
「クリニックのSEO、何から手をつければいいのか分からない」
医療機関のホームページを任された人から、この相談をよく受けます。普通のお店のSEOと同じつもりで始めると、途中で「その書き方、医療広告ガイドライン的に大丈夫?」と止まる。しんどいのは、止まる場所が分からないまま進めることだと思います。
医療サイトのSEOは、順位の話より先に「書いていいこと」の範囲が法律で決まっている世界。厚生労働省の医療広告ガイドライン、GoogleのE-E-A-T、Googleビジネスプロフィールの決まり、構造化データの順に、公式の資料を出典にして並べました。
この記事は2025年3月に書いた医療サイトの記事と、クリニックのSEO対策の記事を1本にまとめ、2026年9月に書き直したものです。事実は厚生労働省とGoogleの公式資料で確かめ直し、出典を本文に置いています。
医療サイトのSEO対策は、医療広告ガイドラインを読むところから
2018年6月1日。この日から、医療機関のホームページは医療法の広告規制の対象になりました。
それまでウェブサイトは原則として規制の対象外で、「医療機関ホームページガイドライン」という指針で自主的な取り組みを促す扱いでした。美容医療の相談が増えたことを受けて消費者委員会が法的規制を求め、2017年の医療法改正で、ウェブサイトも他の広告媒体と同じく虚偽・誇大な表示が禁止され、是正命令や罰則の対象になっている。経緯は医療広告ガイドラインの第1に、施行日は医療広告ガイドラインに関するQ&Aの冒頭に書かれています。
いまの版は令和8年3月30日の改正。この記事を書き直すにあたって本文とQ&Aを読み直しました。オンライン診療について法律に規定が設けられたことに合わせた見直しが入っていて、1年前に読んだ版のままの知識では足りない。厚生労働省の医療広告規制のページから、いつも最新版を開くのが安全です。
体験談は載せられない。ビフォーアフター写真は説明とセットで
SEOの記事でよく勧められる「患者さんの声」は、医療機関のサイトでは載せられません。
ガイドラインは、患者の主観や伝聞に基づく治療の内容・効果に関する体験談を、医療機関が誘引の目的で紹介することを認めていません。理由は、患者の状態によって感想は当然違い、誤認を与えるおそれがあるから。書いてある内容が広告できる範囲に収まっていても、体験談という形では認められないとされています。
Q&Aでは、医療機関のウェブサイト上の口コミ情報についても触れています。医療機関にとって都合のよい感想を選んで載せ、強調することは虚偽・誇大に当たり、広告できないという答えです。
治療前後の写真、いわゆるビフォーアフターはもう少し細かい。
| 載せ方 | ガイドラインでの扱い |
|---|---|
| 写真だけを載せる | 誤認させるおそれがあり、認められない |
| 治療前だけ、治療後だけの写真 | 前後の写真と同じく広告できない(Q&A) |
| 治療内容と費用、主なリスクと副作用の詳しい説明を付ける | 認められる |
| 説明をリンク先に置く、極端に小さな文字で書く | 認められない |
加工や修正をした写真は、説明を付けても虚偽の扱いです。自由診療の症例写真を載せたいクリニックは、写真と同じページに、治療内容、費用、リスクを読める大きさで並べる。これが条件です。
自由診療のページに書くことは「限定解除」の4条件で決まる
医療法では、広告できる事項が決められていて、それ以外は広告できない決まり。ただしウェブサイトのように患者が自分で探して読む媒体は、条件を満たせば広告できる範囲を広げられます。これを限定解除と呼びます。
ガイドラインの第3-3にある条件は次の4つで、3つめと4つめは自由診療の情報を載せる場合だけに求められます。
- 患者が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトなどであること
- 問い合わせ先(電話番号やメールアドレス)を明示すること
- 自由診療の通常必要とされる治療内容、費用などを載せること
- 自由診療の主なリスク、副作用などを載せること
気をつけたいのは1つめ。検索結果にスポンサーとして出る広告や、お金を払って上位に表示させたものは、この条件を満たさないとガイドラインに書かれています。ホームページで書けている自由診療の説明を、そのままリスティング広告の文面に使うことはできない、ということ。広告を出す予定があるなら、費用の見通しはGoogle広告の費用で整理していますが、文面は医療広告の基準で別に作る必要があります。
「日本一」「No.1」はタイトルにも本文にも入れない
SEOのタイトルづくりで手が伸びがちな言葉ほど、医療では使えません。
比較優良広告として、「日本一」「No.1」「最高」のような最上級の表現は、客観的な事実であっても禁止されています。ガイドラインには「当院は県内一の医師数を誇ります」「著名人も当院で治療を受けております」も具体例として並んでいる。実態のない団体の「認定医」「認定施設」は誇大広告の例です。
検索結果のタイトルは、ページの title から作られます。タイトルは広告の一部だと考えて、地域名、診療科、医院名、事実として確かめられる特徴(土曜診療、駅からの徒歩分数など)で組むのが安全です。
ここまでの3つ(体験談と写真、限定解除、比較の表現)を、ガイドラインとQ&Aから1枚に抜き出すと次のようになります。
クリニックのSEOでGoogleが見ているもの(YMYLとE-E-A-T)
Your Money or Your Life、略してYMYL。お金や健康、安全に関わるテーマを、Googleはこう呼んでいます。
Googleが検索品質の評価者向けに公開しているSearch Quality Rater Guidelines(2025年9月11日版)では、YMYLの1つめに「YMYL Health or Safety」、心や体の健康や安全を害しうるテーマが挙がっています。YMYLのページは、正確であることと、確立した専門家の合意に沿っていることが特に求められる、とも書かれている。
E-E-A-Tは、この評価者向けガイドラインに出てくる言葉です。Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字で、2022年12月にExperienceが足されました(Google検索セントラルのブログ)。ガイドラインは、この4つの中でTrust(信頼性)が最も重要だと書いています。
誤解しやすい点が1つ。
評価者の点数がそのまま順位になるわけではありません。Googleの有用で信頼性の高いコンテンツの作成には、品質評価者はページの掲載順位を制御できず、評価者のデータが直接ランキングのアルゴリズムに使われることもない、と書かれています。同じページで、Googleのシステムは健康や安全に大きく影響しうるテーマについてE-E-A-Tが優れたコンテンツを特に重視する、とも説明している。評価者の目線は、Googleが目指している検索結果の説明書として読むのがちょうどいいと思っています。
クリニックのサイトで信頼性を示すもの
同じGoogleのページには、「誰が」書いたのかを確かめる問いが並んでいます。バイライン(著者名)がページにあるか、そのバイラインが著者の経歴や専門分野の情報につながっているか。
クリニックのサイトに置き換えると、こうなる。
- 医師紹介のページに、氏名、経歴、資格を載せている
- 症状や治療を説明するページに、書いた医師(または監修した医師)の名前があり、医師紹介のページにリンクしている
- ページの更新日を出している
- 医院名、住所、電話番号、診療時間が、どのページから見ても同じ表記になっている
医師の略歴は、医療法でも広告できる事項に入っています。資格の書き方には細かな決まりがあって、たとえば「専門医」と書けるのは、日本専門医機構などが認定した資格か、以前に厚生労働大臣へ届け出た団体が認定した資格に限られます。「厚生労働省の認可した〇〇専門医」は虚偽の例としてガイドラインに載っている書き方です。迷ったら該当箇所を先に確認してください。
症状の説明記事をAIで量産するのは、医療ではとくに勧めません。人が書いたかAIが書いたかより、中身が正確かどうかと、誰が責任を持つかが問われるテーマだからです。AIを使った記事がどう評価されるかはAIで書いたブログはSEOでペナルティになるかにまとめました。
クリニックのSEO対策は「地域名+診療科」のページから
「新宿 皮膚科」「渋谷駅 歯医者」「横浜 腰痛 病院」。患者がクリニックを探すときの検索は、地域名や駅名と診療科の組み合わせが中心です。
実際にどれくらい検索されているのか。2026年9月28日に、Google広告のキーワードプランナーで新宿と札幌を並べて調べました。
皮膚科は、新宿も札幌も月9,900回で同じ数字でした。内科になると、新宿の8,100回に対して札幌は3,600回で、半分以下。歯科(「新宿 歯科」「札幌 歯科」)はどちらも1,000回です。同じ診療科でも、地域が変わると数字の並び方が変わる。
目を引いたのは競合性の列です。検索広告を出している広告主の多さを高・中・低で表す指標で、「新宿 皮膚科」は高、「札幌 皮膚科」は低。検索数は同じでも、広告の枠を取り合っている度合いが違います。「札幌 美容皮膚科」(月2,400回)は競合性が高く、自由診療の広告が集まっている語だと読めます。
もう1つ、候補の一覧を上から60件見ていくと、8件が特定の医院名での検索でした(医院名はここには書きません)。中には「新宿 皮膚科」と同じ月9,900回の医院名もある。すでに通っている人や、紹介で名前を知った人が、医院名で探しているということです。トップページが医院名で確実に出るかどうかは、地域名の語より先に確かめておきたいところ。
数字は地域で変わるので、よその地域の数字は判断に使えません。自院の市区町村名や駅名に置き換えて、キーワードプランナーで確かめるのが確実です。
ページの分け方は、患者の探し方に合わせます。
| ページ | 何に答えるか |
|---|---|
| トップ | 医院名で探した人。診療科、診療時間、場所がすぐ分かる |
| 診療科ごと | 「地域名+診療科」で探した人。何を診ているか、医師、予約方法 |
| 症状・治療ごと | 症状名で調べている人。受診の目安、検査や治療の流れ、自由診療なら費用とリスク |
| 医師紹介 | 誰が診るのか。経歴と資格 |
| アクセス | 行き方、駐車場、診療時間、休診日 |
タイトルは、そのページが答える検索語に合わせます。「〇〇駅 皮膚科|〇〇クリニック」のように地域名と診療科を前に出し、「おすすめ 評判 人気 安い」のような語を詰め込まない。詰め込んだタイトルは読みにくいうえ、優れていることを言う語は医療広告の基準に触れやすい言葉でもあります。
症状のページで迷うのが、どこまで書くか。私は、受診の目安と、そのクリニックで何ができるかまでを書き、病気の一般的な解説を長々と載せない作り方を勧めています。病気そのものの解説は公的機関や学会のページが上に来やすく、クリニックのページが勝ちにいく場所ではないからです。
地方のクリニックで、そもそも検索数が少ない地域の考え方は地方でのローカルSEO対策にまとめています。
Googleビジネスプロフィールをクリニックで整えるときの決まり
「近くの内科」のような検索では、地図の枠にGoogleビジネスプロフィールが並びます。ここはサイト本体と同じくらい見られる場所です。
Googleは、ローカル検索の順位は主に関連性、距離、知名度で決まると説明しています(Googleのローカル検索結果のランキングを改善する)。口コミの数と評価は知名度の判断に使われ、お金を払って順位を上げることはできない、とも書いてある。
クリニックで間違えやすい決まりを、Googleのビジネス情報に関するガイドラインから拾うと次のとおりです。
| 項目 | ガイドラインの決まり |
|---|---|
| ビジネス名 | 看板と同じ名前にする。キーワードや事業の属性を足すと、プロフィールが停止されることがある |
| カテゴリ | 中心となる事業を表すカテゴリを、できるだけ少なく設定する |
| 医師個人 | 同じ場所に複数の医師がいる場合、医院のプロフィールとは別に医師個人のプロフィールを作れる。医師のプロフィールには医院名を含めない |
| 口コミ | 割引や謝礼と引き換えに口コミを頼むことは禁止(Googleマップのコンテンツポリシー) |
口コミは、医療広告の側からも決まりがあります。ガイドラインのQ&Aでは、個人のSNSや第三者の口コミサイトに患者が自分で書いた体験談は広告に当たらないが、医療機関が費用を負担するなどして掲載を頼んでいれば広告として扱う、とされています。口コミをお願いするときは、謝礼を出さない、書く内容を指定しない。この2つを院内で決めておくと迷いません。
ガイドラインとQ&Aの本文を検索してみると、「Google」「ビジネスプロフィール」という言葉は1回も出てきませんでした。名前は出てこないものの、医院名が分かり来院を誘う表示であれば、広告かどうかの判断基準(誘引性と特定性)には当てはまりやすい。投稿や写真の説明文も、ホームページと同じ基準で書いておくのが無難だと私は考えています。
構造化データはMedicalClinicで書き、FAQPageには期待しない
構造化データは、ページの内容を検索エンジンに伝えるための注釈です。クリニックなら医院名、住所、電話番号、診療時間を書くのが基本。
Googleのローカルビジネスの構造化データの説明では、必須の項目は名前(name)と住所(address)の2つで、できるだけ具体的なLocalBusinessの下位の種類を使うよう案内されています。Googleのページに、医療の種類の名前は出てこない。種類の一覧はschema.orgにあります。
schema.orgのMedicalClinicを見ると、LocalBusinessの下のMedicalBusinessの、さらに下に置かれている種類です。Dentist(歯科)、Dermatology(皮膚科)、Pediatric(小児科)なども同じ階層に並ぶ。診療所ならMedicalClinic、歯科医院ならDentistを選べば、Googleの案内どおり「具体的な下位の種類」になります。
FAQPageは別の話。FAQのリッチリザルトは、2023年8月によく知られた政府と医療のサイトだけに絞られ、2026年5月にはGoogle検索に表示されなくなりました。医療サイトは最後まで表示が残っていた側ですが、いまは医療でも出ない。経緯とGoogleの告知は構造化データがSEOに与える影響に出典つきで並べてあります。入っているFAQPageを急いで外す必要はないものの、検索結果の見た目を目的に新しく足す理由はありません。
表示速度とスマホは、予約までの道のりで見る
症状が気になった人は、その場でスマホから調べます。読み込みを待つ余裕はあまりない。
表示速度は、ページを開いてから中身が見えるまでの時間で考えます。写真の容量を落とす、使っていないスクリプトを外す、最初に見える写真を先に読み込む。どれも医療に限らない手当て。広告の着地ページでの実測は広告のLPが遅いと広告費が上がるに書きました。検索から来た人にも同じことが起きています。
スマホで見るべきは、予約までの道のりです。電話番号がタップで発信できるか。予約ボタンが指で押せる大きさか。診療時間の表が横にはみ出していないか。休診日が表の外の小さな注記にしか書かれていない、というページはよく見かけます。
明日からの順番と、確認リスト
全部を一度にやる必要はない。順番だけ決めておけば進みます。
最初にやるのは、いま公開しているページの見直しです。新しいページを増やす前に、載っている体験談や写真が基準に合っているかを確かめる。ここで直すものが見つかると、あとで作るページの書き方も自然と決まってくる。
- 患者の体験談、感想の引用を載せていない
- 治療前後の写真には、治療内容、費用、主なリスクと副作用を同じページに付けている
- 「日本一」「No.1」「最高」や、実態のない団体の認定をタイトルにも本文にも使っていない
- 自由診療のページに、通常必要な治療内容、費用、リスク、問い合わせ先がある
- 医師紹介のページがあり、症状のページから書き手としてリンクしている
- 診療科ごとのページのタイトルに、地域名と診療科が入っている
- Googleビジネスプロフィールの名前が看板と同じで、キーワードを足していない
- 口コミの依頼に謝礼や割引を付けていない
- 構造化データの種類がMedicalClinic(歯科ならDentist)になっている
違反の疑いがある医療機関のサイトについて、厚生労働省は医療機関ネットパトロールで通報を受け付けています。ウェブサイトやSNSの具体的な事例は事例解説書にまとめられていて、自院のページと見比べながら読むと、どこが線の内側かがつかみやすくなるはず。
整骨院や整体院は、医療法ではなく柔道整復師法などの別の決まりで広告が制限されていて、ホームページの扱いもクリニックとは違います。そちらは整骨院・整体院のSEO対策に分けて書きました。
- クリニックのホームページは医療広告ガイドラインの対象ですか?
- 対象です。2017年の医療法改正(2018年6月1日施行)で、医療機関のウェブサイトも他の広告媒体と同じく規制の対象になりました。虚偽・誇大な表示は禁止され、是正命令や罰則の対象になります。
- 患者さんの体験談やビフォーアフター写真をサイトに載せてもいいですか?
- 治療の内容や効果に関する体験談は、医療機関が誘引の目的で載せることが認められていません。治療前後の写真は、通常必要とされる治療内容・費用と、主なリスク・副作用の詳しい説明を付けた場合に限って載せられます。説明をリンク先に置く、極端に小さな文字で書く、という載せ方は認められていません。
- クリニックの構造化データはどの種類を使えばいいですか?
- Googleはローカルビジネスの構造化データで、できるだけ具体的なLocalBusinessの下位の種類を使うよう案内しています。schema.orgではMedicalClinic(診療所)やDentist(歯科)がLocalBusinessの下位にあります。FAQのリッチリザルトは2026年5月にGoogle検索での表示が終わっているので、表示目的でFAQPageを足す必要はありません。
- クリニックのGoogleビジネスプロフィールで口コミをお願いしてもいいですか?
- お願いすること自体はできますが、割引や謝礼と引き換えに口コミを頼むことはGoogleのポリシーで禁止されています。医療広告ガイドラインのQ&Aでも、医療機関が費用負担などをして口コミサイトへの体験談の掲載を頼めば、広告として扱われます。
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