
「広告費は毎月出ていくのに、問い合わせが来ない。どこが悪いのか分からない」
広告の相談で、よく聞く言葉です。管理画面には数字がたくさん並んでいて、どれも少しずつ悪く見える。広告文を書き直すべきか、予算を増やすべきか、ターゲットを変えるべきか。全部触りたくなります。
でも、失敗の原因はたいてい1か所です。
私自身、自社のGoogle広告と、運用を任されている広告で、この記事に挙げるミスをいくつも踏んできました。計測の設定が入札に向かない形のままだったこと、楽天の検索に広告費を払い続けていたこと、LPがスマホで12.6秒かかっていたこと。どれも公開済みの記事に、数字ごと残してある。
ここでは、よくある失敗を7つに絞って、Google広告とMeta広告の公式ヘルプで確かめられる直し方と一緒に並べました。
広告運用でよくある7つの失敗と、確かめる場所
7つを先に一覧にしておきます。右の列は、詳しく書いた記事です。
| 失敗 | 確かめる場所 | 詳しい記事 |
|---|---|---|
| 計測を確かめずに配信する | コンバージョンの設定とテスト送信 | コンバージョン設定 |
| 検索語句を見ない | 検索語句レポート | 除外キーワード |
| 自動入札を急ぐ | コンバージョンの件数 | 入札戦略 |
| 予算だけ上げる | インプレッションシェア | Google広告の費用 |
| 広告文ばかり直す | 品質スコアの内訳とLPの速度 | LPの表示速度 |
| クリック率で評価する | 広告ごとの成果の数 | ドライバー募集の実例 |
| 学習中に触りすぎる | 最後に大きく変えた日 | Meta広告の始め方 |
確かめるのは上から順に。上の失敗が残っていると、下の数字が信用できないからです。
失敗1 コンバージョン計測を確かめずに配信する
問い合わせが0件。
この数字には2つの読み方があります。本当に問い合わせが来ていないのか、来ているのに計測が記録していないのか。どちらなのかを確かめないまま広告文やターゲットを変えても、直したかどうかを判断する物差しがありません。
直し方は、テストで1件送ってみることです。フォームを自分で送信して、Google広告ならコンバージョンアクションに記録されるか、Meta広告ならイベントマネージャにイベントが届くかを見る。Googleのヘルプには、コンバージョンタグの設置からステータスの確認までの手順がまとまっています(Google 広告 ヘルプ「Google 広告のウェブサイト コンバージョンをトラッキングする方法」)。
手前の行動を、本命の成果と一緒に数えない
もう1つ、見落としやすいのが数える中身です。
自社のGoogle広告では、LINEの友だち追加が、問い合わせフォームの送信と同じメインのコンバージョンに入っていました。メインに置いた行動は、自動入札が学ぶ相手になります。サブに置けば、数字は見られるまま入札には使われない(Google 広告 ヘルプ「メインとサブのコンバージョン アクションについて」)。
友だち追加はボタン1つで終わる行動。問い合わせは名前と相談内容を書いて送る行動です。同じ1件として学ばせると、件数を増やすために取りやすいほうへ寄っていくおそれがある。見直しの経緯はGoogle広告のコンバージョン設定に書きました。
Meta広告でも同じで、ピクセルだけでは取りこぼす成果があります。サーバーから送る仕組みはMetaのコンバージョン API(CAPI)とはにまとめています。
失敗2 検索語句を見ずに、相手違いのクリックに払い続ける
18回。
自社のEC向け広告グループが、90日間で受けたクリックの数です。18回全部が、楽天の中で出す広告についての検索でした。広告グループの名前には「楽天除く」と入れていたのに。
Googleは広告グループの名前を読みません。止めたい検索は、除外キーワードとして登録して初めて止まります。同業他社の社名での検索も合わせると、相手違いのクリックは13,006円。同じ期間のキャンペーン全体の費用124,034円の約1割でした。
見つけ方は、検索語句レポートです。登録したキーワードではなく、実際に広告が出た検索の言葉が並ぶ(Google 広告 ヘルプ「検索語句レポート」)。ここで問い合わせにつながらない言葉を拾って、除外キーワードに入れます(Google 広告 ヘルプ「除外キーワードについて」)。
失敗3 計測が少ないまま自動入札に切り替える
コンバージョンが増えないなら、コンバージョン数の最大化に変えればいい。
私も最初はそう考えました。でも、この入札戦略が材料にするのはコンバージョンの記録です(Google 広告 ヘルプ「コンバージョン数の最大化」による入札について)。自社のアカウントは90日で主要なコンバージョンが1件、フォームの送信完了は0件でした。Googleから見れば、どんな人が問い合わせるのかを学ぶ手がかりがほとんどありません。
Googleのヘルプでは、新しい目標に合わせて入札戦略が調整されるまでに、コンバージョンが50回程度発生するか、コンバージョンサイクルが3回程度経過することがある、とされています(Google 広告 ヘルプ「キャンペーンの学習期間の長さと、それに影響を与える要因」)。90日で1件のアカウントには遠い数字。
だから自社は、今もクリック数の最大化のままです。先に計測を確かめ、記録されることが分かってから切り替える順番にしました。判断の中身はGoogle広告の入札戦略で書いています。
失敗4 表示が伸びないとき、予算を上げれば済むと思う
広告があまり表示されない。予算を倍にすれば倍出るはず。
そうなるのは、予算が足りなくて表示を逃しているときだけです。インプレッションシェアは、広告が表示可能だった回数のうち、実際に表示された割合(Google 広告 ヘルプ「インプレッション シェアについて」)。管理画面では、逃した分が予算のせいか、広告ランクのせいかに分けて見られます。
自社のアカウントで9月16日から25日までの10日間を見たとき、インプレッションシェアは26.4%でした。逃した残りのうち、予算不足は0%。73.6%が広告ランク不足です。1日5,000円の予算に対して、実際に使っていたのは1日平均3,050円。予算はそもそも余っていました。
この状態で予算を1日1万円にしても、表示はほとんど増えないはずです。動かすなら、入札単価の上限か、広告の評価のほう。数字の詳しい内訳はGoogle広告の費用はいくら?に載せています。
失敗5 LPを見ずに、広告文ばかり書き直す
広告ランクが足りないと分かると、次は広告文を書き直したくなります。
その前に、品質スコアの内訳を見てください。Googleの品質スコアは、推定クリック率、広告の関連性、ランディングページの利便性の3つでできています(Google 広告 ヘルプ「検索キャンペーンの品質スコアについて」)。管理画面のキーワードの表に列を足すと、それぞれが平均より上か下かが出ます。
自社の場合、広告の関連性はほとんどのキーワードで平均より上。ランディングページの利便性は、全キーワードで平均より下でした。広告文とキーワードは噛み合っていて、落ちていたのはLPのほう。測ってみると、そのLPはスマホで表示に12.6秒かかっていました。4秒台まで縮めた手順は広告のLPが遅いと広告費が上がるにまとめました。
LPで結果が変わるのは、Google広告に限らない。私が運用している東京のサロン系セミナーの集客では、飛び先のLPを作り替えたあと、1か月で申込1件あたりの広告費が9,964円から5,016円に下がり、申込は49件から93件に増えました。広告の設定は変えていない。変えたのは飛び先だけです(経緯は飲食店のFacebook広告の出し方の中で触れています)。
失敗6 クリック率の高さで、広告の良し悪しを決める
13.0%。
運送会社のドライバー募集でMeta広告を始めたとき、動画広告Gのクリック率です。5本の中でずば抜けて高く、LPへの到達も6日間で292回。
応募は0件でした。
フォームの応募は別の動画から、LINEの友だち追加はLP到達がわずか26回の静止画から出ています。Metaは反応のよい広告に予算を寄せるので、Gは6日間の費用の約51%を使っている。クリック率だけで広告を選んでいたら、応募の出ていない広告にさらに予算を積んでいたことになります。記録はMeta広告でトラックドライバーを募集した最初の1週間にそのまま残してあります。
もっとも、成果が1件ずつしかない段階では、どの広告が勝っているとも言い切れない。比べるなら、MetaのA/Bテストを使うのが確実です。Metaのヘルプでは、同じ人が両方のバージョンを見ないようにオーディエンスを分けて比べる仕組みだと説明していて、広告を手動でオンやオフに切り替える略式のテストは勧めていません(A/Bテストについて)。
見る順番は、成果の数、成果1件あたりの費用、その次にクリック率です。
失敗7 学習中に、予算や設定を何度も変える
配信を始めて3日。数字が安定しないので予算を下げ、ターゲットを変え、広告を1本足す。
気持ちは分かります。お金が出ていくのを見ているのはつらい。けれど、Meta広告のヘルプには、広告セットが安定するのは通常、最後に大きな編集を加えてから1週間以内に約50件の結果を得たあとで、その前に編集すると学習がリセットされる、と書かれています(情報収集期間について)。
Google広告も同じです。入札戦略の設定を変えたり、キーワードを追加・削除したりすると、入札戦略が「学習中」に戻ることがある(Google 広告 ヘルプ「入札戦略のステータスについて」)。
直し方は、配信前に決めておくことです。何日間は触らないか、どの数字になったら止めるか。Meta広告で1週間50件から予算を逆算する考え方は、Meta広告が難しいと感じる3つの理由と解決策で書きました。
失敗を防ぐ確認の順番(配信前と配信中)
広告運用のPDCAというと、計画、実行、評価、改善を回す話になりがちです。でも回す前に、評価に使う数字が信用できるかを確かめておかないと、何周回しても的外れな改善が積み上がるだけ。
自社のアカウントを見直したときの順番を、チェックリストにしておきます。
配信前
- フォームや購入をテストで1件送り、Google広告とMeta広告の両方で記録された
- メインのコンバージョンは、本当に増やしたい行動だけになっている
- LPを自分のスマホで開き、表示までの時間と最初の画面を確かめた
- 何日間は設定を触らないか、どの数字で止めるかを決めた
配信中(週に1回)
- 検索語句レポートを開き、相手違いの言葉を除外した(既存の除外と照合してから)
- インプレッションシェアで、逃した表示が予算とランクのどちらのせいかを見た
- 品質スコアの3つの内訳で、平均より下の項目を確かめた
- 広告ごとに、クリック率ではなく成果の数と1件あたりの費用を見た
- コンバージョンが十分に貯まるまで、自動入札への切り替えは待っている
全部を一度に直す必要はありません。上から1つずつ。1つ直したら1〜2週間は触らずに数字を見る。これだけで、判断の材料がずっと確かなものになります。
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広告の成果が出ない原因、一緒に確かめませんか
Google広告・Meta広告の計測、検索語句、LPまで、いまの設定を上から順に点検します。直す場所が分かれば、予算を増やさずに改善できることもあります。
ご相談は無料です。そのまま依頼しなくても大丈夫です。
参考にした資料
- Google 広告 ヘルプ「Google 広告のウェブサイト コンバージョンをトラッキングする方法」
- Google 広告 ヘルプ「メインとサブのコンバージョン アクションについて」
- Google 広告 ヘルプ「検索語句レポート」
- Google 広告 ヘルプ「除外キーワードについて」
- Google 広告 ヘルプ「コンバージョン数の最大化」による入札について
- Google 広告 ヘルプ「キャンペーンの学習期間の長さと、それに影響を与える要因」
- Google 広告 ヘルプ「入札戦略のステータスについて」
- Google 広告 ヘルプ「インプレッション シェアについて」
- Google 広告 ヘルプ「検索キャンペーンの品質スコアについて」
- 情報収集期間について(Metaビジネスヘルプセンター)
- A/Bテストについて(Metaビジネスヘルプセンター)
- 広告運用でよくある失敗にはどんなものがありますか?
- この記事では7つを挙げています。コンバージョン計測を確かめないまま配信する、検索語句を見ずに相手違いのクリックに払い続ける、計測が少ないまま自動入札に切り替える、表示が伸びないのに予算だけ上げる、LPを見ずに広告文ばかり直す、クリック率の高さで広告を評価する、学習中に設定を何度も変える、の7つです。どれもGoogle広告やMeta広告の公式ヘルプで確かめられる直し方があります。
- 広告の成果が出ないとき、最初に何を確認すればいいですか?
- コンバージョン計測が正しく動いているかです。問い合わせや購入が本当に0件なのか、計測が記録していないだけなのかで、直す場所がまったく変わります。テストで1件送って記録されるかを確かめ、Google広告ならメインのコンバージョンに手前の行動(LINEの友だち追加など)が混ざっていないかも見てください。
- 予算を増やせば広告の表示回数は増えますか?
- 予算不足で表示を逃しているときだけ増えます。Google広告のインプレッションシェアを見て、逃した表示の大半が広告ランク不足なら、予算を上げても表示はほとんど増えません。その場合に動かすのは、入札単価の上限か、品質スコア(推定クリック率・広告の関連性・ランディングページの利便性)のほうです。
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