セールが終わってすぐにその価格で売り始め、2週間以上続けた場合は「ごく短期間」とは考えない、とも書かれています(出典は消費者庁「将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示に対する執行方針」)。
特典が終わったら本当にその価格で売るのか。決められないなら、二重価格ではなく「オープン記念で一品サービス」のような特典にしておくほうが安全です。
落とし穴3:口コミと引き換えに割引する
「Googleに口コミを書いてくれたら10%オフ」。これはできません。
Googleマップの投稿ポリシーでは、クチコミの投稿と引き換えに、金銭的報酬や割引、無料の商品やサービスなどのインセンティブを出すことが禁止されています。よい口コミだけを選んで頼むこと、スタッフに口コミの件数を課すことも同じく禁止です(出典はマップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー「禁止または制限されているコンテンツ」)。
口コミはお願いするだけ。特典とは切り離してください。
開店3か月前から当日までの集客スケジュールとチェックリスト
開店日から逆算して並べました。自分のお店の開店日を当てはめて、終わったものに印を付けながら使ってください。
先に全体を1枚の図にしておきます。上の帯は、Googleビジネスプロフィールに開業日を入れた場合に、お店がGoogleでどう見えるかの期間です。
オープン3か月前
- 来てほしい人と商圏を決めた
- Googleビジネスプロフィールを作り、開業日を入れた
- オーナー確認を始めた
- InstagramとLINE公式アカウントを開設した
- 店頭(工事中の囲いなど)に、店名と開店予定の月、SNSのQRコードを出した
オープン2か月前
- SNSで内装や試作の様子の投稿を始めた
- オープン特典の中身を決め、景品表示法の上限と条件を確かめた
- 二重価格を使うなら、特典後にその価格で売るかを決めた
オープン1か月前
- 外観・内観・メニュー・スタッフの写真を撮った
- Googleビジネスプロフィールに写真と説明を入れ、開店の投稿をした
- 広告の地域と予算を決め、アカウントを用意した
- 会計で見せる友だち追加のQRコードと、次回の特典を用意した
オープン2週間前〜当日
- 広告の配信を始めた
- 近隣のお店や施設にあいさつした
- オープン特典の告知を、SNSと店頭、Googleの投稿で出した
- 開店日に営業時間とメニューがプロフィールと合っているか確かめた
3か月前と書くと早く感じるかもしれません。Googleビジネスプロフィールが開業日の90日前から表示されることを考えると、ちょうど逆算した時期になります。
飲食店の新規開店で足しておくこと
飲食店のプロフィールでは、写真とメニューが選ばれるかどうかの判断材料になります。
メニューと料理の写真はできるだけ入れておく。営業時間は、ランチとディナーで分かれているなら両方とも正確に。開店直後に営業時間を変えると、マップの情報とずれて「行ったら閉まっていた」が起きます。
検索で見つけてもらう準備は飲食店のSEO対策に書きました。開店日に一度だけ投稿して終わりにせず、開店後の3か月は週に何度か新しい写真を足していくと、プロフィールが「動いている店」に見えます。
開店後1〜3か月は、来た人にもう一度来てもらう集客に切り替える
開店月の数字は、実力ではありません。
特典とご祝儀の来店が落ち着いたあと、どれだけ戻ってきてくれるか。ここから先は、新しい人を呼ぶより、一度来た人との関係のほうが売上を左右します。LINEの友だち数とショップカードの2回目の来店を、月ごとに並べて見るとどこで止まっているかがわかります。
友だちは増えているのに2回目が来ないなら、送っているメッセージの中身を見直す。友だちが増えないなら、会計のときに声をかけられているかを確かめる。広告を足すのは、そのあとで十分です。顧客情報の使い方はCRMマーケティングでも書いています。
「新規オープン 集客」で調べている人は、月に数十人
開店前に集客を調べる人は、どれくらいいるのか。2026年9月28日に、Google広告のキーワードプランナーで調べました(日本・日本語のGoogle検索)。
「新規オープン」や「開業」を付けて調べる人は、月に10〜30回。店舗や飲食店の集客全般と比べると、10分の1以下です。
開店の準備で手一杯になり、集客を調べ始めるのは開店してから、という人が多いのだと私は読んでいます。だとすると、開店前からGoogleマップと店頭で告知を始めるだけで、同じ時期に開店する店の中では先に動けていることになる。
この記事自体がどんな言葉で表示されているかも、stellarium.jp のSearch Consoleで見てみました(2026年6月29日〜9月26日の90日間)。
| 検索された言葉 | 表示回数 | 平均掲載順位 |
|---|---|---|
| 店舗集客 | 619 | 30.6位 |
| 店舗 集客 | 368 | 32.2位 |
| 新規オープン 集客対策 やるべきこと | 263 | 6.1位 |
| 飲食店 新規開店 マーケティング | 141 | 14.8位 |
| 飲食店 集客 オープン | 115 | 28.3位 |
| 新規オープン 宣伝 | 28 | 9.2位 |
表示回数が多いのは「店舗集客」のような広い言葉ですが、順位は30位前後で、ほとんど読まれていません。1ページ目に出ているのは「新規オープン 集客対策 やるべきこと」「新規オープン 宣伝」のように、開店に絞った言葉だけでした。
お店の検索でも同じことが言えます。「ラーメン」で上に出るのは難しくても、駅名や「個室」「深夜営業」のように、お店の特徴を足した言葉なら見つけてもらえる余地がある。Googleビジネスプロフィールの説明文や投稿には、そういう具体的な言葉を入れておいてください。
新規オープンの集客を、自分でやる範囲と支援を頼む範囲
全部を自分でやる必要はありません。
Googleビジネスプロフィールの開業日と店頭の告知は、お店の方が自分でやったほうが早い。お金もかかりません。LINEの友だち追加の声かけも、会計に立つ人にしかできない仕事です。
外に頼んだほうがいいのは、手間と慣れが要るところ。開店前に写真をまとめて撮ること、予約や問い合わせを受けるページを作ること、地域を絞った広告の設定と運用。開店準備で手が回らなくなるのも、たいていこのあたりです。
私たちStellariumは、LP制作と広告運用、SNS運用を担当していて、撮影はお店に伺って行っています。開店日から逆算して、何をいつまでにやるかを一緒に並べるところから相談を受けています。
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新規オープンの集客をご相談ください
開店前の撮影、予約や問い合わせのページ制作、地域を絞ったGoogle広告・Meta広告、SNS運用まで対応します。開店日から逆算して、何をいつやるかから一緒に整理します。
ご相談は無料です。そのまま依頼しなくても大丈夫です。
- Googleビジネスプロフィールは開店前に登録できますか?
- できます。Googleのヘルプでは、開業前のお店もプロフィールを作って開業日を入れられるとされています。入力が必要なのは年と月だけで、1年先まで入れられます。開業日を入れてオーナー確認を済ませると、開業日の90日前からGoogleにプロフィールが表示されます。
- オープン記念で来店者全員に配るプレゼントに金額の上限はありますか?
- 消費者庁のQ&Aでは、開店披露や創業記念の行事で配る物やサービスは、正常な商慣習に照らして適当と認められる範囲なら、総付景品の上限は適用されないとされています。ただし「一定金額以上の購入者だけ」のように極めて限定的な条件を付けると、通常の上限(取引価額の10分の2など)がかかります。抽選で当たる形は懸賞の扱いで、別の上限があります。
- 「口コミを書いてくれたら割引」はしてもいいですか?
- Googleマップのクチコミではできません。Googleのポリシーでは、クチコミの投稿と引き換えに割引や無料の商品などのインセンティブを出すことは禁止されています。口コミはお願いするだけにして、特典とは切り離してください。
- 新規オープンの集客はいつから始めればいいですか?
- 開店の3か月前が目安です。Googleビジネスプロフィールは開業日の90日前から表示されるので、その時期にプロフィールと写真をそろえておくと、開店を知ってもらえる期間が長くなります。SNSと店頭の告知も同じ時期に始めます。
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